エッフェル塔がらみでもう一題。カレンダーは9月から10月へと変わりましたが、ネタの内容は今一度時計の針を前に戻していただいて、アラブ料理レストランでの食事の前のエッフェル塔登攀の、さらにその前のセーヌ川を横目に見ながらエッフェル塔へと向かっているその途上まで戻ります。

エッフェル塔への最寄り駅が改修工事中で余計に歩かされる羽目になってややブルーになっているところへ、念願の「クスクス」が食べられるアラブ料理レストランを偶然発見☆( ̄▽+ ̄*)☆ルンルン気分(死語)でエッフェル塔へと向かって目的地まであと一歩というところでふと右を向くと奇妙な看板が目に入りました。

「Place de Kyoto」… "京都広場" を意味するその場所でしたが、一見したところ近代的なビル建築が建っている以外は特に何の変哲も無い、京都生まれ京都育ちの「京都のプロ」である私から見て何ら京都らしいところのない場所だったので、そのまま通り過ぎてエッフェル塔へと急ごうと考えたのですが、ふと目に入ったくだんの「近代的なビル建築」のガラスの中を見ると、何やら外国人向けと思われる和風工芸品が値札付きで並べられておりました。

ム、これはもしかして現在世界で話題の「ジャパニーズカルチャー」を扱う商店なのかと思い、建物をよく見てみるとガラス窓に大きく「パリ日本文化会館」と書かれてありました。

本来ならエッフェル塔に登って、その後でエッフェル塔に来る途中に見つけたアラブ料理レストランで「王様のブランチ」、さらにそのあといよいよルーブル制覇に向かって、これにてパリ滞在全行程「終了」となる筈だったのですが、海外に置ける日本文化紹介の拠点と思われるこういった建物を発見した以上黙ってスルーするというわけにはいかなくなりました。
今回パリに滞在するにあたって、外国人が熱狂しているとされる「日本のジャンクカルチャー」マンガやアニメ関連の商品を販売している店舗を探すというのもひとつの目的だったんですが、こちらも「アラブ料理レストラン」同様行く先々で探してもさっぱり見つかりませんでした。日本のテレビの情報番組なんかではさかんに「日本のマンガ・アニメが世界で大人気!」なんていう情報が流されるんですが、実際パリに来てみると少なくとも私が訪れた先ではそんな兆候はまったく見られませんでした。テレビを見ていても日本に関する情報には「全く」触れられていなかったですし、大人気といわれている日本のアニメ番組を見る事もなかったので「もしかしたら日本のジャンクカルチャーが世界で受け入れられているというのは日本のマスコミの情報操作で、実際にはひと昔前と同様一部の『日本マニアの外国人』が騒いでるだけなんじゃないか?」と疑うようになりました。
そんな疑念の中でこういった施設を発見したので「もしかしたらこれは日本のジャンクカルチャーに関する現地情報を仕入れる重大な手がかりになるかも?」と考えて、エッフェル塔やルーブルに割く時間をが減るのを覚悟で入ってみる事にしました。
中に入ってみると、やはり他の建物同様入館を制限するように入り口にロープが張られ、その手前に手荷物検査のための簡易なテーブルが設置され、空港にあるような金属探知用ゲートが2つ並んでいてそこからしか奥には行けないようになっていました。今回のパリでは何か大きな建物に入ろうとすると必ずこの手のチェックを受けさせられるので「またか」という感じでウンザリしてしまいました。
ただ唯一ほかの建物と違っていたところは、入り口で入館管理をしているのが日本人とおぼしき若者であったということです。
日本文化を海外に紹介する、という役割があると想像される施設なので、そういった施設の職員が日本語を話せないのでは意味がないというので、現地在住の日本人の採用しているのでしょうか。一見すると相撲部屋の新弟子のような外見で文科系の施設の職員というイメージではないのですが、まあそれでもようやくパリで日本語でコミュニケーションがとれる人間に会えたようなので少しほっとはしました。
入り口のテーブルにかばんを置いて、中を開けて「はいどうぞ」とくだんの職員に日本語で話しかけると、彼は日本人である私になぜかフランス語で話してきました ( ̄□ ̄;)。
「こちらが日本語で話しかけているのに、なぜ日本語で返さないのか?」内心ムッとした私はカバンの中身を改めながらなおもフランス語で話しかける彼に向かって「なにを持って入ってはイカンの?なにがあかんの?」と少々語気を荒げて質問するのですが、「ナニ、……ナニ??」と、彼は全くこちらの話している言葉を理解していない様子でした。
どうも様子がおかしいので、こちらから「ニホンゴ、ワカリマスカ?」と外国人に話すようにゆっくり話しかけても、彼はどうにも理解できていないようでした。彼はこちらから話しかけているのも気に留めず、そのままカバンの中身をまさぐり続けました。ならばということで今度は英語で「Do you speak Japanese?」と話しかけてみると、今度はふとこちらに目を向けて「何か喋ってるのかな…?」という反応をしましたが、どういった内容を話しているのかということまでは理解しなかったようです。これはもう仕方が無いので、拙いフランス語で「Parlez japonais?」と話しかけてみると、ようやく「non」…「いいえ」と答えが返ってきました。同様に英語はどうかと聞いてみるとやっぱり「non」 でした。そうこうしている内に荷物チェックも終り「問題ナシ」と彼に判断されて、半ば厄介払いのように内部に入る事を許されました。

結局の所、彼が日本語を話せない「フリ」をしているだけの日本人であったのか、それともフランスで生まれ育って、周囲に日本語を話す人間がいなかったために日本語を満足に話せないまま成長した「在仏日本人」であるのか、あるいはただ単に「同じ東洋人だから日本人に見えるだろう」という安易な理由で採用されたパリ在住のアジア系住民だったのか…今となっては分かりませんが、「日本文化を紹介する施設」で一番最初に接する人物が「日本語を話せない」という、この悪質なパラドックスには正直苦笑する以外にはありませんでした。
ただこの職員君の名誉のために書いておくと、彼が本当に日本語を話せないのだとすれば、それはべつだん彼の責任ではなく、日本語を学ぶ環境やきっかけが彼のこれまでの人生に無かったというだけの話で、問題は日本語を話せない事を承知で職員として採用して、日本文化を紹介する施設で接客に当たらせるくだんの文化会館のほうにあるので、彼は内心「オレ日本語話せないのにこんな仕事しててイイのかなぁ…」と日々心に軋轢を抱えながら日常の業務をこなしているのかもしれません (もしそうだとすると、少々気の毒な感じもしないではないですが…)。

で、肝心の文化会館のほうなんですが…私が期待したような日本のジャンクカルチャーに関する情報や文物はなく、館内の一角に設けられた「売店」では日本語学習用のテキストや館内に入る前にショーウィンドウの外から見えた日本の陶器などの「伝統工芸品」が売られているだけでした。階の上のほうには貸し会場やアトリエ、茶室などがあって、フランス人を招いての茶会を開いたり、パリ在住の日本人アーティスト向けにアトリエを貸したりしてその活動を支援しているようです。ただ私が求めているような内容の施設では無かったので、内部の写真を何枚か撮影して早々に引き揚げてエッフェル塔へと向かいました。
帰国してのち、この施設についてインターネットで調べてみると公式HPが発見できたので、あれこれ公式な情報を得る事が出来ました。…もともとは経団連の後援で、国際交流基金の資金によって1997年に設立された「特殊法人(外務省管轄)」だったのですが、何代か前の「コイズミ君」とかいう総理大臣の「教育・文化予算切り捨て政策」のアオリで2003年に「独立行政法人」へと転落してしまったようです。
そのほか詳しい事が知りたい方はくだんのHPのURLを掲載しておきますのでどうぞご覧下さい☆
http://www.jpf.go.jp/mcjp/
HP中に「国際交流基金」へのリンクもありますので、そちらも併せてどうぞ。
さて次回からは ((((°∀°))))b !!!
遂に「(((旅ログ))) パリ篇」最終章・ルーブル篇へと参ります。美術ファンならずとも一生に一度は行きたい「パリの本丸」「世界最強の美術館」へと遂に足を踏み入れる時がやって参りました !!! 今回のパリ訪問の最大の目的地・ルーブルで筆者を待ち受けるものは……?! それでは次回までさようなら。