尊敬する女人―辰巳芳子
大正13年生れで、93歳。大変な御歳である。聖心女学院を卒業し、母に見習い、教えられて家事と料理を学び、家族を支える。
私はNHKの番組[おいしさを待ちわびて」という放送があって、初めてこの方を知った。
昔の旧制女学校や男子高等学校は良かった。最近のような若い感性に媚びるのをカッコよしとする風潮とは違い、18歳から20歳の人間の最成長期を、哲学や宗教を真剣に学び、その後の人間の幅と基礎作りに貢献し、将来に夢を抱かせれる力強さがある。いずれも戦争に巻き込まれ苦労をしたが振り返れば充実した青春であった。
そのような環境で学ばれ、以来家庭生活、特に日常の食事には、野山の旬のものを巧みに料理され、のちにフランス・イタリアスペイン料理にも精通され、家庭料理の大先生となられ、鎌倉の森の自宅には、料理を学ぶ家庭婦人たちが通っている。
この人には品格と知性がある。今テレビの料理番組とは格が違う。特に年寄りの栄養を目指したスープは絶品だと言われている。庭の梅の実を漬けたり、庭の旬の野菜を食膳に出したり、とにかく日本の四季の食材の「おいしさを待ちわびる」日々。だから心豊かに長生きされているのであろう。こんな方を妻に持ち、母に持ったら、家庭は幸せなことだろう。







