あなただけが持つものがある
ちいさな命を抱くように
優しく両手で包みこみ
しっかり胸に抱いていよう
知らずに失くしてしまわぬように

あなたにしかないものがある
丘にひっそり咲く桜のように
春になったら花を愛で
桜であることを忘れずにいよう
いつしか枯れてしまわぬように

あなたにしかできないことがある
林の踏み分け道のように
時折歩いて季節を見つけ
大地の優しさ五感で知ろう
記憶がぼやけてしまわぬように

あなたが持たないものは
あなたにないものは
あなたにできないものは
いろいろあって気になるけれど

万人が求める太陽には
なろうとしてもなれやしない
それは誰にもなれないから
なろうとなんてしなくていい

澄んだ夜空の星たちの
どれかひとつになればいい

それを希望に生きる人のため
それを標に歩む人のため
そこに願いをかける人のため

あなたの星はひとつでいい

あなたの力であなたの光に輝いて

雲に隠れてしまっても
昼の陽射しに見えなくても

あなたの光を放ってほしい

あなたの色で輝いてほしい

冷たい夜を歩いたあとは



ココアのカップを両手ですくう



小鳥のぬくもり感じるように



 



舳先で風切る鼻先は



甘い安らぎじんわり沁みる



優しい口づけ 吐息のように



 



窓に映った無表情



口許緩めて微笑みかける



今日のわたしが微笑み返す



 



ありがとう



おつかれさま



 



今日のわたし


冬の朝がやってきました
信号待ちをしていると どこからか交差点に集まった落葉たちが
朝陽の中でカラカラサワサワ 嬉しげです
バスが通り抜けると 一斉にあとを追い駆け出します

冬晴れの一日になりそうです
鼻先や指先が多少冷えても 喉と心は冷やさないように

よき日でありますように

眩しく見上げる青空に



キミの笑顔が映るから



風に言葉をゆだねたら



僕も一歩を踏み出せる



 



澄んだ氷の星空に



キミの寝息を聴けるから



星座に明日を預けたら



僕も今日を見送れる



 



いのち目覚めるこの朝に



今日のキミが生まれたら



彼方の朝陽が燈る窓に



キミが光を感じたら



 



僕も歩みを進めよう



 



遠く離れているけれど



道はつながっていなくても



何ひとつ



 確かなことがなくても



キミを信じられるから



 



灰色広がる低い空に



キミの不安が滲んだら



緑の便りを送るから



 



稲妻走る黒い夜に



キミの叫びが響いたら



真綿の毛布を届けるから



 



一度や二度では叶わなくても



あともう一歩を踏み出せば



未来を照らすキミの思い



山をも貫き 海をも渡る



 



遠く離れているけれど



いつも近くに感じてる



道はつながっていなくても



きっと声は届いてる



何ひとつ



 確かなことがなくても



キミが気付いていなくても



 



僕も未来へ歩いていこう



 キミを信じて いつだって


「考えずに、感じる」それは表現でとても大切なことです

積み重ねられていく一瞬のディテールも大切ですが 「ああして」「こうして」と理屈で組みあがった表現は ぎこちなく しなやかさがないため 表現する「そのもの」を伝える力を持たないか弱いものです

一方 何も考えずに表現する人もかなりいます

ただ感じただけというのは 単なる思い付きで 即興の面白さやスリルを感じられる場合もありますが それでは作品の表現にはなりません


音楽も芝居もダンスも 表現の源となる曲があり台本があり振付があります

絵画や彫塑や書などの美術は アーティスト本人のイメージ=ファンタジーを目に見えるものとして表現します

アーティストは自分の内なるファンタジーを 極限まで明確にしていきます そこには「なんとなく」などなく すべてが必要な必然として描かれます

その明確な自分のオリジナルのファンタジーを いかに正確に描けるか・・・そのために アーティストは何千もの習作を重ね 一本の描線のために 幾千万の線を描き まさに「思い通り」の線を描くための技術を鍛えていきます


パフォーマンスでも同じ努力は必要です

思い通りの音を出すために 思い通りの身体表現をするために 思い通りの声を出すために 微妙な違いを見極められる力と イメージ通りの表現を一発で決められる正確さと イメージとのほんのわずかな「ずれ」でも見逃さない感覚と それを修正できるしなやかさを身につけるために たぶん 生涯を捧げなければならないでしょう

その上で 原作品への深い理解が必要になります

その作品に接した第一印象を大切に しかも いつでも引き出せるようにしまっておきながら その作品の背景にあるものを読み込み 調べ 訪ねていく必要もあります

さらに 原作品と対話し 自分が表現しようとする 音や言葉や振付に 謙虚に向き合い 「こんな風に描いてほしい」という 作品の微かな声を聴きとらなければなりません

その声は とても小さく ほんの僅かな「自己流」という風にも流され かき消されてしまいます

作品の声を聞き取り 理解したうえで ようやく本当の表現に行き当たります

そして それらの道のりを歩んだ後に 第一印象を引出しから取り出し すべてを自分の中に取り込んだ上で「何も考えずに」「感じるままに」演じます


この長い長い道のりを繰り返しながら より深く読む力 より正確に表現する技を 繊細で微細なところまで突き詰め続けるのが 表現者の生涯です


本番は いつも時間切れです

あと一週間あれば あと一日あれば もっと良い表現が身に付いたのに・・・・ そんな思いを繰り返しながら 生涯をかけて自分を高めていくのが表現者です

今の自分には これまでの積み重ねのものしか出せません

でも 今日は昨日の自分の上にあり 明日はさらに高く積まれます

積み上げられた自分のすべてを 本番でできるだけたくさん(100%はまずありえません)出し切るために 今日 あなたは多くを見て 多くに出会い 多くを感じるのです


いままでのすべての時間が あなた自身です
それ以上でも以下でもありません

あなたが感じたものは あなたしか持たない 世界でたったひとつの宝石です

原石を磨き 眩く輝かせることができるのは 世界でたったひとりのあなたです