今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「無印良品、インド進出 小売業で初、来年にも合弁」という記事を題材に思うところを書いていきます。
内容ですが、生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画が、2015年にもインドに進出することを伝えています。日本の大手小売りでは初進出となり、現地の大手小売業と合弁会社設立に向けて契約を詰めているとのことです。
今日は、元は西友の一事業部にすぎなかった無印良品の経営の強さをいつものように数字から考察してみます。直近の第1四半期の損益計算書を見てみましょう。比較対象として、先日取り上げた100円ショップ大手・セリアの数字と並べてみます。
| 単位:百万円 | ||
| 良品計画 | セリア | |
| 売上高 | 66,571 | 29,114 |
| 売上原価 | 35,856 | 16,885 |
| 売上総利益 | 30,714 | 12,229 |
| 販管費 | 24,223 | 9,679 |
| 営業利益 | 6,624 | 2,550 |
| 経常利益 | 6,644 | 2,637 |
| 純利益 | 3,655 | 1,632 |
| 売上原価率 | 53.9% | 58.0% |
| 売上総利益率 | 46.1% | 42.0% |
| 販管費率 | 36.4% | 33.2% |
| 営業利益率 | 10.0% | 8.8% |
| 経常利益率 | 10.0% | 9.1% |
| 純利益率 | 5.5% | 5.6% |
ざっくり言ってしまうと、良品計画はすべてにおいてセリアの2倍強の事業規模で、その結果利益率は似たような数字が並んでいます。しかし、その中でも比較的顕著な違いが見えるのは売上原価率と、その裏返しの売上総利益率です。良品計画がセリアを4.1ポイント上回っています。
数字上は、良品計画の方がセリアより効率的な仕入れや商品企画を行っているように見えます。しかし、仕入れオペレーションの巧拙は、両社それほど違いはないのではないでしょうか。この違いを作っているのは、むしろ売上高の要因が大きいように思います。
どういうことかというと、以前にもこのブログで書いた通り、100円ショップには「売価が100円で固定される」という宿命があります。事業を拡大する上で誰もが考える、「商品に付加価値をつけて高く売る」ということができないのです。勢い、原価率を下げるための努力はコストダウンしか方法がなくなります。
一方、良品計画にはそのような制約はありません。したがって、原価率を下げるための努力は分子であるコストを下げることに加え、分母である売上高を上げる、つまり消費者の理解を得られる程度に売価を上げるという方法も取れます。
良品計画の経営の優れたところは、高い粗利率をキープするコストダウンの意識とプライシングの妙である、と言えそうです。
100円ショップを取り上げた回では、制約があるからこそ工夫も生まれる、と書きましたが、今回の良品計画の数字を見ると、「そうは言っても制約はあるよりない方がいいよな」と思ってしまいます。でも大切なことは、逆境にくじけず、順境に甘えず、日々淡々と努力を続けることではないでしょうか・・・
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
http://ryohin-keikaku.jp/balance/pdf/h27_140701_tanshin.pdf
http://www.seria-group.com/corporate/pressrelease/docs/P_20140801_%E5%B9%B3%E6%88%9027%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F%E7%AC%AC1%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1_%E5%85%A8%E6%96%87.pdf