日経メディカルより
第47回日本成人病(生活習慣病)学会より
糖質制限食の長期的効用は認められず
メタ解析の結果、総死亡リスク増加の懸念も
糖質制限食について長期的な効用は認めず、むしろ死亡リスクが有意に増加する。こんなメタアナリシスの結果を1月12日、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表した。近年、減量法や糖尿病治療として炭水化物の摂取量を減らす糖質制限食が注目されている。数週間~数年間の減量や動脈硬化リスクファクター改善の有効性が示唆されているものの、長期的なアウトカムや安全性については明らかになっていない。能登氏らは、MedLine、EMBASEなどの検索エンジンを用いて、“low-carbohydrate diet”や“carbohydrate-restricted diet”などのキーワードで関連する研究を選択し、メタアナリシスを行った。
低糖質群の総死亡リスク (能登氏発表資料より) 4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシスの結果。糖質の割合をLCスコアでスコア化し、高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比を求めた。
メタアナリシスの対象として選択された論文は全9件で、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。総死亡数は1万5981人だった。
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し(low-carbohydrate score;LCスコア)、糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59、図1)。「低糖質・高蛋白質」群と「高糖質・低蛋白質」群を比較した結果(LC/HPスコア)でも、前者で総死亡リスクは22%、有意に増加(同1.02-1.46)。糖質制限食による長期的な効用は認めなかった。
心血管疾患死については低糖質群で10%増加したが、有意差は認めなかった(同0.98-1.24)。また、心血管疾患発症リスクはLCスコアでの検討では有意差はなく、LC/HPスコアで検討していた1文献では有意差を認めていた。
結果について能登氏は、「糖質制限食をし好する人は、脂肪や動物性蛋白質の摂取量が高値となる傾向にあり、総死亡の増加への関与が想定される」と話した。ただし、「今回の検討では糖質の特徴や蛋白質源などの影響は加味されていない。これらの解析を含む長期介入研究が必要だ」とした。
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今日は 糖質制限に 否定的な 見解の ご紹介。
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もう 江部先生が 昨日書いてました(笑
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201301.html
江部先生は
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質12%)の群はどこにも登場しません。
という わけで
スーパー糖質制限なら 大丈夫
しかし中糖質群(30~40%)では、「インスリン過剰分泌」「食後高血糖」という発ガンリスク、動脈硬化リスクがあり、そこに結果としてさらに高脂肪・高タンパク食を摂取するパターンは、総死亡率が上昇する可能性があるということになるでしょうか?
と 言われています。
ということで江部先生でも 中途半端に糖質制限しては あぶないってことになっちゃいますが
実際は 中途半端になっちゃう患者さんも 多いので困っちゃったですね。
まあ でも 上の記事の能登洋先生も言っているように 長期介入研究しないとわかんないですよね。
あと もともと糖質制限に否定的な先生が 集めたデータなので 最初に結論ありきだと思うしね。
私の中では 肥満糖尿病若年患者さんには やっぱり第一は 糖質制限と運動です。
もちろん データが積み重なるにつれて、今後変化することもあると思います。
ここ数年では 低血糖が 予想以上に悪いことがACCORD試験で判明し、血糖変動の大きな患者さんの目標HbA1cを少し(かなり?)あげたように。
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