私の愛した詩人 3 与謝野鉄幹
人を恋ふる歌
妻をめとらば才たけて 四たび玄海の浪をこえ
顔ーみめーうるわしくなさけある 韓のみやこに来てみれば
友をえらはば書を読みて 秋の日かなしオウジョウ
六分の侠気、四分の熱 むかしにかわる雲の色
恋のいのちをたづぬれば あゝわれ如何にふところの
名を惜しむかな男ゆえ 剣は鳴りをしのぶとも
友のなさけをたづぬれば むせぶ涙を手にうけて
義のあるところ火をも踏む かなしき歌のなからめや
ああわれコレッジの奇才なく わが歌声の高ければ
バイロン・ハイネの熱かきも 酒にくるふと人はいう
石を抱いて野にうたう われに過ぎたる希望ーのぞみーをば
芭蕉のさびを喜ばず 君ならずして誰か知る
明治30年鉄幹若き24歳の時、都城―ソウル―にて歌った歌。