久々に当ブログを更新します。「吉野に関することを書きたい」と体の奥から湧き上がってくるような心境になることがなく日々が過ぎていきました。しかし、ついに「書きたい」と思える出来事が先日ありました。
このブログにも何度も書いていますが、大峯山の代名詞とも言える、修験道の聖地「山上ヶ岳」は、現在も女人禁制を貫いている日本唯一の山で、霊山という名に最もふさわしいと思います。頂上(1719m)付近には、大峯山寺の本堂ほか立派な宿坊が立ち並び、“山上伽藍”が形成されています。またこの寺院は、修験道の聖地であり大峯千日回峰行という大変厳しい修行の最重要地でもあります。なお、大峯千日回峰行を知りたい方は、本文下の関連記事「信じがたい荒行『大峯千日回峰行』とは?」のリンクにアクセスしてください。
↑山上ヶ岳の山頂
大峯千日回峰行の満行者はこれまで2人しかいません。大峯千日回峰行と言えば、塩沼亮潤氏を思い浮かべる人は多いと思いますが、塩沼氏は2人目の満行者。最初の満行者は、70代の僧侶で今も一途に修行の道を歩み続けています。知る人ぞ知るという方で、自らのことを語ることを好まず修行に打ち込む、世間から忘れ去られた巨人。あえて私も名前を出しません。
ご縁があって、その僧侶、大阿闍梨様(徳の高い僧侶)と山上ヶ岳へ登拝(信仰登山)をする大変有難い機会を得ました。私はてっきり、大阿闍梨様を慕う方々や信者の方々と複数で登拝すると思っていたのですが、贅沢にも大阿闍梨様と私の二人だけで、それを知った時は「足手まといになってはいけない」と身が引き締まるような思いと同時に、「人生観が変わる機会になる」そんな期待に満ちた予感がしました。
山上ヶ岳を登山するのは2019年以来2度目で、1度目は「山伏修行一日入門」という洞川温泉の旅館の宿泊と食事が付いた体験ツアーでの登頂です。体験ツアーとは宿泊と食事がついており、成人男性なら誰でも参加できるという私なりの表現で、決して和気あいあいとしたものではありません。その体験ツアーについては新聞社運営のニュースサイトで取材執筆しておりますので、本文下の関連記事「『女人禁制』山修行で生まれる感謝の念 性別格差撤廃の風潮でも廃れない理由」をお読みください。その「山伏修行一日入門」の登山をイメージして今回の登拝に挑みましたが、それとは比べものにならないくらい過酷な道のりでした。
↑登山道から見える大天井ヶ岳(1439m)
大阿闍梨様の指導が厳しかったという訳ではありません。前回は、洞川温泉から数キロのところにある「清浄大橋」の女人結界門から山上ヶ岳頂上にある大峯山寺のを目指しましたが、今回は「五番関」の女人結界門から大峯山寺を目指しました。前回は登山道がある程度整備されていましたが、今回の登山道は私にとっては獣道で、どこを歩けばいいのか見当がつかず、ただただ大阿闍梨様の背中を追いかけるしかありませんでした。
↑五番関の女人結界門
体力的にもきついのですが、それよりも山の斜面を歩いたり岩場を登ったりと滑落の恐怖が、高所恐怖症の私にとっては一番きつかったです。大阿闍梨様にとっては、何千回と通った道なのでためらうことなくどんどん進んで行かれるので、追いついていくことに必死で、何より大阿闍梨様の体の柔軟性と体力には驚かされました。
今回の登山道は、大阿闍梨様が満行した大峯千日回峰行のコース上にあり、全体の一部ではありますが、その険しさを体感することができ、大峯千日回峰行を満行することが人間業ではないことを痛感しました。終始滑落の恐怖との闘いで、「無事に戻ろう」と足元だけに集中し、日ごろの仕事や人間関係のストレスから解放され、奇しくも最高のマインドフルネスになりました。
道中にはいくつもの祠(ほこら)があり、そこで念仏を唱え、そのタイミングで小休止を取っていただきました。その際、大阿闍梨様には修験道のことや修行のことをお話いただきました。大阿闍梨様は悟りの境地に入りたく、今も熱心に修行を続けているのですが、若い頃、厳しい行をいくらこなしても一向にその境地に近づけず焦っていました。それが千日回峰行に入るきっかけでしたが、行に入っても一向に心境に変化が起こりませんでした。この行に入って6年、700日目くらいの往路で雨が降り出し、顔に雨粒を受けながら、ふと「(何も考えず)目の前の修行を粛々とこなせばいい」と思ったそうです。その瞬間から焦りや不安から解放され、迷うことなく残りの300日を無心で歩き切ったそうです。
↑大峯山寺本堂に続く石段を下る大阿闍梨様
その話は、以前に大阿闍梨様から聞いていましたが、大峯千日回峰行の山道で改めて聞くと、より一層心に染み入ります。過去に囚われず未来に不安を抱くことなく、「今この瞬間を一所懸命に生きる」この大切さを、改めて学んだ山上ヶ岳登拝でした。大阿闍梨様と山で過ごしたこの一日は一生忘れることは無い、人生の宝になりました。
(関連記事)
信じがたい荒行「大峯千日回峰行」とは?
https://ameblo.jp/moriyasu-kitamura/entry-12644455571.html
『女人禁制』山修行で生まれる感謝の念 性別格差撤廃の風潮でも廃れない理由

























































