
「何!?」
男は想定外の出来事に驚愕の表情を浮かべた。
「形あるものにはすべて直し方と壊し方がある。もちろんそれは人間も例外ではない、死にはしないが死ぬほど痛いぞ」
パキッ!
蒼が男の手をひねると、手首の関節が難なく外れた。
「がぁ!!」
突然走った激痛に男は顔を歪めた。
ボコッ!ボクンッ!
男の苦痛に構わず、無慈悲に肘と肩を外した。
「うあー!!」
バキッ!
発狂し大きく開いた男の口に指を引っ掛け顎を外した。
「あ``・・・」
最早、男の苦痛は声にはならなかった。
瑠璃が目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。
「よう!お目覚めか、先生にお礼言っとけよ、運んでくれたんだから」
声の方を見ると、そこには鬼頭が立っていた。
「警部・・・あっ、あの男は」
「男の名前は霧島修司、逮捕してやったさ!」
「よかった・・・」
これは後日知らされた事だが、私が撃たれたすぐ後に救急車が到着し、その時発見された霧島は様々な関節が外された状態だったらしい。
そして、その後治療を受けた霧島は、命に別状は無かったものの、苦痛の余り正気を失い、残りの人生を病院で費やすことになったという。
数か月後、天宮治療院
「被害者の女の子、愛ちゃんですけど、手術で顔の傷は消えたそうですよ、警部がちゃんと先生にも報告しとけって言ってました」
「それは良かった、どちらにしても彼女は頭骸骨そのものが美人ですから」
「先生の褒め方、やっぱり良くわかりませんね・・・」
「瑠璃さん・・・次はあなたが治す番ですよ」
「?」
「一度、私に身体を委ねてみませんか?」
「結構です!」
END