吉野山にある修験道の総本山金峯山寺(きんぷせんじ)のおひざ元、首から上にご利益があると伝えられる、通称「脳天さん」をご存じでしょうか? 奈良県中部・南部にお住まいの方なら「受験の神さん」と思い浮かべると思います。または、金峯山寺から山の斜面を石段で延々と下った「谷底にある神さん」と思い浮かべる方も多いのでは? しかしその歴史やいわれを知る方は少ないと思います。

 

 

 

 

 

谷底へと続く階段の上がったところに修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)の銅像があるので、金峯山寺と同時期の7世紀後半に建立されたものだと思い込んでいましたが、実は建立されたのは戦後の昭和26年。私も最近そのことを知り、驚きました。

 

当時の金峯山寺管長が、新たな行場を見つけようと寺近くの谷を下っていたところ、頭を割られた蛇が死んでいるのを見つけ、近くの洞窟に葬りました。その夜、蔵王権現(ざおうごんげん/金峯山寺のご本尊)が脳天大神(のうてんおおかみ)と姿を変え管長の前に現れ、「多くの人々、とくに頭の病に苦しむ人々のために我を祀れ」と告げ、脳天大神を祭祀することになったそうです。

 

 

正式名は、「脳天大神 龍王院」で、金峯山寺の塔頭(本寺の境内にある小寺)だそうです。修験道は神仏習合のため、寺院でありながら鳥居も随所に見られます。

 

メディアで度々取り上げられている大峯千日回峰行を達成した塩沼亮潤(しおぬま りょうじゅん)大阿闍梨(だいあじゃり)は、金峯山寺で出家した僧侶で、最近ご自身のツイッターで脳天さんの役行者像の写真がアップされていました。先日、コロナ後に吉野山を訪れる塩沼大阿闍梨の番組が某公共放送でオンエアされていたので、その時に撮影したものだと考えます。

 

 

脳天さんには、受験生や首から上の病を抱えた人やその家族が多く訪れ、毎週日曜・祝日・1日・19日には護摩祈祷が行われます。金峯山寺の国宝建築「蔵王堂」の雄大さに浸った後、脳天さんまで足を延ばすのもいいかも知れません。

 

 

金峯山寺に訪れる人の数に比べ、脳天さんに訪れる人は少ないと思うので、私から一つ提案させてください。

 

首からの上にご利益があるという売り文句(不適切な表現かも知れませんが)は、多くの人々のニーズに当てはまる反面、インパクトと具体的なイメージに欠けるような気がします。なので、「これにご利益がある」と具体的に打ち出すのはいかがでしょうか?

 

 

首からの上の悩みでニーズがありそうな項目をざっと挙げてみました。

  1. 髪の毛

  2. 顔(容姿)

  3. 病(脳・目・鼻・耳)

  4. 学力(受験)

  5. 知恵・判断力

首から上にご利益があるというのはこれまで通りに謳い、今月はとくに髪の毛にご利益がある、今年はとくに知恵・判断力にご利益があるなどと期間限定スペシャルご利益を一項目設けて売り出すのです。期間と悩み項目の限定で、インパクトと特別感は増すはずです。俗っぽいと批判されるかも知れませんが、そこはやり様で何とでもなると考えます。