無責任にしてくれよ | Moratoriumer´

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今日も波に揺られて海を漂う。

うちの旅路に

用意された道はいらない。

持ち物リストもいらない。

起こり得るリスクへの対策だとか

旅人の心得だとか

そういうのもいらない。

もちろん案内人なんてもっといらない。

欲しいのはただ一つ。

「思いっきりやってきなよ」

ってただその一言。

自分の可能性を少したりとも奪われたくない。

その気配を感じるだけで守ろうと必死になる。

道を案内される。

でもその道はうちじゃなくて誰かの道。

誰かの道を歩いたらもう自分の道じゃない。

熱心に案内された道ほど歩きたくはない。

その道の先輩を紹介される。

でもその道とは違う。

自分の道を見失わないよう警戒するから素直になれない。

危なかろうが

失敗しようが

やらせてよ。

本当にやりたいことは

いつも一人で密かに進める。

誰にもみつからないように。

いざやるときになって

一緒に歩んでくれるのは構わない。

いやむしろ歩いて欲しい。

でも歩きたいと思ってくれる人だけでいい。

うちってやつは少し捻くれていて

危険から守るつもりで包まれても

うちは息苦しくなって

導こうと前に立たれたら

うちは足を止めて向きを変える。

そして誰も前にいない方向へ歩き出す。

翼を撫でられても実は逆撫でで

翼をもぎ取られるんじゃないかって恐怖を感じて

うちは歯をむき出して威嚇する。

こんなうちと付き合うのは実は簡単で

難しいことなんて考えずに

ただ自由にやらせておけばいい。

何かやろうとしたときには

心配なんてしないで背中を押せばいい。

そしてちょっと甘えてくるときでもあれば

そっとそばにいればいい。

そしたらうちは

きっとどこまでも高く羽ばたいていくからさ。

そうやってうちは自分と付き合ってきた。

そうしてうちは今の自分を手に入れた。

こればっかりは

頑固といわれても

自分勝手といわれても構わない。

それほど譲れないものがある。

それほど失いたくないものがある。

ただそれだけのこと。

無責任に言ってくれよ。

「やれやれー!」って。

無責任に押してくれよ。

「やってこいやー!」って。

責任なんて自分でとるからさ。

それでも

無責任なことはできないって?

じゃあ

うちの可能性を奪ったとき責任とれる?

・・・なんてね。