私たちの身の回りはデジタル機器で溢れています。そして、子ども達の遊びの世界にもデジタル機器が広がっています。「家ではゲームでしか遊ばない」という子は今や普通の子です。スマホを持っている小学生も珍しくありません。

そして子ども達の趣味や興味はSNSやyoutubeのようなデジタル世界の中の事ばかりです。
友だちとのやりとりもデジタル機器を通して、遊びもデジタル世界の中で、情報を集めるのもデジタル機器で、そして、自分の夢や希望もデジタル世界の中で探そうとしています。

最近話題になっている「Apple Vision Pro」なんか凄いですよ。
あれは本当にやばいです。今はまだ高いし、デカいし、重いですが、しばらくしたら普通のメガネくらいの値段や、大きさや、重さになるでしょう。

そして、普及すれば子どもの遊びの中にも入って行くでしょう。そして、メガネと同じように、あれをつけたまま生活する子どもも現れるかも知れません。でも、そのような状態が日常的になってしまった子は、現実世界を生きることが困難になってしまうでしょうね。自分の心やからだとの向き合い方も分からなくなるでしょうね。

VRが最初出始めた時は、「12才以下の子どもには使わせないように」ということでしたが、大人が使っていれば子どもにだけ禁止することは出来ないですよね。そして、子どもの成長に興味や関心がない人は、「自分も使っているし、子どもも使いたがっているし、使わせていれば大人しくしているから」と軽い気持ちで使わせてしまうでしょう。
実際、子どものスマホの使用もどんどん一般的になり、しかも低年齢化していますから。

でも、そのようなデジタル機器に囲まれて生活し、デジタル世界の中で遊んでいる子ども達は、必然的に、アナログ世界、つまり、現実世界との関わり方が分からなくなってしまうのです。

そのような子は、デジタル機器がないとすぐに「退屈だー」と言います。常に受け身的で、自分で遊びを発見し、自分の頭で考えて遊びを工夫し、自分の手やからだを使って遊ぶということが出来ないのです。

鬼ごっこのような「形が決まっているもの」でなら遊べます。造形でも、箱やイスのような「形が決まっているもの」なら作ることが出来ます。でも、そこに「自分のアイデア」を入れ込むことが出来ないのです。

絵でも、キャラクターの絵は描けるのですが、自分で考えた絵が描けないのです。というか「自分で考えた絵」を描きたいとも思っていないようです。

時々、自分の頭で考えたことを自分の頭で工夫しながら描いたり作ったりする子もいますが、そういう子の話を聞くと、家ではほとんどゲームで遊んでいない子ばかりです。

問題は、デジタル機器に慣れ親しみすぎた子は、大人になって結婚しても、リアルな夫婦関係を築くことが困難になってしまうのではないかということです。
リアルな仲間と、リアルな世界で、リアルな遊びを通して関わってこなかったので、目の前に存在しているリアルなパートナーとアナログ的にどう関わったらいいのかが分からないのです。

それでも女性は、子どもが生まれたら「リアルな世界でアナログ的に生きている子ども」と直面せざるおえません。そうして「訳わかんない」と言いながらも、「リアルな世界でのアナログ的な生活」も大切にするようになります。そうしないと子育てが出来ないからです。

でもそれは大変な苦しみを伴います。でもお母さん達は学び、考え、仲間を作り、自分自身が成長することでそれを乗り越えようとします。その過程で「自分らしさ」に目覚める人もいます。
私はそういうお母さん達に呼ばれて勉強会もしています。

それが出来ない人は、どこまでも子どもを支配しようとします。でも、子どもが思春期を迎える頃に、そのような「支配する子育て」は破滅します。

また、そのような女性の変化に対して、男性の方は子どもの時のままです。
先日も、ご主人の問題を色々と相談してきたお母さんがいたので、「でも、そんな人を選んだのはあなたですよね?」と言ったら、「何であの人を選んだのか想い出せないのです」とおっしゃっていました。

どうか子ども達には、デジタル体験よりもアナログ体験の方をいっぱい与えてあげて下さい。子ども時代にリアルな世界でのアナログ体験をいっぱいした子は、大きくなってデジタル世界と出会っても「リアル」と「仮想」の区別が付くようになるのです。

「命」の意味も分かるようになるでしょう。デジタル世界の中には「命」は存在していないのですから。