四日市市は、日本初の石油化学コンビナートを中心にこれまで工業都市として発展してきました。


 工業製品出荷額は、全国の自治体の中で12位前後を維持しており、こういった数値からも日本有数の工業都市であることが言えます。


 しかし、以前のブログでも述べた様に、昨今のエネルギー革命により、国が主導になり石油化学施設の統廃合に乗り出すなど、石油化学工業を主たる産業として抱える四日市市の今後の見通しは楽観できるものではありません。


 熾烈な自治体間競争を勝ち抜いていくには、行政としてコンビナートというインフラ資産を如何に企業誘致に活かしていけるか、そして民間企業の産業転換を如何にサポートしていけるかが大切なポイントになってきます。


 当問題は四日市市の未来が掛かる大きな問題であるので、今後の市政運営において最重要課題として取り組んでいかねばならないと私は捉えています。


 そういった意識から、私は最近コンビナートや他自治体の工業地域の取り組みについて勉強を重ねています。


 すると、北九州市における「工場跡地の活用に関する取り組み」という先進的事例にたどり着きました。


 私は、委員長を務める産業生活常任委員会委員長の行政視察先に「北九州市の工場跡地活用の取り組み」を提案し、7月の行政視察の際に北九州市を訪れました。


 四日市市のコンビナートにおいても、工場等の撤退が続き、遊休地が多く存在します。


このコンビナート遊休地の活用が大きな課題となっています。


 北九州市も臨海工業地域を抱える自治体で、工業地域の空洞化という問題を抱えていました。


そして、その問題を何とか食い止める為に、行政が主体的に工場跡地の活用に動き出しました。


 北九州市は、大規模事業所内の未利用地で既存インフラの活用が可能な用地を、「企業内公共産業団地」と認定し、整備を進めました。


 当時、新日鐵住金シームレス工場、三菱化学黒崎事業所内でのプラント撤退で遊休地が増加していた中、企業と行政が連携し、様々な規制緩和を実現させ新日鐵住金シームレス工場跡地52haに11社を誘致、三菱化学黒崎事業所内に4社の誘致を実現させました。




 工業地帯が抱える土壌汚染の問題も、北九州市は産廃行政の権限を有する政令指定都市である事から、産業誘致施策と連携させながら柔軟な対応を行いました。


 また、強く感じたのは経済活動は民間企業の活動ではあるものの、行政がルール整備、規制緩和等で如何に関与していけるかが重要だという事です。


 平時から、企業と行政が密な関係を保ち、企業の意思決定に少しでも行政が関与していける信頼を構築しておく事の大切さも痛感しました。


 ちなみに、四日市コンビナートにおいても三菱化学の遊休地は多く抱えています。


北九州市は企業誘致が成功し、四日市市は遊休地のまま。


 行政の本気度の違いを見せつけられた視察でした。


 四日市は何をしているのか。


四日市も産業施策に本気で取り組まねば、熾烈な自治体間競争に勝ち抜く事は出来ません。


■過去の関連記事


・工業都市 四日市市の現状 ~三重県経済を牽引するのは四日市市~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11539832062.html


・【三重県経済を牽引するのは四日市市】 ~四日市経済のポテンシャルは高い!~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11830603217.html


・【四日市に未来はあるか】 四日市市産業活性化戦略について検証する ~行政主導で活性化が図れるか~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11943390230.html


・【四日市の未来がかかる「四日市市産業活性化戦略」!】臨海工業地帯等の再生高度化に向けて!!

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11994646272.html