私がそう言った声は、我ながら何とも心許ないような
多分、バカみたいに小さな声だったんだけれど。
「そうなんだよね」と、
負けず劣らず小さな声で、彼女は答えた。
やめないのか、と。
それだけを思った。
あたしたちは今年28、
親友はもう半年経たずに29になる。
文句なしの、所謂アラサー。今もか。
周りはどんどん結婚して、家庭を築いて、
「大変だ」「大変だ」と言いながら、
世間的に後ろ指を指されない「女」の経験値というか、
通過儀礼みたいなものを着々とこなしていく。
相手が同性でも異性でも満場一致で喪女の私はともかく、
親友なんて、結構きれいな人なのだ。
私はこの人に、10年以上の時間憧れていた。
知り合ったころから大人びていて、
頭も良くて、色気もあって、
甘え上手で確信犯で上から目線で、
なんていうか、「無敵」だと思っていた。
その人が。
こんな年下の、どこの馬の骨ともしれない小娘に
泣かされたり待たされたりしている。
その事実に、苛立つ。
この人が短期間で本気になる相手っていうのは、
私が今までに見てきた勝手な印象で行くと、
捻くれてたり自己愛が強かったりと、性格的に難のある美形だ。
で、いっつも痛い目に合う。
そのたびに泣いて帰ってくるこの人に
私はいつも、同じようなことを言う。
「あんたは良い女だから、クサクサすんな。」と。
そんなようなことを。
だけどその言葉にどんくらいの意味があるのかも、
この先そのセリフの価値がどんだけ落ちていくのかも、
いつまで隣で待っていて、そういってあげられるのかも分からない。
高校生の時に知り合った私たちは、
そう遠くないうちに、30代になるのだ。
それが私には、どうしようもなく
怖くて、悲しくて、苦しい。
ふと、今でも時折想像する。
この人を好きだった私が万が一この人に選んでもらえていたら、
幸せに出来ただろうか、なんて、気色の悪いことを。
そうして、すぐに「それは無いな」と思う。
泣かせないことや、不安にさせないことは出来たかもしれない。
でもすぐに、私のほうが捨てられるだろうな。飽きられちゃって。
だから、意味のない想像だし、何の足しにもならないんだけど。
ただ、この人にはちゃんと、
幸せになってほしい。