伊予の経営コンサルタントのブログ -28ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「東京ドーム純利益50億円 今期上方修正」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、株式会社東京ドームの第1四半期決算が発表され、通期予想で純利益が前期比38%減の50億円になる見通しであるとのことです。前期通期短信によると、音楽コンサートの開催減や人工芝の張り替え工事などが減益要因になるようです。

それでは、いつものように数字を見てみましょう。前期通期短信から、今日は貸借対照表から検討を加えます。

単位:百万円
  東京ドーム
総資産 304,595
流動資産 21,357
固定資産 281,568
流動負債 76,580
固定負債 153,582
純資産 74,432
   
流動比率 27.9%
自己資本比率 24.4%
ROA 3.1%
ROE 10.9%

注目すべきは、27.9%という流動比率の低さです。流動比率とは「流動資産÷流動負債×100(%)」で計算され、企業の短期支払能力を測る指標として利用されます。当然、資産が負債を上回っている方がいいですから、会計の入門書には「基本は100%以上。実務上は120%以上が望ましい」などと書かれています。

ただしこれには例外があり、小売業や飲食業のような、いわゆる現金商売の業種では、流動比率が100%を割っていても問題はありません。実際、大手百貨店やスーパーチェーン、飲食業チェーンの決算書を見ると、80~90%台の流動比率のところが多くなっています。

東京ドームも、主力サービスである野球開催のチケットはほとんど現金購入になりますので、流動比率が低いこと自体は問題ありません。ですが、それにしても27.9%という数字は低すぎます。例えば、同じく首都圏でレジャー産業を展開するオリエンタルランドの流動比率は158.9%です。

東京ドームが著しく低い流動比率でも経営が安定している要因は、読売グループの存在感と低金利ではないでしょうか。銀行の立場とすれば、巨人戦という現金収入が確実な経営資源を持ち、読売の後ろ盾もある東京ドームには安心してお金を貸せる、東京ドームの立場としては、そんな有利な状況と今の低金利の恩恵を受けて低コストで資金調達できる、ということです。

でも、こんなことを考え出すと野球観戦も心から楽しめなくなりそうですね・・・この辺でやめときましょう^^:;

今週もお付き合いいただきありがとうございました。どうぞ良い週末を!!

※本稿の参考資料
http://www.tokyo-dome.jp/pdf/summary/2014j/26_1_tansin.pdf
http://www.tokyo-dome.jp/pdf/negotiable/26_1_4yuuka.pdf
http://www.olc.co.jp/ir/pdf/2014-04.pdf



こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊13面、「調剤薬局、24時間営業 在宅医療 緊急時に対応」という記事を取っ掛かりに、普段はあまり気にかけない調剤薬局の経営について考えてみます。

記事の内容ですが、調剤薬局を展開する大手各社が、24時間営業の店舗を拡大する動きを伝えています。在宅医療が広がる中、いつでも処方薬が手に入る環境を提供することで高齢者を自宅に持つ家族らの利用を見込んでいるとのことです。

今日は、記事に登場したクオール・ウエルシアホールディングス・アインファーマシーズの3社の財務データを比較して検討を加えたいと思います。以下、いずれも直近の通期決算からの数字です。

単位:百万円
  クオール ウエルシアH アインF
売上高 100,966 334,393 170,225
売上原価 90,069 235,333 144,476
売上総利益 10,897 99,059 25,748
販管費 8,791 86,451 15,635
営業利益 2,105 12,607 10,113
経常利益 2,208 13,811 10,587
純利益 777 7,669 5,259
       
売上原価率 89.2% 70.4% 84.9%
売上総利益率 10.8% 29.6% 15.1%
販管費率 8.7% 25.9% 9.2%
営業利益率 2.1% 3.8% 5.9%
経常利益率 2.2% 4.1% 6.2%
純利益率 0.8% 2.3% 3.1%

一口に調剤薬局大手と言っても、データには結構違いがあるのですね。特に目立つのは、ウエルシアの売上原価率が他の2社に比べてかなり低く、結果として高い粗利率を稼げていることと、その一方で販管費率が他の2社に比べて突出して高くなっていることです。

ウエルシアの短信の定性情報を読んでみると、同社は薬剤事業だけではなく化粧品や生活雑貨、食品事業にも力を入れていることが分かりました。この3事業で売上高の約56%を占めており、ここでの利幅の大きさが原価率の低減に寄与しているものと思われます。

一方の販管費率ですが、売上高に占める人件費の割合を出してみると、クオールとアインが約2%で同じなのに対し、ウエルシアは約10%となっています。HPを見ると、ウエルシアはウエルシア関東及び関西、高田薬局が合併してできたという沿革があり、合併に際し雇用維持のための人件費が膨らんだことが類推されます。

逆に言えば、取扱商品の多角化で高い粗利を確保できるという強みがあるからこそ、合併による人件費の上昇を吸収できるという読みがあったとも言えそうです。

ただ、記事も最後に指摘している通り、今後24時間営業が広がるとしたら、人手の確保や人件費の吸収は大きな経営課題になります。現場に無理なしわ寄せがいかないよう、持続可能な仕組みを作る経営力の勝負はこれからかもしれませんね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2059229&code=3034&ln=ja&disp=simple
http://www.welcia.co.jp/pdf/0000000328.pdf
http://www.welcia.co.jp/ir_pdf/20131127.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1155936








こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「インドに投融資3.5兆円 首脳会談 高速鉄道後押し」という記事を題材に、今後のインド経済について考えてみます。

記事の内容ですが、安倍首相が訪日中のインド・モディ首相と会談し、共同声明に署名したことを伝えています。今後5年間で日本がインドに官民で約3.5兆円の投融資をし、直接投資額や進出企業数を倍増させる目標を明記したとのことです。

12億人の人口を有し、消費市場としても期待されるインドの存在感は、日中関係が良好とは言えない現状においてかつてないほど高まっていると言えるでしょう。そのインド経済の課題を探る上で、今日は3種類の指標を見てみます。部門別GDP構成比、部門別就労比率、そして経常収支です。中国を比較対象とします。

  中国 インド
部門別GDP比    
第一次産業 10.0% 17.4%
第二次産業 43.9% 25.8%
第三次産業 46.1% 56.9%
     
就労比率    
第一次産業 33.6% 49.0%
第二次産業 30.3% 20.0%
第三次産業 36.1% 31.0%
     
経常収支 1,828億㌦の黒字 747億㌦の赤字
※データ出所
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/in.html
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/ch.html

これを見ると、モディ首相が製造業の育成を柱にした経済浮揚を掲げている理由がよく分かります。明らかに製造業(第二次産業)の生産力が弱く、そのため12億の民の消費意欲を国内だけで満たすことができず、輸入超過になるため経常赤字が慢性化する、という構図です。

製造業の生産力が低い理由は就労比率を見れば分かります。インドは、GDPの2割弱しか稼げない農業(第一次産業)に労働人口の約半分が張り付いています。高度成長期の日本や現在の中国を見て分かるように、国が経済生産性を高める過程では農林水産業から工業、サービス業への労働シフトが欠かせません。インド経済の浮沈を左右するカギはここにあるような気がします。

私は、インドのカースト制について特に知識を持ち合わせていません。が、もし自由な労働移動を阻害する要因として社会階層の問題があるのだとしたら、人権問題であるのと同時に経済問題でもあると考えます。

生産性の高いセクターに労働資本を集める=稼げるところで人に働いてもらう、という経済社会で当たり前のことが、一部の既得権益層の抵抗でできないのだとしたら、国全体が豊かになることなどおぼつかないでしょう。インドといえばITに強い国として知られていますが、ITだけでは経済の推進力として弱すぎます。古い言い方かも知れませんが、「モノ作り」の力こそが産業力と豊かさの源泉であることを、忘れてはいけないと思います。

それでは、また!!