おはようございます。

 

いつもありがとうございます。

 

先日肩章の話で、「航空機関士(FE)だった方のその後が気になる」というお話をいただきました。

 

私も年代的にそんなに知り合いがいるわけでは無いのですが・・・

知っている範囲でお話します。

 

そもそも航空機関士(FE)とは・・・?

 

現在の航空機は、機長と副操縦士の2人乗務ですよね。

しかし、その昔は3名乗務だったんです。

 

航空機関士は、主にエンジン計器やその他重要なシステムを操作・監視する要員として設定された職種です。

 

昔の飛行機のコックピットを想像してもらえれば分かりますが、針の計器が並び雑然としています。

 

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とてもパイロット2人ではモニターしきれないため、「第三の目」が必要だったのです。

 

飛行機は機械の塊ですから、それぞれの調子を細かくモニターして微調整したり、性能を計算したりしていたのが航空機関士です。

 

お話を伺うと、機体ごとの癖や特性(ばらつき)があってそれをきめ細やかに微調整してくれる航空機関士(FEさん)の役割は本当に有り難かったといいます。まさに「職人」ですよね。そんな「職人」が必要とされるほど、機械の信頼性も乏しかった時代だったのです。

 

しかし時代が進んで機械の精度が上がり、また集中ディスプレイ化されて必要な情報だけをモニターすることが可能となりました。性能計算もFMSというものが導入された結果、コンピューターが行うことになりました。

 

人件費削減と技術進歩から、コックピットの中には航空機関士(FE)さんを含めた3名がいた時代は過去のものになったのです。

 

 

 

そんなFEさん、いつまで乗務されていたのでしょうか?

 

例えばBoeing747-100〜-300(古い世代のジャンボ)までは3名乗務でした。

 

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(これは貴重な747SPですね)

 

 

JASが運航していたエアバスA300も3名乗務でした。

 

日本から航空機関士の仕事が無くなったのは2009年7月31日、Boeing747-300が日本航空から退役した日以降だそうです。

 

 

(JAL 747-300 Wikipediaより拝借)

 

そう考えるとまだ約13年前までは、航空機関士(FE)さんが働いていたんですね。

 

 

 

さて、そんな航空機関士(FE)さんのその後ですが・・・

 

1980年代後半から航空機関士(FE)を必要としないハイテク機(Boeing767など)が実用化され、時代は2名乗務へと変わりつつありました。

 

その状況で航空機関士を新たに任用するということは積極的に行われず、2000年代には航空機関士(FE)はベテランの方ばかりになっていました。

 

その後パイロットに転向すべく、訓練をされた方々もいらっしゃいました。しかし年齢からその後あまり長くは働けないという理由もあって、パイロットになった方は少数です。

 

多くの方は自社あるいは新しい会社で「地上教官」として後進の指導をされていました。航空機システムの知識は驚くほどで、私も元FEの方から教わったことがありますがとても尊敬できる方ばかりでした。

 

空が好き、飛行機が好きでFEさんになった方々ですから、何とか全員空に戻っていただけたら嬉しかったのですが。。。現実は厳しかったようです。

 

 

人件費削減は経営にとっては嬉しいことですが、果たして長い目で見て良いことだったのでしょうか??

 

機械のモニターのみならず、機長と副操縦士の間を取り持つという「潤滑剤」の役割も果たしてくれていたというFEさんがコックピットから居なくなった代償は大きい気がします。

 

私も一度、FEさんと一緒にフライトしてみたかったと今思うところです。

 

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