『ちゅんくん。夜先輩たちと飲みに行くから席取っといて』
『今日めんどくさいお客さんの予約が入ってるから明日の方が良いかも』
『あぁ~。あの人たち・・・。分りました。じゃぁ明日お願いします』
『了解』
「杉本さんこんなお店いつから知ってるの?」
先輩の橋田さんが食いつく。
「ここですか?元彼のお兄さんのお店なんです。高校の時から知ってるんで、もう5年ぐらいですかね?」
「元彼って・・・」
気まずい空気が流れる。
「アンナちゃん。いらっしゃい。あっ、皆さんも楽しんでくださいね。はい。これ俺からのサービスの一杯です。」
「ちゅんくん。ありがとう。」
飲みに来ていたみんながポカーンとする。
「杉本さん。あなた正気?」
「何がですか?」
「元彼のお兄さんなんだよね?」
「そうですよ。」
「気まずくないの?」
「何でですか?元彼とちゅんくんは、無関係なんで、それに今、元彼どこかに行ってるんで出会うことなんて無いんで平気ですよ。まあ会ったところで普通なんで。」
淡々と話すアンナに更にポカーンとする。
二時間ほど飲んでみんなと別れた。お店から少し離れた場所に移動して和真を呼ぶ。
「先輩、迎えお願いしても良いですか?」
「やだ。って言ったらどうする?」
「タクシーで自分のアパートに帰ります」
「タクシーも自分のアパートもダメ。」
「意地悪・・・。」
「可愛い。迎えに行くから待ってて」