プロ野球球団『中日ドラゴンズ』は、ファームの拠点であるナゴヤ球場の老朽化や更なる選手強化のための拡張用地が限られている等の理由から、昨年11月に、2030年代前半にファーム拠点の移転を目指すことを公表しました。
その際に、必須施設を「メイン球場・サブ球場・屋内練習場・選手寮・クラブハウス・駐車場」とし、面積60,000㎡、バンテンリドームナゴヤから原則1時間以内でアクセス出来、来場者が公共交通機関で無理なくアクセス出来る等の大まかな方向性が示されました。
これを受けて、四日市市としては、中日ドラゴンズのファーム拠点が誘致出来れば、地域経済やスポーツ振興等の面において、非常に大きな効果が期待出来ることから、これまで、バンテリンドームナゴヤから車で1時間以内という立地となる、既に3つの野球場が整備されている『「霞ケ浦緑地」がファーム拠点の候補地となり得るか』どうか、又は、『新規用地を確保し整備を進めることが出来るか』の2案の調査、検討を重ねてきました。
「霞ケ浦緑地がファーム拠点の候補地となり得るかどうか」の検討においては、先日リニューアルオープンした中日ドラゴンズのファーム公式戦を開催した実績のある霞ケ浦第1野球場をメイン球場として、霞ケ浦第3野球場をサブ球場としての運用を想定していました。
しかし、今年5月に、中日球団が行った公募に関する公式発表において、昨年11月の発表を大きく上回る条件が提示されました。
5月の発表では、必須施設を「メイン球場・サブ球場・屋内練習場・選手寮・クラブハウス・駐車場」に加え、新たに「サブグラウンド」が追加されましたし、面積においても70,000~80,000㎡と拡大していました。
まず、「サブグラウンド」が追加されたことにより、継続的な市民利用を想定していた霞ケ浦第2野球場においてもサブグラウンドとして、中日ドラゴンズが使用することが想定され、霞ケ浦緑地にある3つの野球場の市民利用がほとんど出来なくなってくる恐れが出てきました。
また、中日球団からの5月の発表にて、原則として、全ての施設を"一団の土地"で整備するという条件も提示されました。
霞ケ浦緑地は都市公園法による建蔽率の制限により屋内練習場、選手寮、クラブハウス等を建設する余裕がないことに加え、居住目的となる選手寮については、霞ケ浦緑地内に整備できないこととなっており、追加の各種施設を建設するためには、霞ケ浦緑地周辺で用地を確保する必要があります。
ただし、周辺には国道23号で分断された土地しか見当たらないことから、野球場等との一体利用となる"一団の土地"での整備は難しくなります。
更に、今回示された構想では「最先端の環境で球界最高レベルの育成環境を目指す」とあることから、大規模改修が終了したばかりの霞ケ浦第1野球場についても、更なる機能を求められることになり、リニューアルしたにも関わらず、再び大規模改修の必要が出てきました。
これらにより、「霞ケ浦緑地へのファーム拠点誘致」は、中日球団が示す条件に合致しないことが明らかになりました。
そして、「新規に用地を確保する」案についても検討してきましたが、中日球団が示している条件である、利用可能面積が70,000~80,000㎡程度で公共交通機関の利便性の良いまとまった土地は、本市の所有地では適地がないことに加え、民有地についても適地が見当たりませんでした。
仮に民有地で適地が見つかった場合においても、その民有地については、原則として本市が取得・造成し、その後、官民連携でメイン球場をはじめとする多くの施設を新たに整備する必要があるため、本市にも多額の費用負担が生じることになります。
例えば、千葉ロッテマリーンズのファーム拠点の移転を進めている千葉県君津市のケースでは、用地費を除き、球場等の整備費としておよそ150億円を要すると試算されています。
一方で、上述の調査において、中日ドラゴンズのファームが誘致で来た場合のホームゲーム等における市内への経済波及効果につきまして、年間約9億3,800万円、市税収入としては、年間2,580万円程度と試算出来、一定の経済効果はあることが分かりましたが、建設投資にかかる費用を移転期間である20~30年で回収することは到底困難となります。
四日市市は、現在、中心市街地再開発プロジェクトという大型プロジェクトを進めており、それと並行して、多額の財政出動が伴うであろう、中日ドラゴンズファーム拠点の新たな整備を進めるのは、大変難しい状況にあります。
このように中日ドラゴンズファームの拠点移転について、『既存施設の活用』、または『新規用地確保』の双方についての、誘致に関する調査・検討を進めてきましたが、中日球団から示された条件および経済波及効果等の調査を踏まえた結果、非常に残念ではありますが、中日ドラゴンズのファーム拠点の誘致については、難しいと判断致しました。
従って、四日市市では、7月17日が提出期限となっていた、中日ドラゴンズファーム移転先誘致に関する一次提案の提出を見送りました。
