冬の手紙




この世の中人づきあいなんて簡単にできるはずもなく、

すっかり引っ込み思案になった私に初めて出来た友達。

それが、神奈川所在の『のっきーさん』だった。



(…手紙、こない。)



やっとうちとけてきたの『のっきーさん』との文通。

一週間に絶対一回は『のっきーさん』からの手紙が来ていたのに、

なぜかここ最近、『のっきーさん』からの手紙は途絶えたまま。


今日だって…。



(…今日も、こない。)



ポストの前でいくら待っても、『のっきーさん』からの手紙はこない。
ここのところ雪だからだろうか?
だから神奈川からの手紙や宅配物はこないのだろうか?
それとも、もう、『のっきーさん』は……



「…はぁぁあ」


この白い息が憎い。
この白い雪が憎い。
この雪さえ、降らなければ…。



「よう。」
「ぎゃっ!!」


思わず変な声を出してしまった。
だって後ろに誰もいないと思っていたから。


声の主は…


「みや、むかい、さん…」
「おう。」


声の主は私の隣人である宮向井さん。
年齢不詳、名前不詳。
若くもあるし、老いてもいる不思議な人だ。


「こんにちわ…」

でも私はそんな彼を嫌いではない。

「コンニチワ。 で、」
「?」

「いつまで、待つつもり?」


バレてました。


「…もう、すこ、し?」
「嘘」
「…え、えへ」


宮向井さんはひょんなことから仲良くさせてもらっていて、
もちろんのこと『のっきーさん』のことを知っている。というより、
以前『のっきーさん』からの手紙を郵便屋さんが私のポストと間違えて宮向井さん家のポストに入れて、
中身、読まれたそうで。…ガッツリと。


「ほら、もう冷えてきたから」

私の手を引いていってくれる宮向井さん。


(宮向井さんも、冷たいなぁ…、手)


「もう少しだけ…」
「は?」
「あと、ちょっとだけ待ってみても、いいですか?」
「……」


私にとって『のっきーさん』は、初めてできた友達だから。


(呆れてる、かな)


せっかく、手、引いてくれたのに。


「…はぁ。」
「…ごめんなさい。」
「…い-よ。俺も待つから。」


「え?」


今、なんて


「あと少しだけ、 な?」


この人づきあいなんて簡単に出来ない世の中で、
私はなんて、


「はい!」


幸せ者なんだろう。




この白い雪が愛おしい。




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駄文ばかりもあれだなと思い

ちょっと短編小説なんて始めてみました。

小町と宮向井さん。

引っ込み思案な女の子と

少し口の悪い男の人のお話です。

10話最終回ぐらいでやっていけたらなぁと思います。


ところで

『のっきーさん』って

我ながらノット センスです。(笑)






① 小町 春夜 (コマチ ハルヨ)


引っ込み思案な女の子であり、

この物語の主人公的ヒロイン。


得に何も目立ったことはせず、

普通を普通に生きる女の子。


でもそれが一番の幸せと知っているのです。




② 宮向井さん (ミヤムカイ サン)


小町春夜のアパートの隣に住んでいる男性。

宮向井としかプレートに書かれておらず下の名前は不明。

ひょんなことから小町春夜と知り合いに

でもそのひょんなことってホントにひょんなこと。

実は小町がおしょうゆ切らして貸してもらっただとか。


普通を退屈と思っているような

そうでもないような



③その他


いっぱいだしたいです。

でもその回その回だけの人だと思います。

唯一その回だけじゃない人は

小町の文通相手の 『のっきーさん』 だけ。

小町は密かに 『のっきーさん』に想いを寄せています。







ハジメマシテ



一言で縛り、くくったらこんなにも簡単なのに



ダイスキダヨ



その一言が言えないの





貴方に媚びばっか売ってる女に嫌気がさす

貴方と仲がいい貴方の幼馴染に憎悪がます


だって私にできないことばかりするんだもん



私じゃあんなに媚びを売れない

私はあんなに貴方と仲がよくない



一言

そう、たった一言の言葉



いらないお喋りしかでてこない私の口に嫌気がさす

肝心なことは何一つ言えない私の心に憎悪がます



貴方のこと、もっと知りたい

貴方のともっと、もっとお喋りしたい


貴方に、この気持ちを伝えたい



でも私の口は開かない

だって私の心が臆病だから



ハジメマシテ


ダイスキダヨ



文字数はおんなじで

気持ちだけはこんなにも違う言葉



心でつぶやいても聞こえない

言葉にしないと伝わらない



ねぇ、私、貴方にとって、どう写ってますか?

ねぇ、私、貴方にとって、ただの友達の一人ですか?


まだ、言えない

まだ、言えない



きっと言えない

だって、言えない







―――――――――――――



「なぁ、」



貴方の声に反応する



なぁに?



嬉しいはずなのに

私、そっけない態度になってしまう

嬉しい、くせに




「オレ、お前にとって、どう写ってる?」





…先を越された







拝啓 ■□サマ



夢を見ました

ゆらゆら魚になる夢を

貴方が出てきて

貴方は金魚で私も金魚で


でも貴方は青い金魚なのよ

見たこともない青い青い、群青色の金魚

そして私は貴方に恋をするの

私はなんの変わりもない赤色の金魚だったわ


いつからだろう

貴方の目を見ずに話すようになったのは


貴方との違いに気付いてしまったから?

貴方が急に怖いと思ってしまったから?


貴方は青色の金魚だった




月光のさす中でダンスしたの

青色の貴方と赤色の私

とても神秘的な夜だった

貴方の尾びれがキラキラ月光で輝いて

それはそれは綺麗だった


貴方は綺麗で

私は普通。そう、普通


だからなの?

私は貴方が怖くて仕方がない




貴方に告白したの

好きですって、付き合ってくださいって

そしたら貴方は悲しく微笑んだ

僕でいいの?

変わり者の僕でいいの?って

…その時気づいておくべきだったわね

私は貴方に抱きついた

もちろん そんな簡単な言葉を言って




貴方と私は夢の中で金魚だった

でも貴方は普通ではない青色で

私は普通の赤色だった

いくら種類は同じでも、それでも違う

私はいくらがんばっても青色にはなれなかった




もう荷物はまとめました

今日、私はここを出ていきます

貴方は帰ってきてこの手紙を読み、驚くことでしょう

そして次にこんな事を思うのではないしょうか?


ああ、やっぱり、そうか、と


それが私の答えです



貴方は綺麗だった

そして貴方は異質だった

私はどうしても青になれなかった

ただ、それだけの話です


勝手なことしてごめんなさい

逃げるようなことしてごめんなさい


でも私は貴方が怖い

私と違う、赤色じゃない貴方が怖い


だから、どうか、お元気で



20●●年 ○月×日  ▼△より





それから2年後

街で見た君は

赤色の尾びれを持った人と歩いていたね

それでいいんだ

君は無理に変わろうとしなくていい

君と同じ色の人と共にあればいいんだよ


僕はもう、君の色には、染まれないから








私の心臓と貴方の心臓を取り替えて

私が死んで

貴方が生きて

貴方が私の為に泣いてくれて

でも私の分まで長生きしてくれて

そして最後に私に出会う

そんな未来が欲しかった


そう思うほどに

貴方のいない世界は考えられなかった


それでも結局私が生きて貴方が死んだ

私の心臓を貴方にあげる、私の考えたハッピーエンド

それとまったく正反対のバッドエンド

次に貴方に会うのは何十年後

もしかしたら貴方は待っていてくれないかもしれない


私は貴方のと合わなかったこの心臓を憎むしか他ない



ねぇ待って、行かないで

そう何度言っただろう

そう何度願っただろう


叫んでも、喚いても

泣いても、憎んでも、憎んでも


貴方はいない



白い欠片になった貴方

私のハッピーエンドの筋書きでは今生きていた貴方

長生きするはずだった貴方



貴方がいない世界を考えたことがなかった

貴方がいない世界に何の意味も感じなかった


最後に貴方が言った言葉



長生きして



そんな言葉、聴きたくなかったのに



うん、と頷くことしかできなかったじゃない

約束になっちゃったじゃない

すぐにそっちに行きたかったのに

約束破ったら貴方に嫌われるじゃない


こんなに、意味のない世界なのに




ねぇ降りてきてよ

ねぇそして抱きしめてよ

ねぇ戻ってきてよ

ねぇそしてキスしてよ


それが出来ないなら、 一緒につれてって




白い欠片を粉々に

白い砂を風に乗せて

私の髪と共に

海の底へ



そして白と黒ずっと一緒に

産まれてきた場所へ

ずっと一緒に、…貴方と共に



そして私の肉体は、

今もたったひとりきり


この貴方のいない、意味のない世界で

ひとりきり




―――――――――――――


Only one


『貴方だけ』でもあるし

『ひとりきり』でもあるし






せわしなく鳴く君の声に心を打たれる

あの日差しが陰る前に君を助けださなければ

もう少し、もう少し

ほらもうすぐ君に手が届く

ほらもう少し、待って、待って


い か な い で 




世界が逆転

夏の空に君を探す

見つからない、見つからない

どこ、ここ、どこ、きみ

声が聞こえない



夏の朝

せわしなく鳴く

君の声


あの世界にはもう、帰れない



ねぇ声が聞えるでしょう?

ねぇ返事をして

一鳴きでいいから



夏の夜

静寂の中

夢覚める


この夏にもう、君はいない



―――――――――――


Cicadaって蝉なんだぜ





あの時の一瞬一瞬がもどかしくて、甘くて

まるで夢を見ているような感覚


甘い甘い、ソーダ水の弾ける音



夏の日差しに輝いた小麦色の肌は

私にとっては魅惑の媚薬



ねぇ、この夏を切り取って

思い出という名がつく私の宝箱へ


そうするとソーダ水の音が、小麦色の媚薬が

永遠にリピートする、また感覚がよみがえる





甘い、甘いソーダ水の弾ける音


灼熱の太陽、煌めく貴方のオレンジ色


輝いた、少なくとも私にはそう見えた、貴方の小麦色の肌の色は媚薬




眼が覚めるのがおしいくらい愛おしい時間で

でも覚めないと永遠にすがりついていたくなる毒薬



そんな、甘い、苦い、あの時の、私の、世界。





ソーダ水が無くなった

貴方の小麦色もなくなった


残ったのは私と傍らの宝箱


あの季節をリピートする宝箱に鍵をかけて

私も一緒に歩き出す

貴方とは別の方向へ、もう一度貴方に出会えるために



甘いソーダ水の弾ける音

あの夏、あの時、私の世界だった瞬間

貴方の媚薬、惚れぼれする。くらくらする。



でもまた衝撃的な出会いをするまでおわずけ

ソーダ水も、貴方の小麦色も、全部、箱の中



ほら、またソーダ水の弾ける音がかすかに聞こえる


あの瞬間が永遠に私の世界になる瞬間まであと少し






また小刻みに震える私の心臓を、さぁ、これからどうしようか



歩いたのは足で笑ったのは口で考えたのは脳みそで

どこをさがしても私はおらず、どこをみても心はあらず



ここはどこ-?私はだれ-?

そんな感じで歩きます



瞬きして考えて

夢みて空みて恋をして



春の日差しをあびて

夏の太陽に目を細め

秋の落ち葉に微笑をおとし

冬の風に身をすくめる



私をさがしてどこまでも

「こんにちわ」「さようなら」




体育座りで頭を抱える私に出会う

「どうしたの?」 口が言葉を放つ


体育座りの私はまた小刻みに震える

手は体育座りの私の頭を撫でる なでなで


すると体育座りの私の目は目を開けて口が言葉を放つ



「助けて。」




その言葉を待っていました




やっと産まれた私の感情

やっと芽生えた私の不安



「もちろん。」




やっと産まれた私に手をのばす

手がのばすんじゃない

私が、手を使ってのばす



「助け出しましょうとも」



ニッコリ笑う

ほら、小刻みに震えた心臓は正常にもどった

そうして顔は微笑みに変わる




「今日も今日とて明日とて」

「私は私を生きてみましょう」




ほら体育座りの私は消える





あの日の私は狂っていたのかもしれない。

狂い舞う桜の中だったから、きっとそうだ。

私は狂っていた。狂う様に飛び舞うピンクの雪に狂わされた。


じゃないと、こんな想いなんてしないはずだ。


ピンクの雪に目を細め、貴方を見たから。

だから、私は狂って、だから…―――。



今年もピンクの雪が舞う

狂うように、私を狂わすように


「     。」


今年も言えそうにない言葉にため息をつく。

そうすれば少しだけ肩が軽くなるかな、なんて思ってたけどそうでもないような。



くすっ。



ほらまた笑われちゃったよ。…ホントに、もう。

このピンクの雪はどこまで私を狂わすのか…。



「     。」



心でつぶやいてもしょうがない。

言葉にしないと届くことなんてない。


…よほどのことがなければ。

奇跡がなければ。


その奇跡を信じてしまうあたりがホントに狂ってる。

狂わせたのはピンクか、はたまた貴方か。




きっとこの問題は今の私には解けそうにないのです。

奇跡を待ってもしょうがないと知っているけれど、でも待ってみたいのです。

この感情に名前を付けるとならば、一般的な考えて言えば簡単だけど、

そんな簡単にこの感情を一言でまとめて欲しくないのです。

だってこの感情はとても大事な気がするから。




「だ-な-んて、」



また狂ったのかな、私




……。



「…ダイスキ。」




言えないなぁ、やっぱし。





私は夢喰い

おいしい夢は、ございませんか?

私は夢喰い

悪い夢は、おいしいごちそう


私の夢は半透明

色がついた夢を食べてみたい

綺麗な色じゃなくてもいいの

真っ黒でも、ないよりはまし

ないよりはおいしい


色のついた夢はありませんか?


真っ黒な苦い夢でも

それは私のごちそうになる



…みんな、贅沢ね。



食べたい夢は甘い夢じゃくなていい

食べたい夢は綺麗な夢じゃくていい

汚くても、苦くても

ただ、色のついた

それだけで、いい


みんな贅沢で、いい夢だけほしがって、ずるい。



私は夢喰い

悪い夢はおいしいごちそう

でも、ひとつだけお願いが叶うなら


私は、人になりたい



贅沢でずるくて

でも甘くて綺麗な夢を見れる

人に、なりたい。