子育ての目的は、子どもを「従順な子」に育てることではありません。
そう考えている人は多いですが、そんな風に考えて子育てをしているのは人間だけです。他の動物たちにとっての「子育ての目的」は、我が子を「自立できるようにする」ことだけです。そうでないと種が滅びてしまうからです。

みんなが「従順な子を育てること」を「子育ての目的」にしてそれが成功したら、AIがその従順な人間達の支配者になるでしょう。
従順なだけの人間は誰かの指示に従うことは出来ますが、自分の頭で考え、自分の感覚で感じ、自分の意志と責任で行動する事が出来ないので、思考と、感覚と、判断を誰かに依存せざるおえないからです。

AIはその役割をやってくれるかも知れませんが、AIには「人間の幸せ」を考える能力がないので、やがて人類は滅びてしまうでしょう。

また、従順なだけの人が自分の人生に「生きがい」や「喜び」を感じるのは難しいと思います。そして愚痴ばかりを言い続けながらやがて人生を終えることになるでしょう。
そして今の日本にはその「愚痴」が満ちあふれています。カスハラも、「子どもの声がうるさい」と文句を言う人もその表れです。

皆さんは我が子にそういう「愚痴ばかりの人生」を送って欲しいのですか。
そんなことないですよね。大部分のお母さんは「自分の人生を自分らしく幸せに生きることが出来る人」に育って欲しくて子育てをしているのではないかと思います。

でも、多くの人が子どもの幸せを願っているはずなのに、実際にやっているのは、「子どもの気持ちを無視して、子どもに自分の願いや要求を押しつけるような子育て」ばかりです。

そのようなお母さんでも、「子どもの自立」を願っているのでしょうが、その「自立」の中身は「経済的な自立」だけです。だから、子ども達を「勉強」に追い立てることが出来るのです。「精神的な自立」を願っていたら、子どもを支配しようなどとはしないはずですから。

現代人にとって一番大切なのは「お金」です。現代社会においては「お金を稼げる人」が「偉い人」なんです。子ども達に「一番欲しいのは何」と聞いても、「お金」という答えが返ってきます。
だから、お母さん達も、子どもを「お金を稼げる人」、「経済的に自立した人」に育てようとしているのでしょう。

でもそのような価値観は、お金を稼いでいない「お母さん」という存在の価値を否定してしまいます。実際、「お母さんのやっていること」に自信も誇りも持てていないお母さんがいっぱいいます。

子どもに「お金を稼ぐことが一番大切なんだ」と伝えることが、子どもに「お母さんという存在に価値はないんだ」ということを伝える結果になってしまっているのです。
多くのお母さんが、自分の存在を自分で否定しているのです。


お母さん自身も「お金を稼いでいない自分」に自信が持てません。国も「子どもが幼いうちから子どもを保育園に預けお金を稼げ」という圧力をかけています。

実際、経済的に自立できていない「専業主婦」という自分の立場を卑下している人も多いです。お金を稼いでいない専業主婦をバカにする男性も多いです。

でもそのように考える人は、「お母さん」が「お金には代えがたい大切なことをやっている」ということを知らないのです。

「子どももお母さんも幸せになるような子育て」をするためには、お母さん自身がそのことに気づき、自分がやっていることや、自分の存在に誇りを持つことが出来るようになる必要があるのです。

お母さん自身が精神的な自立を目指さないことには、子どもの精神的な自立を支えることは出来ないのです。