『ザ・ヴェンチャーズ、メジャーに行く!! ~that thing you do!~ 』 | Mosrite Inc.

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『that thing you do!』(邦題;すべてをあなたに)監督トム・ハンクスのこの映画ですが、ちょっとでも興味を持った方は是非ご覧ください☆これを観れば、50年代の終わりからビルボードのチャートを駆け上がってゆく若きザ・ヴェンチャーズが、これまで以上に良く理解できるかもしれません。







この映画のストーリーでは、主人公のガイはジャズに憧れているドラマーで、ガレージ・バンドのドラム担当が怪我をして、その代わりに引っ張られるという設定です。ヴォーカル・バンドのお話なのですが、ちゃんとインストの曲もあり、ツアーのシーンには流れてきます。


彼らのレコード会社の銀色のツアー・バスの屋根に書かれているのが、『GALAXY of STARS』で、この曲名が『VOYAGE AROUND THE MOON』というのです。当時は米ソの宇宙競争の時代で、この映画の中では『エド・サリヴァン・ショー』のようなTVバラエティ・ショーのシーンで、宇宙飛行士によるジェミニ宇宙船の説明とかもワン・カットありますし、どこか1月にリリースされたアルバム『(ザ)ヴェンチャーズ・イン・スペース』との引っかけを連想させますよね。





『スター・ウォーズ』で有名なジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフティ』は、オールディーズの原曲をヒット・パレードのように流して当時の雰囲気を造り上げたのですけれど、トム・ハンクスのこの作品は、なんと全編オリジナル曲で埋めているのだそうです。何処かで聴いたことのあるような無いような、まぁなんとも不思議な60年代感覚を創り上げているのです。








街中の雰囲気とか車はまさに60年代です。ガイの車はカルマン・ギアだし、親父さんはスチュアードベーカーかな?通りには、フォード・フェアレーンやシボレー・インパラにダッジにキャデラック。それよりちょっと古い大きな車もまだ元気に走ってます☆





テレビがまだモノクロで、ガイの家の電気店で並んでいるモノクロTVに写るSFは、後に『サンダーバード』で有名になる21世紀プロダクションの操り人形劇『宇宙船ファイアー・ボール XL-5』でしょう。あっという間にテレビがカラーに切り替わって行くのも1964年のアメリカの特徴なんですね。


ちなみに、ガイ達の出演放送を待つ家族のシーンで、親父さんがリモコン操作するカラーTVにチラッと写るオープンの赤い車は、1964年の発売と同時に大反響を生んだフォードのムスタングのようですね。(今はマスタングと呼ぶのが普通でしょうか?)





他にも、主人公ガイはビートニクのジャズが好きな青年という設定であるため、当然JAZZのシーンも入っているのです。60年代はモダン・ジャズが生き生きとしていた時代でもありました。


ザ・ヴェンチャーズにノーキー・エドワーズが加わったとき、ボブ・ボーグルが『君はいつも何を聴いているの?』と尋ねたら、『ジャーズさ!!』と答えたという話は憶えてらっしゃる方もおられるでしょう。





監督のトム・ハンクスは1964年当時、おそらく8歳か9歳だったはずです。少年トム・ハンクスは、よほどこのあたりのアメリカン・ライフやミュージック・シーンに思い入れる物や事があったのでしょうね。活写されたと言って良いこれらの音と画面から、それは皆さんも理解できると思います。





ガイが加わるバンドの名前は『The Oneders』で始まって『The Wonders』となるのですが、これって前に『ホンダとモズライト』のところで出てきた、1964年『リトル・ホンダ』でチャート・インした『The Hondels』を引っかけているのは間違いないでしょう。この頃バンド・ネームに『The Beatles』風のひとひねりが流行っていたようで、それは映画の冒頭でも出てきています。1996年制作ですが、中身は明確に1964年の話なのですね。





なお、残念ながらこの映画、モズライトは出ていないようです・・。


でも、少年期から青年期に、ザ・ヴェンチャーズやザ・ビートルズに始まるようなバンド・ライフを何らかの形で体験した方、あるいは今その真っ只中にいる方には、充分に楽しむことが出来る作品だと思いますよ!!





それは当時のアメリカやザ・ヴェンチャーズへの理解を深めるだけでなく、バンドライフに憧れた自分を、このガレージ・バンドの彼らと重ねてみることで、もし一瞬でも心がときめくなら、これまた素晴らしく楽しい時代の追体験となるかもしれないからです。それは世代を超えた感動なのです!!





ところで、想い出のあの頃の貴方の傍に、『フェイ』(演じるはリブ・タイラー)はいましたか?これからかもしれませんね!




それでは皆様良いゴールデンウィークを!
And that's the way it is.





以上ゴールデンウィーク特集でした(≡^∇^≡)