EUによる追加融資が決まったことで、ユーロ相場はどの程度織り込まれていたかを試しているようですね。
利上げ期待による買いとギリシャリスクによる売りで暫く動いていきそうですが、少し上昇の勢いが無くなってきているようです。
昨日の「S&Pによるロールオーバーはデフォルト扱いとする」のような、大したことない焼き直しの情報でさえ、50ポイントも一時的に下落するのは、やはりロングポジションが膨らみ過ぎているように感じます。
少し古い情報になりますが、フランス金融機関が提案したロールオーバーの2つの選択について、6月29日のロイターに掲載されていました。
ひとつめは、【クレジット・エンハンスド】オプションです。
・債権保有者は、償還される債券元本の最低70%を再投資しなければならない。
・新規発行される30年債に乗り換える。支払いクーポンは、ギリシャのGDP伸び率に応じて、5.5%から8.0%となる。
・新発債は、特別目的事業体(SPV)が保有するAAA格付けのゼロクーポン債によって保証される。
・債権の取引は、2022年1月まで制限される。
100万ユーロの債権の償還期限になった債権のうち、70万ユーロについては、新しくギリシャが発行する30年後を償還期限とする債権に買い換えるという方法です。ところが、この財政不安な状況で30年後の期限というのはとんでもなくリスクが高い債権になってしまいます。ここで、ひとつの仕掛けがあります。『新しく発行されるこの30年債権は、AAA格付けのゼロクーポンによって保証される』という仕組みです。
ゼロクーポンとは、日本では、割引国債と言いますね。証券会社でワリコーとかワリシンという名前で取扱をしてます。
内容としては、その名前のとおり『クーポン=利息』がゼロという債権です。その代わりに購入する時に、額面よりも安く購入できます。
30年期限の100万円の債権を90万円で買える。毎年の利息はもらえませんが、30年後に100万円を手にすることができるという債権です。
なぜこれが債権者にとって保証となるのかというと、先程の例で100万ユーロの償還分のうち70%の70万ユーロで新しいギリシャの30年債を買います。するとギリシャには、70万ユーロの使えるお金ができるわけです。(70万ユーロの借金をすることになります。)でこの70万を使って財政復興をするのかというと、そうではありません。この70万ユーロで格付けの高いゼロクーポンを買うのです。30年後に70万ユーロになるゼロクーポンを60万ユーロで買っておきます。すると手元には、10万ユーロが残ります。この10万ユーロを使って復興するのです。仮に30年後にギリシャの復興がうまくいかなくても、債権者はこのゼロクーポンの償還金から貸した70万ユーロは保証されているということになるという図式です。
よく、元本保証するファンドが使う仕組みです。
1980年代に中南米の途上国が財政危機に陥った時に、アメリカ政府、IMF、世界銀行が行ったブレイディボンド政策に近いものがあります。かなり債権者に有利な内容にはなってますが。
では、本当にこの方法でギリシャは危機を脱出できるのか?については、当時のメキシコ等の状況と現在のギリシャの状況を比較して検討してみたいと思ってます。(まだやってません。)
ふとした疑問としては、70万ユーロを借りて、60万ユーロを保証に使って、残りの10万で復興をするのは良いのですが、それに対する利息が最低年5.5%だとすると、70万×5.5%=3.85万ですよね。10万を回転させて3.85万をつくるには、年の利回りが38.5%ですよね。それを30年継続しても元本は減らないという状況ですが…
それが可能な国だったら、今頃こんな状況にはなってないかもしれません。
あ…もうひとつのオプションは【バニラオプション】です。
・債権保有者は、償還される債券元本の最低90%できれば100%を再投資しなければならない。
・年利は、5.5%又はギリシャがEUから借りる金利。
・債権の取引は制限される。
でした。