瑠帷の家 -34ページ目
ありえない夢
可愛らしい人に憧れて
高い声なんか作ってさ
作り笑いの一つもできやしないのに
声なんか作れるわけないよね
どうせ人前に出れば
まともに話せもしないんだから
声なんか作ってどうするんだろうね
とんだ馬鹿さ あたし
そんな作り物なんて
袖の一振りで剥がれる化けの皮
化けてさえいないただの皮
誰一人振り向かせられなくて
目指すものなんかありゃしない
目指すとしたらただの女
そんな夢誰が持つんだろうね
とんだ馬鹿さ あたし
大きくなったらただの女になりたい
ありえない夢を笑えよ
女じゃない今 幼い今は人でなしか
ただいま女に戻りました
いつかそんなことみんなの前で言ってみたい
ありえない夢を笑えよ
とんだ馬鹿さ あたし
とんだ馬鹿さ あたし
とんだ馬鹿さ
とんだ馬鹿さ
ありえない夢を笑えよ
鼓動
暗闇の中 階段を上がる音が聞こえる
暗闇の中 私の鼓動の音が聞こえる
私の鼓動が激しくなれば
階段を上がる音 早くなる
私の鼓動が静かになれば
階段を上がる音 遅くなる
高鳴れ 私の鼓動
高鳴れ あの人を呼べ
高鳴れ 私の鼓動
高鳴れ あの人を呼べ
世代
若い世代がいいとはかぎらない
老いた世代がいいとはかぎらない
体も動いて壮んな世代がいいとはかぎらない
どれかの世代がいいと言うのなら
その世代ばかり繰り返せ
どれかの世代が悪いと言うのなら
その世代すべて消えてしまえ
世代 世代 廻るな世代
世代 世代 廻るな世代
尖る時代がいいとはかぎらない
丸い時代がいいとはかぎらない
角同士で削り合う時代がいいとはかぎらない
どれかの時代がいいと言うのなら
その時代だけを繰り返せ
どれかの時代が悪いと言うのなら
その時代すべて捨ててしまえ
時代 時代 巡るな時代
時代 時代 巡るな時代
宙の中
僕は君の行く先を照らす太陽
君は今 とても難しい迷路の中
僕は往くべき道を照らすよ
君の鍵 たとえ失くしても迷路の中
僕は死ぬまで道を照らすよ
君の心を奪う罠は
僕がすべて焼き尽くしてしまおう
私は何も持たないただの人
あなたに触れるにはあまりに遠い
星をいくつ渡っても遠い
あなたに触れるにはあまりに熱い
近くの星も渇いてしまう
見つめるにも光は強すぎて
宙(そら)の中で手探りをする
どうか あなたはただの人だと言ってよ
ただの人だと言ってよ
命の雫
毎日 冷たい雨は降り続く
袖も裾も襟足も乾かぬうち さらに雨は降り続く
もともとこんな服だったと勘違いをするほど
いつまでも雨は降る
どうせ肌も乾かないから傘は差さない
ずぶ濡れなのにもいつしか気づかなくなって
風邪の具合は悪くなるばかりだ
雨よ 一日でも晴れろ
雨よ 半日でも晴れろ
雫も溜まれば川となる 川は大きな河となる
河は流れて濁流に 濁流流れて海となる
溺れない人がいるだろうか
溺れたのに気づけばましなものさ
お前に舟を渡したあいつは蒼い砂になった
いつか掬いに行くよ 海の底へ
雨よ 五分でも晴れろ
雨よ 今だけでも晴れろ
降り続いた雨で私の服はずぶ濡れのまま
これがもともと 当たり前さ
肌は破れそうなほどに濡れてしまった
悲しい雨が 沁みわたるよ
枯れ果てた荒野に降り注ぐ
きつい陽射しでも傷つかない
命の雫が守ってくれる
涸れ切った荒野に
僕は笑いながら立っているだろう
そして 歩いていくだろう

