東方医学者 天宮蒼の診察9/9 | 森ソース

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絵がからっきし下手な男が小説を書いてみました。

基本的には、短編が多くなると思います。


森ソース-雨宮蒼

何!?」


男は想定外の出来事に驚愕の表情を浮かべた。 


「形あるものにはすべて直し方と壊し方がある。もちろんそれは人間も例外ではない、死にはしないが死ぬほど痛いぞ」


パキッ!

蒼が男の手をひねると、手首の関節が難なく外れた。


「がぁ!!」


突然走った激痛に男は顔を歪めた。


ボコッ!ボクンッ!

男の苦痛に構わず、無慈悲に肘と肩を外した。


「うあー!!」


バキッ!

発狂し大きく開いた男の口に指を引っ掛け顎を外した。


「あ``・・・」


最早、男の苦痛は声にはならなかった。



瑠璃が目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。


「よう!お目覚めか、先生にお礼言っとけよ、運んでくれたんだから」


声の方を見ると、そこには鬼頭が立っていた。


「警部・・・あっ、あの男は」


「男の名前は霧島修司、逮捕してやったさ!」


「よかった・・・」

これは後日知らされた事だが、私が撃たれたすぐ後に救急車が到着し、その時発見された霧島は様々な関節が外された状態だったらしい。


そして、その後治療を受けた霧島は、命に別状は無かったものの、苦痛の余り正気を失い、残りの人生を病院で費やすことになったという。




数か月後、天宮治療院


「被害者の女の子、愛ちゃんですけど、手術で顔の傷は消えたそうですよ、警部がちゃんと先生にも報告しとけって言ってました」


「それは良かった、どちらにしても彼女は頭骸骨そのものが美人ですから」


「先生の褒め方、やっぱり良くわかりませんね・・・」


「瑠璃さん・・・次はあなたが治す番ですよ」


「?」


「一度、私に身体を委ねてみませんか?」


「結構です!」                          




END