飛騨・白川郷で楮が和紙になる工程の取材を行うフリーライターの片平なぎさとカメラマンの船越英一郎
日本には小京都と呼ばれる都市が40数か所あるが、その条件は3つ
街並みが碁盤状、盆地で中央を鴨川のような川が流れる、歴史があり寺社仏閣が多い
□その一つ、飛騨・高山、小鳥湖畔に窯を持つ陶芸家の森本レオ・岡まゆみ夫妻を訪ねる
森本は、自分は修業中の身だと思っているが、なぎさはその才能を高く買っており、東京での個展開催を勧める
□若狭・小浜 大丹生の里に茶道家元 佐竹明夫を訪ね、保有している秘蔵品の展覧会開催を依頼する 佐竹は承諾する
展覧会の開催は、デパート専務の石立鉄男に協力を求める 石立は、秘蔵品の展示と抱き合わせで、有望な陶芸家5人を選定した展示会の開催を提案する テーマは“小京都美の発掘”
石立は、なぎさにイベント屋の加納竜を紹介するが、なぎさと加納は、5年前付き合っていた さらに、石立は監修を日本美術界の重鎮 内藤武敏に依頼し、箔をつけようとする
5人展の4人は候補者が決まっていたが、あと一人、なぎさは森本を推薦する
石立は、内藤に森本の作品を見てもらって判断しようと提案する
森本の作品は素晴らしいものだった 内藤も感心する しかし、丹波篠山の立杭焼きに似た作品を見、態度が急変する
石立のデパートは、過去に、偽物の美術品を展示してスキャンダルを起こした過去があった 競合するデパートとの食うか食われるかの争いもあった
相手のデパートは、印刷業のオオカワという悪党を使って妨害工作を行っていた
石立の秘書 斉藤智美は、加納の愛人であり、内藤の愛人でもあった
智美は加納に、“今度のイベントが吹っ飛ぶような情報をもっている”と言う
智美が高山に現れ、ベージュの上下を着た男に殺されるところをなぎさと船越は目撃する
石立、加納、なぎさの3人は善後策を練る
佐賀・唐津へ森本の競争相手 内田勝正の作品を見に行くなぎさ そこには加納も内藤も来ていた
内田の窯場で、オオカワが殺されているのを発見するなぎさ 警察に通報するが、遺体は消えていた
□なぎさと船越は、森本が15年前に修業していた丹波篠山の陶工 タドコロトウエモンを訪ねる 森本は、そこに3年間住みこんでいた “若いのに備前・唐津・美濃と渡り歩いていた 窯グレだった 森本は本物そっくりの古丹波の壺を焼いた”とトウエモン
なぎさは、丹波古藤陶館で、主人の河合絃司から話を聞く
“蔵から古陶器が見つかった ボウキドウ(古美術商)が内藤を連れてきて、鑑定した”
ボーキドウは、森本の作品を使い、細工をして内藤を誤った鑑定に導き弱みを握った そのボウキドウは10年前忽然と姿を消していた
■森本が溺死した 頸部に軽い鬱血があり、遺体には繊維屑のようなものが付着していた
森本は、石立と内藤に会って別れた後に殺された 森本は湖に潜って土を採取していた 溺れるはずがない
《まとめ》石立の周辺を洗っていた船越は、石立が、競合するデパートの会長と密会しているところを目撃する 石立は、今回も、内藤の過去を暴露し、展覧会を台無しにして合併させようとした 石立は京都でボーキドウと懇意にしていたことも分かる
内藤は、森本の才能を再認識し、おのれの過ちを告白しようとしていた 殺された智美は、石立の裏切り行為を目撃し口封じのために殺された 殺したのはオオカワだった オオカワを殺したのは、5人展を餌に石立に唆された内田だった 内田は遺書を書いて自殺する
森本は石立が殺した 富山の五箇山の紙で手足を縛り、湖に突き落としていた 水中で和紙が繊維に戻る特性を利用したのだった
エンディング、なぎさは森本の遺作展開催に尽力する