水はもう出ていない洗面台の蛇口を
もう一度右手で強くひねる。
いつからこんなに神経質になったのだろう。
頭の上から香水を振りかざす
そんな斬新な使い方で
タバコ臭くなった部屋をリフレッシュ。
いつからこんなに雑になったのだろう。
玄関の扉を開けて
今日もあいつがいない日を始める。
私はこんなにもクズになったけど
あいつはそんなことは知らない。
知らなくていい。
嫌いなんだ。
あいつも。私の顔をイジメるあいつの髭も。
人づてに聞いたよ。
よく分からない事業が成功してるって。
そんなこと私には何も言わなかったね。
いつかまたどこかで会えたら
こう言ってやるんだ。
「私は今、幸せじゃないよ。」って
そしたらあいつは私を可哀想に思ってくれるかな。
もしかしたらもう一度やり直せるのかな。
職場の近くの公衆喫煙所。
海の近くにあるホームセンターのトラックを見て、あいつとの日々を思い返す。
私はこんなにもクズになったけど
あいつはそんなことは知らない。
知らなくていい。
嫌いなんだ。
あいつも。私の顔をイジメるあいつの髭も。
嫌いなんだ。あいつは。
離れてくれよ。私の頭から。
離れないでくれよ。
いつか言ってやるんだ。
「私は今、幸せじゃないよ」って。