「寒いですねぇ」の挨拶の季節となりました

冬の雨が紅葉の街を包みこんで
セブンイレブンのアイスクリームケースのように
街に冷気がたちこめています

傘の柄を握る冷たい手に そっと息をかけながらゆるりと歩けば
秋色鮮やかな落葉たちが 水溜りのスクリーンのグレーバックにポージング
走り去る車の水音と 気の抜けたようなカラスの声が
時を灰色に染めていくようです

灰色の男たちに 自分の時を盗られてしまわないように
好きなものを思い浮かべ 好きな歌を歌い 大切な人に想いを寄せて
冷えた指先に温かなカップを
冷えた鼻先に甘い湯気を
熱いココアにマシュマロ浮かべ
凍えるわたしに贈りましょう

追伸

とある小中学校で食当たりの症状が流行っています
別の学校では扁桃腺系の風邪(声がかれてしまう)が流行っています

季節の変わり目でもありますが
期末試験で頑張ったために 抵抗力が低下しているのが影響しているようです

頑張っている人へ
旬のものを美味しくいただいて 温かいもので水分やビタミンを摂って
ぐっすり眠る時間も大切です
明日の元気のために 今日の休息を大切にしてください
あなたがあなたであることは
あなたの名前やパスポートなどでなく
あなた自身が証明してくれる

どこでなにをして 何があって
記録やアルバム日記帳
それらは大切な思い出だから
あなただけの本棚にしまっておこう

あなたは
今 ここに生きているあなただけが真実で
昨日のあなたも
今朝のあなたも
ほんとうのあなたではないのだから

ぱんぱんに過去が詰まったバッグを置いて
今のあなただけを 優しく抱いていてほしい
傷つき壊れてしまわぬように
凍えて硬くならないように
あなたにしか守ることができないから

あなたの大切な無二のあなた

名前や地位や名声や
容姿や装いなどでもなく
今の あなたの真実が
わたしにも大切でいとおしい

本棚にはいつでもいけるから
重いバッグに詰め込まず
素敵な 今のあなたのまま
青空見上げて伸びをして
宇宙にあなたを見せてほしい

空が青く晴れた日には
中学の期末試験がおわり 吹部の活動が再開されました
正門も楽器庫も音楽室も いつもの朝の景色ですが
受験を控え 先日 後輩たちに襷を託した3年生はいません

合奏で向き合う顔触れも 挨拶の声のトーンも変わり
若い活気と 不安と期待のハーモニーに聴こえました

甘えん坊の2年生は 後輩の前に立ち
「ついておいで」と気遣っているようで

まだまだ無邪気な1年生は 頼れる先輩が半分に減ってしまい
頑張ろうとする気持のあちこちから 心配が溢れ出ていました

それは「はじめてのおつかい」の幼い姉妹のようで
その姿や行いを見るだけでも「がんばれ」と応援したくなります



これから あなたたちは
3年生が2年半かけてたどり着いた場所に 2年足らずでたどり着き
残る半年で さらに先に進んでいくことになります

苦労もつまづきも多いだろうけれど
仲間と共に 声を掛け合い歩み続けてください

そうして自分を高めていくことを学べば
いずれ船出して行く大海原で それが帆となり羅針盤となるはずです


殻を割ろうとつついているくちばしの音がきこえます
こちらからもつつくから 自分の力で殻を破っておいで

今こそ 卒啄の機
雨の日

傘を閉じて 雨の幕間の街を歩くと
いつも漂うざわめきさえも冷たい雨に流されて
かすかな靴音と どこからか響く小鳥の声と
白い息も 冷たい空気に溶けていく

路に織り込まれたような落ち葉たちは
赤や黄色や橙や ほうじ茶色が鮮やかで
役を終えた葉であるのに
生まれたばかりのように新しい

地球が過ごした数十億年
海と大地と空を巡り続ける水の記憶が
落ち葉に新たな時を授けるように
優しいいのちで包んでいる

白い空ははじまりの色
新しいわたしが生まれる
冷たさが鮮やかな
雨の幕間に

「今日こそは」と思って起きた朝



やろうとしてはみたけれど



うまくいかなかった



何もできなかった



そんな日だってある



 



立ち止まっている間に



うまくできた幻の自分が どんどん先に行ってしまい



その背中が小さくなって 見えなくなりそうな不安



そして挫折



 



それでもわたしは今日を生きた



日が暮れて わたしの星を見つけたら



できなかったようでも



しなかったようでも



今日を西の空に見送れたわたしがいることを報せよう



 



年輪は冬に刻まれる



花も咲かない 芽吹きもしない 実りもない



この長い冬の間



なんにもないようでも



生きていた証として 樹は幹に年輪を刻む



 



わたしが向かう先の頂は



どんなに歩いても 近づいているようには見えない



 



けれど一歩を踏み出せば



足元には新たな落葉が柔らかで



路傍に小さな花や実を見つけられる



 



霧に包まれても 闇の中でも



わたしはわたしの一歩を感じられる



 



なにもできなかった日々に



暗く冷たく長い冬に



わたしは年輪を刻んでいる



 



後戻りをしているわけではない



わたしの今日を生きていたから



 



いつか春の訪れに



新しいわたしが咲き誇り



新たなわたしを実らせるのだ