モンパルナス拾遺「黒い秘密兵器」 | 旅ログ~とある京都フミンの奇妙なおでかけ☆

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さて、前々回ブログのモンパルナスの回はゲーンズブール一色でモンパルナスの街自体にはほとんど言及していなかったので、今回はモンパルナスの街自体について書いてみたいと思います。


モンパルナスの街といえば20世紀初頭、エコール・ド・パリの芸術家たちの日々を描いたジェラール・フィリップ主演の映画「モンパルナスの灯」でも知られる古くからの歓楽街なんですが…


Gerard Philipe
Gérard Philipe(1922-1959)


ただあくまでも全盛期はそのエコール・ド・パリの芸術家たちが集まった第二次大戦前までで、現在でも一応歓楽街は歓楽街なんですが、見たところ1960年代ぐらいから営業しているような「クラシック」な佇まいの店が多く、道を歩く人たちも心なしか日本で言う「団塊の世代」あたりの年代の人たちが多いので、東京でいえばオジサンたちの遊び場「新橋」や「新宿ゴールデン街」のような風情のある街でした。パリの遊び場としては現在ではセーヌ右岸2区のレ・アールや、同じ右岸の3区バスティーユが鬼アツいんだそうです。オシャレなセーヌ左岸も今は昔、といったところなんでしょうか?


そんなモンパルナスですが1970年代以降、歓楽街としてではなくビジネス街として再開発が進み、それを象徴するのが低いパリの建物の間からニョッキリ顔を出す「黒い秘密兵器」モンパルナスタワーなのです。


モンパルナスタワー
Montparnasse Tower / Tour Maine-Montparnasse


映画「2001年宇宙の旅」の冒頭と「オチ」の場面に出てくる謎の物体「モノリス」を想起させるこの奇妙な建築物は1973年完成のれっきとしたオフィスビルです。その特異な姿から完成当初より「パリには不似合い」だの「デカすぎる」だの「ブサイク」だのと今日に至るまでさんざん罵られ、施工主ではないらしいものの一応建設許可は与えてしまったパリ市当局に「パリにこれ以上高い建物を建ててはいけません」という条例を施行させるに至った、パリ市民及びパリ市当局にとっては「トラウマ」的な建物でもあります。


そのあまりの評判の悪さから、エッフェル塔をはじめとする「パリ近代建築物五人(?)衆」…エッフェル塔、ポンピドゥーセンター、新凱旋門、ルーヴルのピラミッド、そしてモンパルナスタワー…の中では最も知られていない存在であります。実のところヨーロッパ萌え~な私も、この呪われた建物の事は今回パリに行くにあたって、某オフな古本チェーン店でパリのガイドブックを購入するまで全く知らなかったです。まあ確かに私の地元・京都市内にこんな黒い墓石みたいな建物が建ったとしても別に嬉しいとは思わないし、他県の人に「ホラホラ綺麗でしょ♪」みたいに自慢できないな~と思うのです。


ラ・デファンスの新凱旋門
Grand Arch de La Defence / La nuit


このフランスの近代建築群に関しては、1980年代後半に建てられた「新凱旋門 (グラン・ダルシュ)」は周囲に何も無い古戦場跡「ラ・デファンス」に建てられたものだそうで、景観については逆に新凱旋門に調和するような建物を周囲に造ってゆけばいいわけなので、そのように都市計画されたらしいラ・デファンスの眺めは見た目にそんなに違和感は感じる事は無かったです(まあ、写真でしか見た事は無いですけどね…)。ただ日本でも有名な1977年完成の「ポンピドゥーセンター」を初めて見た時はその建築途中のような奇異な外観に「たいがいやな~(※1)」と思いました。さらにルーヴルのガラスのピラミッドについては…まあ4月30日のブログの画像で見るとおりの惨状です。フランスの建築業界は私の感ずるに、このところ「ウケる」より「スベる」事のほうが多いようです。


ポンピドゥーセンター
Centre Pompidou


まあそんなんでも折角モンパルナスまで来たんだし、話のタネにちょっと見物してみるかと思い、中に入ろうとしたんですが…案の定関係者以外は入れないように、正面入口すぐの小さなエントランスホールの手前にはロープが張ってあって、その前に一人の若い警備員が立っています。彼は中に入ろうとする私を制止して何やら話しかけるのですが…生憎フランス語なので何と言っているのかよく分かりません。しかし9.11以降の欧米諸国の常として「入館証を発行した人以外は中に入れません」と言っているであろう事は分かります。私が英語で「中に入りたいんだけど、どうすればいい?」と尋ねても今度は相手があまり英語が分からないようなので (国際的オフィスビルなのに!)、どうにも埒があきません。男は外を指差して「チケット、チケット」と言って次に上のほうを指差すので「外に出て展望台のチケットを買え」という事なんだろうなと了解しました。

言い忘れましたが、ここモンパルナスタワーは地上56階の展望台と屋上は有料で一般に開放されているのです。まあそれを知った上でのこの「狼藉」なのですが…。チケット代を節約した上で展望台まで行けたら儲けものだな、という下心もあったわけです。

警備の兄ちゃんをこれ以上困らせてもイカンので、一旦外に出て展望台のチケット売り場をモンパルナスタワーの周りをぐるぐる回って探したのですが、一体どこにチケット売り場があるのかさっぱりわからないのでした。


そのうち何やら修復工事をやっているような、周囲をフェンスで囲まれた場所を見つけたので、人がいなかったので囲いの中にこっそり入ってみるとデパートの正面入口にあるような来客用ドアとおぼしきものを発見しました。そこから中を覗いてみるとブランドショップが並ぶデパートのようなフロアーになっていて、中には買い物客と思われる人たちが沢山いたので、もしかしたらこのドアから(タダで)中に入れるかもと思い、ドアを押したり引いたりしてみたのですが、当然のごとくまったく開きません。


そのうち陽も傾いてきました。モンパルナスタワー自体、特に私にとって特に思い入れのある場所というわけでもなかったので、いい加減乱暴狼藉にもアキてきたので次なる目的地・シャルレティ競技場(前回のブログネタの場所)へと向かいました。


…現在に至るまで酷評散々のモンパルナスタワーですが、一つ良い点があるとしたら56階の展望台や屋上から見えるパリの眺めは最高、という事でしょうか。まあ、モンパルナスタワーからは気の毒な外観のモンパルナスタワーを見る事は出来ないですからね…。それではウィキペディア日本語版からパクったモンパルナスタワーからのパリの夜景をご覧いただいてパリの3日目からお別れしましょう。さらに大きな写真は「ウィキペディア日本語版・モンパルナスタワーの項」にてご覧いただけます。それでは次回からはパリ4日目・遂にパリ観光最終日!いよいよパリ観光の定番、エッフェル塔とルーヴルへと参ります☆


Paris-Nuit



…散々コケにしたモンパルナスタワーですが、一応ブログネタを提供していただいたという事で、公式HPのURLを掲載しておきます。フランスの「黒い秘密兵器」に関心を持っていただいた方はどうぞご覧を。日本語を含む各国語のHPもございますよ。


http://www.tourmontparnasse56.com/


註)
※1.「ヒドいな~」「ヘンだな~」という意味を含む、関西弁で奇異な物事を表現する言葉。漢字で書くと「大概やな~」。