
「瑠璃さん!」
「内臓、イッタかなぁ、早く病院に連れてかないと死んじゃうよ」
「瑠璃さん、少し待っていて下さい」
蒼は瑠璃を抱きかかえ道端に座らせると首に針を刺し眠らせた。
そして携帯を取り出すと、鬼頭に電話を掛けた。
「鬼頭警部、今、例の現場の前で犯人を発見しました。一台救急車をお願いします、それから・・・後処理の方も・・・」
そう鬼頭に言うと、蒼は静かに電話を切り、懐に入れた
「あれ?救急車2台じゃないの?お嬢ちゃんとアンタの分もね」
「彼女は俺が病院に連れて行く、救急車はお前の分だ、お前は被害者と同じだけの苦痛を受ける責任と義務がある。」
口調は静かなものだった。
しかし、男を睨みつける蒼の目は、鬼頭や瑠璃には見せた事の無い鋭い光を放っていた。
「ふぅん、苦痛ってこういうのか!?」
男の右手の指が引き金を引くと、拳銃は蒼に向かって咆哮と共に凶弾を放った。
蒼は目にも止まらぬ身のこなしで弾を避けて間合いを詰めると、右手で銃のスライドを引き抜き分解してしまう。と同時に左手で男の手を掴んでいた。