皆様こんにちは。栄養を科学する抗加齢歯科医、森永宏喜です。
地元紙に定期的にコラムを執筆していますが、近日中に以下の内容が掲載されます。
専門家の先生方や、分子栄養学をしっかり勉強されている方からみれば当たり前であり、物足りない内容かと思います。もちろん25OHVDの血中濃度を測定しつつ十分な量(多くは最低5,000IU以上)を摂取するのがベターです。しかし今は、一人でも多くの方に情報を届け、VDサプリを摂取頂くことも大事です。もしご賛同下さるなら、記事をシェア頂ければ大変ありがたいです。
連載 クチからはじめるアンチエイジング医学
~第17回 緊急提言 いまやれることの一つ、ビタミンD~
新型コロナに明け暮れた2020年が終わり、新しい年が到来しました。昨年11月、連載第16回の結びで私は「新型コロナ感染症(COVID-19)は、これから再度の感染拡大が危惧されます」と書きましたが、不幸にしてその予測は的中し、爆発的な感染拡大で政府は再度の緊急事態宣言を発令、そして当地域でも集団感染(クラスター)が発生する事態となりました。
ワクチン接種がまだ開始されていない現在、これまで取り組んできた手洗い、うがい、三密を避けるなどの対策のほかにも、私たちがすぐに取り組めることはあります。そのうちの一つ、ビタミンD(VD)についてです。
☆日本抗加齢医学会も情報発信
国内最大のアンチエイジング医学の学会である「日本抗加齢医学会」学術誌の最新号に、COVID-19とVDの関係についての総説(多くの報告をまとめて解説する論文)が掲載されました。VDがCOVID-19対策に有効だということは、昨年3月の本連載第14回でも触れていましたが、国内有数の医学会でも公式に情報発信を始めたことになります。その中から、一般の方向けに重要な内容をお話します。
☆ビタミンDとウイルス性呼吸器感染症
ウイルス性呼吸器感染症(新型コロナもこれに含まれます)へのかかりやすさや重症化しやすさと、VDサプリメント摂取の有無は明確に関係していることが国内外の研究から以前より明らかになっています。なかでも有名なものは、東京慈恵会医科大学で子どもに対して行われたもので、1日に1,200IUのビタミンDサプリメントを摂取したところ、A型インフルエンザへの罹患が42%減少したというものです。インフルと新型コロナはもちろん別のウイルスですが、呼吸器感染症のリスクを下げる点で、昨年の感染拡大初期から注目されていたのです。
☆ビタミンD低値は新型コロナ感染リスクを上げる
最近は新型コロナとVDの関係の研究成果も蓄積されてきています。欧州20か国の調査では血中VD濃度(VD値)が低いほどCOVID-19にかかりやすく、また重症化もしやすいとの結果でした。また米国での最新の調査では、VD欠乏(20ng/mL未満)ではVD充足(30 ng/mL以上)と比較してCOVID-19にかかる危険が1.77倍という結果も出ています。
図1 VD欠乏群ではVD充足群と比較してCOVID-19に
かかる危険が1.77倍(米国シカゴ大学)。
☆ビタミンD低値はCOVID-19が重症化しやすい
多数の研究で、VD値が低い患者はCOVID-19が重症化しやすい傾向がみられます。インドネシアの研究では欠乏患者の死亡率は98.9%%だったのに対し、充足していた場合は4.1%と大きな差がでています。
図2 VD値とCOVID-19死亡率の関係。
インドネシアでの患者780人に対する調査
☆冬季は不足しがち、高齢者は特に注意
一般にVDが「充足」といわれる30 ng/mL以上の日本人は1~2割だという調査もあり、大多数の日本人はVD欠乏か不足と言っていいでしょう。VDは紫外線を皮膚に浴びることで体内で合成されますが、肌を露出することが少ない冬季はその機能が十分に発揮されません。さらに高齢者では皮膚でのVD合成能力が低下しています。通常の生活ではどうしてもVD不足におちいりやすいのです。やはりサプリメントを摂取するのが確実な対策といえます。
☆1日あたり2,000IUのVDサプリメントを摂ろう
「ビタミンDが不足とか欠乏っていうけど、そんなの測ったことないよ」
もちろん、ほとんどの方がそうでしょう。特定の病気の方以外では、測定の経験がある方はとても少ないと思います。VD値を低いまま放置しないことが、現時点で私たちが取り組めるCOVID-19対策としてはかなり有効らしいこと、大部分の方がVD値を測定する機会がないことを考えると、1日あたり2,000IU程度のサプリメント摂取は有効で現実的な対策といえるでしょう。
安全で効果が確実なワクチン開発が待たれるCOVID-19対策ですが、「まず、やれることをする」ことは大事です。VDサプリメント摂取、ぜひ実践されることをおススメします。
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