今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊16面、「セコム、経常益360億円 4~6月、3年連続で最高」という記事から、警備会社のビジネスについて考えてみたいと思います。
記事の内容は、セコムの2014年4~6月期の連結経常利益が360億円前後に達し、4~6月期として3年連続で最高を更新した、というものです。好調の要因として、付加価値の高い企業向け警備や家庭向け警備の契約が伸びたことなどが挙げられています。
今日は、セコムの経営の特徴を同業ライバルのALSOK(綜合警備保障)と比較して検討してみたいと思います。
まず、直近の通期決算書から、各利益率を算出してみました。
| 単位:百万円 | ||
| セコム | ALSOK | |
| 売上高 | 822,228 | 328,209 |
| 営業利益 | 120,018 | 18,932 |
| 経常利益 | 126,677 | 20,745 |
| 純利益 | 69,876 | 10,955 |
| 営業利益率 | 14.6% | 5.8% |
| 経常利益率 | 15.4% | 6.3% |
| 純利益率 | 8.5% | 3.3% |
売上規模・利益率ともにセコムがALSOKに大きく水をあけています。売上高は企業規模の違いで致し方ないとしても、利益率でも大きくALSOKを上回っていることが目を引きます。
でも、両社のHPやTVCMを見比べてみても、同じ警備会社としてビジネスモデルが大きく違っているようには見えません(CMの印象度から言うと、吉田沙保里選手のウインクが強烈なALSOKに軍配が上がりますが・・・)。
もう少し、費用構造を含めた利益の内容を見てみましょう。
| 単位:百万円 | ||
| セコム | ALSOK | |
| 売上高 | 822,228 | 328,209 |
| 売上原価 | 542,949 | 248,900 |
| 売上総利益 | 279,278 | 79,308 |
| 販管費 | 159,259 | 60,375 |
| 売上原価率 | 66.0% | 75.8% |
| 売上総利益率 | 34.0% | 24.2% |
| 販管費率 | 19.4% | 18.4% |
セコムは、ALSOKに比べて売上原価率を抑え、粗利の段階でしっかりと利益を確保していることが分かります。逆に、広告宣伝費など販管費の比率はそれほど変わりません。
しかし、繰り返しになりますが同じ警備会社でなぜこれほどまでに原価に違いが出るのでしょうか?
警備会社の売上原価の多くを占めるのは、ガードマンの人件費です。つまり、ALSOKの原価率が高いということは、それだけ人件費のかかる警備サービスを提供しているということになります。
その仮説の下でもう一度ALSOKのHPを見てみると、「常駐警備実績No.1」を謳っていました。ご存知の通り、警備会社の主力サービスは「機械警備」といって、企業や家庭にセンサーを取り付け、異常があれば集中管理センターから警備員が派遣される、というスタイルです。セコムは、この機械警備に注力することで、最小限の人員で多くの顧客の警備業務をこなすことに成功し、コストを下げることができたのです。一方、ALSOKは昔ながらの「ガードマン業」である常駐警備の比率が高いため、どうしても高コスト体質になってしまうのです。
そう考えると、ALSOKのCMに吉田選手や伊調選手が登場するのは、「私たちみたいな強い女(男)が常に守ります!!」というメッセージになって、企業の特徴にマッチしているのですね。最初から企業がそう考えたのかどうかはわかりませんが・・・。
いずれにしても、警備会社の本分は市民生活の安全を守ること。コスト削減は大事ですが、その根幹は揺るがないようにしてもらいたいものです。
それでは、また!!
※本稿のデータ出所:
http://www.secom.co.jp/corporate/ir/lib/e53.pdf
http://www.alsok.co.jp/ir/library/pdf/securities/20140625_yuho.pdf