この蔵書
ふたたび本書から自力で答えを探してみるなら、偉大な芸術家たちの楽譜や古書のコレクションを子どもたちに見せて触らせているという話はすごく重要だと思って読みました。「感じるか感じないか、わかるかわからないかは別として、先人の魂が宿った存在とそれをいつくしむ感性があることを胸にとどめていれば、いつかは感じる時が来るかもしれない。ここではただ、触れるという経験が大事なのだ。」(138頁)
これにはすごく共感で、子ども達は恵まれているなぁと思います。文化財の役割を新たに強調できる重要な認識であるとも思いますし、さらにいえば、「わざの世界」でたびたび語られる「小さいころから本物に触れておくということの重要性」にもつながるところだと感じています。
いろんな方が同じようなことを言っていますが、たとえば古美術鑑定家の中島誠之助さんは「まずは体当たりで、欲張らずに一点でいいから、いいモノを見ることが大事。一点わかれば後は次々と見えてくるものです。…真贋判定のカチマケは、身体で覚えた、感性で覚えた人が勝利します。だから最初にホンモノを見るという勉強をする。本や説明書で見て覚えるのではなく、まずはよいモノを一生懸命見ることが勉強で、若いうちにそういう勉強をしなければ一人前にならないとよくいわれたものです。」(『ニセモノ師たち』講談社文庫 292-293頁)と語られています。
↑より抜粋させていただきました。
熊川哲也さんはこの作品を創るにあたって音楽も自分で探されました。
カールニールセンという、デンマークで活躍した作曲家の音を聴き、
”これだ!” と思ったそうです。
”クレオパトラ”というバレエ音楽が存在したわけではなく、
熊川さんの考えつくシーンに彼の音楽がフィットしていたわけです。
そこからはオーケストラマスターや編曲家の方々との話し合いの元、
この作品の音を作っていったのです。
その音楽は美しさの中に棘を感じたり、柔らかさの中に強さがあったりと
登場人物の心をうたうような、
まさにこの演目のために作られたようでした。
それは古代エジプトやローマの光景を彷彿とさせる旋律なのですが、
なんとも心地よく心の中に入ってくるのです。
熊川作品の特徴である、
”誰が見てもとても分かりやすく作られている”
その言葉がぴったり。
- ロイヤル・バレエ団からの電撃退団はバレエ界を震撼させ、英国でも「ロイヤル・バレエ団の大きな損失」[21]として主要各紙で報道された。しかしこれは決して突発的な決断でなく、これからのキャリア、改修や変革期にあったロイヤル・バレエ団の環境など総合的なことを熟考して覚悟を決めたことだという[20]。事実、「いずれ日本に帰りたい。まだ十分若いうちに」[22](1990年)、「日本のバレエ界を大きくするため、何とかしたいと思っている」[23](1992年)と、ロイヤル・バレエ団入団直後の10代の頃よりそのビジョンを多くの取材で語っていた。
- 近年は『カルメン』『クレオパトラ』などオリジナルのバレエ作品の創作に意欲的に取り組む。特に2017年初演『クレオパトラ』では台本・音楽・振付、すべてにおいてベースが存在しないところから全幕を創作。大規模な初演興行を成功させるという日本では行われてこなかった偉業を成し遂げた。
- 美術・衣裳にも一貫したこだわりをもっており、これまで英国美術界を代表するヨランダ・ソナベンド、METなどで活躍するダニエル・オストリングらを起用している。
- 次世代の才能ある芸術家をひとりでも多く見いださなければという強い思いで、バレエスクールを開校。若き才能の育成に取り組み、自ら指導にもあたるほか、創設・芸術監督を務めるKバレエカンパニーでは積極的に才能ある若いダンサーの起用を行う等、後進の育成にも力を注いでいる。また、バレエ経験のない大人から上級者まで通えるバレエスタジオの運営にも力を入れる事業家でもあり、子どもから大人まで幅広い支持を集めている。
- バレエの偉人や作曲家に関する古書などのコレクションを収集。書店街での収集の過程では偉大な歴史の片鱗に遭遇する事もあると語っている。ベートーヴェン「第九」の1826年初刷りの楽譜、チャイコフスキーの自筆譜など世界的にも希少価値が高い資料を所蔵。その理由として、「芸術家が生きた時代につくられたものに触れるだけで、先人の存在が現実となり、ごく身近に感じることができるから」と語っている。
録画したままだった「クレイパトラ」昨日あさイチで紹介されたのでやっと鑑賞。
観始めたら止まれない。
一気に引き込まれました。
感動ものです。
凄くエロチックで音楽、脚、本舞台装置、ダンサー、衣装、振り付け、革新的完璧です。
さすが熊川さんです音楽も頭に残ります。
クレオパトラの性奴隷や弟、カエサル、ブルータスが殺される場面
権力者の残酷さ
クレオパトラが蛇の化身ということで衝撃的な見せ場。
女召使の並び方も名画のよう。
これを生で観られた方はラッキーです。
宮尾さんのロミオも前半観ました。14歳と遅い年齢でバレエはじめられたのに。
プレパトで俳句の才能まで認められたとか。