瑠帷の家 -5ページ目
私の心は
私の心は旅に出る
どこか知らない遠くまで
そこには誰がいるだろう
そこには何があるだろう
一つ目 町は荒れ荒み
盗むも殺すも咎めない
誰かの幸せ 踏みつぶし
誰かの幸せ 飛びあがる
二つ目 町は愛あふれ
手を取りあう人 そこかしこ
けれども あの二人の愛は
砂の彼方に消えてった
私の心は旅に出る
どこか知らない遠くまで
そこでは何を見るだろう
そこでは何を聞くだろう
三つ目 町は見憶えが
ふと ため息をつきかけて
この町はまだましだろうか
他の町よりもましだろうか
四つ目 町は夢の町
あなたとわたしが手をとって
笑って踊る星月夜
崖から落ちて目が覚めた
私の心は旅に出る
どこか知らない遠くまで
どこか知らない遠くまで
どこか知らない遠くまで
やさしい思い出
やさしい思い出ほど
切ないものね
笑顔の写真 見るだけで
胸が痛くなる
楽しい日々 嬉しい時
一緒に過ごしたね
でも あなたとわたしでは
意味が違う
出会わなければよかったなんて
言わないよね
何にも手につかないほど
つらくなるけど
何でもしていなけりゃ
泣けてくる
忙しくて
どうしようもない日々
思い出が薄れるから
ありがたいわ
思いもよらない皮肉な言葉
こぼれている
思い返せば 振り返れば
幸せな出来事
幸せな二人が
なぜここにいないの
出会わなければよかったなんて
言わないよね
洗い物の話
ひとりが好き ひとりが好き
お昼ごはんも 晩ごはんも
好きな時に食べられる
ひとりが好き ひとりが好き
洗濯物だって干しっぱなし
でもね ある日
洗濯物を取り込む時
ひとり泣きする あたしが見える
わけもなく 涙が出るのは
そうね かなしいからね
あら、靴下落としちゃった
ひとりが好き ひとりが好き
洗濯するのも好き
ひとりが好き ひとりが好き
ひとり泣きはきらい
ひとりが好き ひとりが好き
ベッドで寝ても 床で寝ても
あたしのままに気のままに
ひとりが好き ひとりが好き
そろそろお皿洗おうかしら
でもね 昨日
お皿洗いをした時
ひとり泣きする あたしがいたの
グラス洗う手が止まるのは
水が冷たいせいね
洗剤、なくなっちゃった
ひとりが好き ひとりが好き
お皿洗いも好き
ひとりが好き ひとりが好き
ひとり泣きはきらい
冗談
わたしがあなたを
好きでも嫌いでも
南極の天気より
きっと興味がない
毒にも薬にもなれない
風よりも羽根よりも軽い
時計の針がわずか進むより
小さいわたし
死んでみたら
やっと気にかけてくれるかもね
冗談じゃない
わたしがあなたを
愛しても恨んでも
昨日のニュースより
きっと興味がない
痛みにも痒みにもならない
月よりも星よりも遠い
隣の国より話題になれない
小さいわたし
死んでみても
もしかしたら風の噂ぐらい
冗談じゃない
ある晴れた日に
街行く人は時々
あたしをめずらしそうに見る
目が合うのは気まずいのね
通り過ぎた視線
何にも知らない子どもたちも
目を丸くして見てる
見て見ぬふりでそらすのは
何にも知らない大人たち
好きな服を着て
好きな道を歩く
あたしはあたし 変わらない
でも ちょっと さみしいかも
少し変わったあたしを見て
苦笑いをするあの人
認めきれずに困った笑顔
窓の空を見る
傘もささずに小雨に出れば
いつのまにか濡れている
人の心はそういうふうに
いつのまにか傷つく
傘ぐらい自分で
好きなときにさす
あたしはあたし 変わらない
でも ちょっと さみしいかも

