前回のブログで、わたしが取り上げたのは、わたしたちの「無意識」レベルに働きかけるような 比較的短い期間の…“刷り込み”でした。



こういう実体験を積み重ねることで 「戦争」や「軍事兵器」、そして 「自爆テロ用ツール(回天、桜花 etc )」への抵抗感が少しずつ薄められていくのではないかと、わたしは強く危惧しています。

特に、(前)で取り上げた
~
で おどろかされたのは、小学生を対象にした 「自爆テロ用ツール」等の写生会 です。


そのことで、わたしが思い出すのは、『不死身の特攻隊』(注:下記リンク参照)の中に引かれていた、戦時中、特攻隊に関わった、倉澤という、当時少佐であった人物の発言です。

(倉澤少佐が86歳のときのインタヴュー『不死身の特攻兵』P221より)
「…国のために死ねと
言い続けていれば、自然と
そういう人間になっちゃう」
これは、たとえば 中学、高校などの部活動で、中高生が、指導者の…言わば“言いなり”になって、ひとつのものの見方に染まっていくこと等を見ても、よく理解されることです。
だから、
まだ 十分に(良識に基づいた)批判的精神が養われていない小学生たちに「自爆テロ用潜水艦(→回天)」や「自爆テロ用飛翔体(→桜花)」のスケッチをさせるというのは、教育の観点からも、もっと踏み込んだ議論が必要だと、わたしは思います。

さて、その上で、きょうは「戦争って、気持ちいい!」の(後)として、別の問題を取り上げることにします。
なぜなら、きょう取り上げる事例は、「自爆テロ用飛翔体」等のスケッチ以上に、大がかりで、かつ 長期にわたって、わたしたちのものの考え方を左右していると思われるからです。
そのために…、わたしたちは、ややもすると 特定の場面で、

生理的な嫌悪感(あるいは拒否感)
を感じるどころか…、

生理的な陶酔感(あるいは、爽快感)
を感じるようになってしまっているのではないか…というのが、わたしの懸念です。




「スターウォーズ」などの、

〈戦いモノ〉映画にも慣れ親しんでいます。

(注)これは『西部戦線異状なし』(1930年)とか、『かくも長き不在』(1960年)等の〈反戦映画〉ではなくて、レンタルDVDコーナー等にもひとつのジャンルとして確立している〈戦争アクション映画〉です。
次のような“実験”は、実際には出来ないと思いますが、子どもの頃から「戦争アクション映画」
を見慣れた人たちのグループと、「寅さん映画」
を見慣れた人たちのグループとで、「あらそいごと」、「紛争」に対する解決策についてアンケートをしてみれば、幼少期から自分の近くにあったキャラクター(例:戦争の司令官、車寅次郎)が、それぞれの考え方に影響を及ぼしていることが、おそらく明らかになるでしょう。



いえいえ…、
戦争アクション映画だけでは ありません。
ウルトラマン、仮面ライダー、ゴレンジャー … の.類いもみんなそうですよね…。

で、最後は、さまざまな困難を乗り越えて、






「西部劇」であれ、「戦争映画」や「ウルトラマン」であれ、そういう“ハッピーエンド”に至る前に 必ずあるのが「撃ち合い」です(注)。
(注) 時代劇の場合には、「斬り合い」ですね…。


ズドドドド…、



そういう 撃ち合いで 「イイ者」が「悪モノ」に打ち勝って、「悪いモノ」を壊滅させたりすると…その映画(テレビ番組)を見ている観客は…「やったぁぁぁ!」と、快哉(かいさい)を叫ぶわけです。 ←この瞬間…観ている者は「気持ちいい」指数が最大になっているはず…。



その時の 陶酔感、爽快感、達成感…みたいなものは、例えば四國五郎さんが目指していたような、「反戦」への生理的嫌悪感とは、おそらく180度ちがう ものでしょう。
世の中によくある「戦争映画」(←バキュ~ン、ドキュ~ン、ズドドドド…で、敵軍が最後に滅びる)を見た人たちが、映画館から出て来て…



そんなことを思いながら 映画館から出て来る人は、まずいないのです。
幕張メッセでの「武器見本市」開催に反対する市民グループの人たちが作った
戦車を題材にしたオブジェ(2019年11月2日、千葉県内にて) ⇒ 参 考
「幼少期からの、〈戦争〉に対する“抑止力”育成」 の話を聴いて…、上に述べたような…「戦争映画」(や「戦争ゲーム」)のたぐいと、子どもたちとの距離をどう(まわりのオトナが)調整していくか…、とってもむずかしい問題だと感じるようになりました。
そういう“勧善懲悪もの”の映画等に潜む、殺戮兵器が活躍するストーリー展開や、そういうストーリーを支える「武力(=暴力)をひそかに礼賛するような思想」についても、わたしたちは、やはりよく考えてみる必要があると思います。


わたしは、2019年10月2日ブログ(「バーチャル痴漢ゲーム」について)を書いた時点では、まだ…自分の書くべきことにしっかりとした自信が無い…と言うか、〈戦争アクション映画〉の話をし始めると、ちょっと収拾つかなくなるような気がしていたのです。2019年の冬には、シリーズ完結となる『スターウォーズ』新作も公開されました。映画ファンは、その手の“戦いモノ”に手に汗握って、“いいモノ”さんチームにハラハラどきどきしながら声援を送っています。
でも、そこなんです…。子どもたちに与える、この手のものについて、わたしたちは十分に慎重にならないといけないと思います。たぶん…この話(「戦争」に対する、生理的な陶酔感ではなくて、嫌悪感をどう育てるかという話)を、四國五郎さんに相談したら…親身になって相談に乗ってくれたんじゃないかなぁ~。
でも、そこなんです…。子どもたちに与える、この手のものについて、わたしたちは十分に慎重にならないといけないと思います。たぶん…この話(「戦争」に対する、生理的な陶酔感ではなくて、嫌悪感をどう育てるかという話)を、四國五郎さんに相談したら…親身になって相談に乗ってくれたんじゃないかなぁ~。