Sっ気の和真。この日はアンナのアパートに送ってくれた。
「ありがとうございます。また金曜日に行きますね。おやすみなさい」
「また金曜日。アンナ、おやすみ」
突然の呼び捨てにビクッとする。恭太、泰輔以外からの呼び捨てには慣れない。違和感しか無い。『何?この気持ち悪さ。でも付き合っているから仕方ないのか・・・。』
平常心を装って
「おやすみなさい」と一言だけ振り向きもせず車から降りた。
アンナの部屋の明かりが付くのを確認してから車を走らせる。
「呼び捨てはマズかったかな?」少しだけ後悔をしながら家に着く。
アンナは、和真からの呼び捨てに気持ち悪さを感じながら過ごしていた。
「普通彼氏なんだから呼び捨てするでしょ?」
「分ってるんです。けど違和感しか無くて・・・。」
「やっぱり、今の子は分らん」
橋田さんが首をかしげながら、休憩室から出て行く。
その夜泰輔に電話をしていた。
「ねぇ、私って変?」
「急に何?」
出来事を全て話した。恭太と距離を置いていること、その間中学の先輩和真と付き合うことになった事。
「アンナ。かなり変。二股を堂々としてるってすげー(笑)」
「恭太が、他の人と付き合ってもいいって言うから、中途半端な関係だった先輩と付き合うことにしたんだよ。変かな?」