子犬が2匹やってきた
それは突然の出来事だった。
日曜日、暇を持て余して新しくできたショッピングモールにふらっと出かけたダンナから携帯に電話が入る。
「生後40日のキャバリアの男の子がいるんだけど…。8万8千円だよ」
や、安い! 欲しい。 2月にそれまで飼っていたキャバリアのメスを病気で亡くして以来、寂しくて「いつかまた、おひざにのっけられるフカフカした動物が欲しい」と言い続けていた私。
でも、あの子が死んでからまだ4ヵ月。ちょっと早過ぎないか?
それに前の犬は先天的に異常があったとはいえ、よくおもらししてたから大変だったし、また犬を飼ったら、私が出張の時や家族旅行の時に、2世代同居の義母に負担をかけちゃうしな。
「見に来る?」と聞くダンナに対し、「とりあえず子どもたちに聞いてみる。いいって言ったら行くわ」と返事をした。
クールなティーンエージャーの娘たちは自分の生活に忙しく、子犬の世話をする余裕などほとんどない。
「トイレのしつけとお散歩がちゃんとできるんなら、まぁいいけどぉ」
「お母さんとお父さんが頑張って世話するんだったらねー」
やっぱ、そう来るか。
「うん、わかった。とりあえず見に行ってくるね」と言いつつ、見たら欲しくなって買ってしまうだろうということは暗黙の了解。
ショッピングモールの一角のペットショップをのぞくと、熱帯魚、ウサギ、ハムスター、犬、猫、どれも開店セールですごく安い。
お目当てのキャバリアちゃんは…と見ると、キャバリアの中で最もスタンダードな白と茶色のブレンハイムの毛色の子犬が兄弟3匹でじゃれている。全員男の子だ。
めっちゃかわいい!
前の犬を飼い始めた時は、もう3ヵ月半になっていたので、かわいいことはかわいかったが、これほど子犬子犬したかわいらしさはなかった。
ダンナにのせられたな、と思いながらも、「かわいいね、飼う? 1匹、それとも2匹?」と私。
「ああやってじゃれてるのを見ると、2匹飼ってみたい」と言うダンナ。
ああ、やっぱり思うことはおんなじか…。
しかし2匹となると、エサ代などペットにかかる費用が倍になる。それでなくても今やりくりが大変なのに…。
でも、うちには犬と遊び回るような小さな子どもがいないせいか、前の犬はいつもまったりしてたよなぁ。
家族みんな昼間はリビングにいないので、いっつもあの子がひとりでお留守番してて、かわいそうな感じがしてたし。
2匹一緒に飼うと、犬同士遊べるから、犬がストレス溜まらなくて落ち着いてくるって近所の人も言ってたな。
うーん、でも2匹飼うとトイレの後始末でもなんでも大変かなぁ。。。
どうしようか迷っていると、さっきから傍にひっついていたペットショップのお兄さん、2匹飼うことの利点を力説し始めた。
いわく、犬が落ち着くうんぬん、しつけも1匹が覚えるともう1匹が真似をするから早く覚えるうんぬん、兄弟で飼うと、犬の間の序列を人間が気にしなくてもいいうんぬんetc.
よし、決めた! 2匹飼おう。
「どの子にしますか?」と聞かれ、仮予約が入っている子以外の2匹を飼うことにした。
2番目に元気な子と、頭にスポット(茶色の斑点のこと。スポットのある子のほうが価値が高いとされる)がついた一番おとなしい子だ。
その後、代犬保証や病気についての説明、体に異常がないかどうかのチェック、飼い方のアドバイスなど引渡し前の丁寧な説明があって、2匹は晴れて我が家へ。
一目見たとき、「え、2匹飼うの?」と絶句した娘たちも、「庭にウンチして困るのに、なんで2匹も」と眉をひそめた義母も、抱っこしたり、2匹でじゃれあっている姿を見たりすると、、たちまち「かっわいい~」と新しい家族の一員(正確には二員?)が気に入った様子だった。
ああでもない、こうでもない、とみんなで名前を考え、元気な子はオリバー、スポットのある子はウィルに決定!
さっそく部屋中探検を始める2匹。てんでばらばらに行動したり、時々お互い突進してじゃれあったり…。
電気コードをかじろうとするわ、床一面敷いたトイレシートの外でおしっこやウンチをするわ、まるで双子の赤ちゃんのようだ。
ひとしきり遊んだので、ケージに入れて寝かせようとすると、おとなしいはずのウィルがオリバーの頭を押しのけてごっくんごっくん給水器から水を飲みだす。
オリバーはまだ飲み方がわからなくて、下に落ちた水をぺろぺろ舐めている。
そうこうするうち、バタンと2匹とも寝てしまった。
やれやれ。
こうして、オリバー&ウィルが我が家にやってきた、記念すべき第1日目は終わったのだった。


