千葉県の…静かな住宅街の中にある「世界一小さい図書館」(注:正式には○○○図書館というステキな名前がついていますが、ウェブ上では正式名称は非公表にしています)、ここは蔵書数は決して多くはありませんが、よそでは中々読めないものをそろえています。

 

 そのひとつが、ガタロさんの画集。

 

 

 ガタロさん…と聞いて、すぐに「あぁ…」と言う人は(たとえ絵の好きな人の中でも)少ないと思います。

 

 本業…と言うか、いわゆる職業としては広島の公営団地で清掃員の仕事をしながら、ガタロさんは、絵を描き続けているのです。

 

 そのガタロさんの画集を、わたしは「世界一小さい図書館」の開架にかなりはやい時期から並べていました。その画集を見るたびに…「いい蔵書だこと」と心の中で自画自賛しています。

 

 ガタロさんの記事が、朝日新聞に載っていたので、今日はガタロさんについて書いてみましたが…、ガタロさんの結婚する時の話、とっても感動的です。

 

 それはまた次の機会に。

 

 ガタロさんの画集、多くの人に手に取ってもらいたいです。

 

ガタロさんの画集より 

 

月収12万円の男

 

「清掃員画家」ガタロさん、モップや雑巾に美を感じて

2017年11月22日付 朝日新聞

   

 

作品をかけた掃除用具庫のアトリエでのガタロさん=広島市中区

  

  被爆2世の「清掃員画家」ガタロさん(67)

 

 広島・原爆ドームにほど近い、かつての「原爆スラム」に立つ巨大な公営住宅。そのアーケード商店街が職場でアトリエだ。

 

 毎朝4時から、5~6時間かけて1人で通路を掃き、ゴミを仕分け、トイレを磨く。もう30年余り。それから6畳ほどの用具置き場で絵を描く。カッパやくず拾いを意味するガタロを名乗り、「自由な響きが気に入っとります」。

 

 広島出身の被爆2世。体のだるさを抱えつつ、高校を出て印刷会社や郵便局、キャバレーなど職を転々とし、半ばやけっぱちで今の仕事に。愚直に汚れを落とし、道具と向き合うなかで心がほどけ、「ものを考えるようになった」。

 

 どん底の気持ちを救ってくれたモップや雑巾に美を感じ、絵筆をとった。原爆ドームや知人のホームレスらも描く。32年前の絵では「なぜか」、汚染水を流す原発を描いていた。26日まで、横浜市で展覧会を開いている。

 

 出会う人たちを通じて、額に汗して働いても報われない社会に疑問を抱くように。核兵器禁止条約に参加しない政府にも憤る。政治家らの言葉を聞きながら「日々働き、痛みを知る者の、身体のある思考がない」と思う。

 

 ネットで存在が広まり、引きこもりや虐待を受けた若者らが各地から訪ねてくる。「こういう出会いもアートなんじゃないか。大事なのは生き方」。彼らが喜ぶ絵を描きたいと思う。

(小川雪)