人間とはかくも弱いもの | テンポス森下 商狂老人 百姓経営者 蒲田のドラッカー

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商売道を求めて、さまよい続け、77歳やっと面白くなってきた。
今に見てろと激流に身を投じ50年!
故郷の村は寂れ、田畑荒れ、茶摘み、草刈りに帰るのみ。

レジの金を盗んだ店長 とその親がびっくりした事

店長とその親で泣きながら再起を誓った。

懲戒解雇 全額返金

その上で2つの選択肢を与える。

1 司法に任せて、前科 刑務所

2最低賃金の時給社員として再起する。条件は、その店のパートが許してくれるまで

店長と個人面談をして、横領金額を確定した。

「報奨金横領は何回やった」

「4回です」

「何月分からだ」

「「10月 11月 12月と1月分です」

「総額42万7000円だよな」

「はい」

「その他に、従業員の食べる昼飯代。これは幾らになるんだ」

「賄い代として毎月集めた金の中から、18万4000円着服しました」

「そんな風に人の目を盗んで誤魔化すような事をするんじゃあ、

ひたむきな努力を認めてもらうより、表面上取り繕って、見てくれだけ良くなるような事をしてきたんだろう」

「はい 以前の職場でも、金は盗みませんでしたが、評価が良くなるように、嘘のデーターを提出しました。」

「データーを改ざんしたなら、あさくまの評価でも改ざんしたのかよ」

「はい、人件費率は毎回チョコっと下げて報告しました」

「人件費率は会計士がやってるので、変えようがないじゃないか」

「評価の時の人件費は、変えたものを提出しましたが、一回も見つかりませんでした」

「何回やった」

「前の店の時からですから、30回くらいはやりました。」

「嘘のデーターを作って評価の順位を上げてもらった報奨金を計算すると、100万以上になるな」

「すみませんでした」

このやり取りを 本人から聞いた親は、そこまで誤魔化して、悪い事をしてきたのかとショックを受けた。

とは言うものの元教員だから、気を取り直して、本人を呼んで二人して再起を誓った。

その度に本人は涙を流して「誠実な妻と、優しい親を裏切って申し訳ありません。立ち直るチャンスを与えてくれて、本当にありがとうございます」

何日かして従業員から、「オープン祝いに業者が持って来た祝い金はどうなっていますか」

「何社から預かったんだ」

「私が預かったものだけでも3社あります、全部で5~6社はあると思います」

「店長!業者が持って来た祝い金も着服してるだろう」

「すみません、忘れていました。3社から預かって3万です」

「他にはないな」

「すみません、もうありません」

オープン当日祝いにてくれた業者に、恥ずかしながら片っ端から祝い金をくれたか、幾らなのかを聞きまくった。

7社から総額8万円

「テメイこの野郎、嘘ばっかこきゃぁがって!」

「すみません、忘れてました」

又別の従業員から、私の残業手当が源泉と支給額が違ってます

店長を呼んで「テメイこの野郎!」

「すみません、忘れてました」

こんなやり取りが4回

その度に「テメイこの野郎!」

「すみません、忘れてました」

このやり取りの間、本人は涙を流して、誠実に対応している。

友達に伝えた。

再起を誓って、美しい涙を二人して流して、もうしないよなって、抱き合って、

抱き合ってているそのときにも、本人は全てを白状した訳ではない

お前の婿は、そんな奴だよ、信用できるか!

俺は最初っから誓いの言葉何ぞ信用してない。

ただな、こんな事をしてきた奴は、何人もいた。

初めての時は俺もビックリした。

30年も前になる、盗んだ奴に再起を誓わせて、俺の過去やってきた事を話して、間違いを犯すのはお前だけじゃないと、一緒になって泣いた。

そいつは1ヶ月もしないで会社に来ないようになった。

又別の奴は着服するのによくもまあというくらい、巧妙にしくんだ。

覚えているだけでも7~8人はいた。

根っから悪人という訳でないと思う。

何かのきっかけで着服すると、そっから後はドドドッといってしまう事が多い。

本人の意志では止まらない。

みんな「清原」になっちまっている。

お前の婿を信用しないと俺は言ったが、

特別不誠実な訳じゃあなという意味だよ

「俺の心も、お前の中にも 同じように不誠実なとこはあると思う。

誰からの助けもなくて、弱い男が身を守るには、悪事が見つかったからって、ベラベラ全てを白状する訳がないじゃないか。

オラァガキの頃から悪さをして、親父には張り倒され、先生には張り倒され、家の隣の利一兄には張り倒され、その度に誠実そうに謝ってきたが、その時白状して一部始終を話した訳ではない。

そんな奴でも再生のチャンスを与えてやりたいと思っている。

万引きしたことのない、「キセル」もした事ない、映画館の裏の壁を何日かで穴を開けて、裏から入った事もない、柿だ西瓜は盗むのが当たり前。こんな事をした事のない善良で誠実な人間は、

頭っからそんな奴は許せない、またやるに決まってると言う。

又やるかどうかでなく、チャンスを与えてやりたい。

ほとんどの人は、その時にはありがたいと思うが、2~3年で会社を辞めていってしまう。

ガッカリもしないし、裏切られたとも思わない。

チャンスを与えただけで、立ち直るように見守って、声をかけたり

する程度しかできない。

会社や、そいつの周りの友達や、嫁や、親兄弟に見守られながら、立ち直る。

反省させたって、意味ないよその場限りだから、ましてや、大騒ぎして責めたってどうにもならない。

周りで見守ってやる事を続けるのみ。

あとは神に祈るだけ。

またやったのかよと言って攻めるなよ。

やらずに済んでる自分を感謝こそすれ、

駄目だこいつはと見限るなよ!