奈良の池の中道ー癒しの道 | 閑話休題

  奈良の池の中道ー癒しの道

 コロナ騒ぎで、ゴールデンウイークも人の集まる観光地は閑散たるもの。だが家に閉じこもるのも、田舎の大きな家では支障がないが、都会のアパートやマンション暮らしの人は、心身共に健康的ではない。よって観光地で人の集まらない郊外の絶景地でのハイキングで、今までの鬱を癒されては如何かと考える。そこで推奨したいのは、緑と水の中の、奈良の池の中道ー癒しの道である。

 

  近鉄奈良線西大寺駅で京都線に乗り換え、最初の駅が平城駅である。北に歩くと広大な前方後円墳の神功皇后陵に突き当たる。それを拝して駅に引き返し、東へ細い道を辿ると成務-せいむー天皇陵と日葉酢媛命-ひばすひめのみことーの御陵の北側に着く。両側の周濠の堀の池の真中を区切っている堤がある。ここが今日の第一の休憩ポイントで、人も殆ど通らない。携えて来た駅弁を食べて寝そべれば、心も広がり家で閉じ込められていた鬱も癒される。時間も忘れるいい場所である。

 

 休憩が終わると池の中道を南に行くと、政務天皇陵と日葉酢媛命の巨大な御陵の前に出る。日葉酢媛命は弥生時代からの丹波の豪族の娘で、崇神天皇の佐保姫皇后の死の後、後妻として皇后に登られた。そして景行天皇を生み、その子に成務天皇が産まれる。成務天皇は日葉酢媛命にとって可愛い孫に当る。この成務天皇は滋賀に都を遷されたとも、九十五歳で崩じたともいわれるが、存在の薄い天皇て学者は天皇とは認めていない。ただ天皇にならなかったとしても、実在していたのか祖母の日葉酢媛命は可愛がり、自分の御陵の隣りに成務天皇が造られたとも考えられる。こような二つの大古墳が引っ付いているのも例がない。

 

 この両御陵を拝した後、道を東にとると、広大な水上池につく。都が京都に移った後、跡地を田畑にした時、用水の必要から水上池が造られたと思われる。広大な人工池である。そして作業の都合上この中道を造ったと思われる。今や満々と称えた池の中に伸びる一直線の道は、池の中を歩く者にとって癒しの風景である。その中道の途中で四方池に囲まれた中で、寝転ろぶと心が癒されること間違いない。

 

  水上池を出て南すると海龍王寺に出て、バスに乗れば近鉄奈良駅はすぐである。連休を家で過された家族は、あまり人々の行かない佐紀丘陵の道を歩いて英気を養われるのが良い。是非お勧めしたい癒しの道である。

 

   

                赤線部分が池の中道