私の愛した詩人6 北原白秋
柳川
もうし、もうし、柳川じゃ、 薊の生えた もうし、もうし、旅のひと 夕焼、小焼
柳川じゃ。 その家は、・・・ 旅のひと。 明日天気になあれ
銅の鳥居を見やしゃんせ。 その家は、 あれ、あの三味線をきかしゃんせ
欄干橋を見やしゃんせ。 古い昔の遊女屋ーノスカイヤ 鳰ーにおーの浮くのを見やしゃんせ
(馭者は喇叭の音やめて 人も住はぬ遊女屋 (馭者は喇叭の音たてて
赤い夕日に手をかざす。) 赤い夕日の街に入る
片恋
あかしやの金と赤とがちるぞえな 北原白秋の名童謡 作曲は1000首に及ぶ
かたはれの秋の光にちるぞえな 砂山. 待ちぼうけ からたちの花
片恋の薄着のねるのわがうれひ ちんちん千鳥 今屋のおろく
「曳舟」の水のほとりをゆくころを。 城ヶ島の雨 ペチカ この道
やはらかな君が吐息のちるぞえな。
あかしやの金と赤とがちるぞえな。
落葉松
からまつの林をすぎて からのつの林を過ぎて からまつの林の奥も からまつの林の道は
からまつをしみじみと見き からまつの林に入りぬ わが通る道はありれり われのみか、人も通う道なり
からまつはさびしかりけり からまつの林に入りて、 霧雨のかかる道なり ほそほそと通ふ道なり
たびゆくはなかしかりれり からまつの道はつづけり 山風のかよふ道なり さびさびと急ぐ道なり
からまつの林をすぎて からまつの林を出でて からまつの林の道は 世の中よ、あわれなりけり
ゆえ知らず歩みひそめつ 浅間嶽にけぶり立つ見つ さすびしけどいよよしづけし 常なけどうれしかりけり
からまつはさびしかりれり 浅間嶽にけぶり立つ見つ かんこ鳥鳴けるのみなる 山川に山がわのおと
からまつとささやきにけり からまつのまたそのうへに からまつの濡るるのみなる からまつにからまつの風
柳川の豪商の生まれ。少年時代の故郷の景色に、終生ノスタルジャーを抱き続ける作家・作詞家・童謡作歌。最後には国民的詩人として故郷に錦を飾る。初期の作品は伴天連の堅苦しい詩もあるが、その後は平易で親しまれる名歌が多い。私の大好きな作家。