伊予の経営コンサルタントのブログ -26ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。昨日付日経新聞朝刊3面、「ファスナーから見る消費 世界の衣料、値下がり続く」という、YKK会長・吉田忠裕氏のインタビュー記事を取り上げます。

この中で吉田氏が語る内容を要約すると、
○製造業の脱・中国の動きは続き、中国は『つくる場所』から『売る場所』へ変わる
○その受け皿になるのは東南・南西アジア。中東やアフリカでは縫製業は育たない
○今後も衣料品のデフレは止まらず、メーカーはさらにコストダウンを迫られる
となり、アジアの消費でボリュームゾーンになるのはあくまで低価格帯商品なので、高付加価値化での差別化戦略だけでは通用しないと言っています。そして最後に、ブログタイトルに使った、「(衣料品など)非耐久消費財の製造業は未知の領域に入る」という言葉で締めくくっています。

それでは、YKK社の業績を時系列で見て、吉田会長の分析について考えてみましょう。直近の2013年度と、5期前の2008年度の損益計算書データを比べてみます。

単位:百万円
  2008年度 2013年度
売上高 76,938 84,640
売上原価 54,901 56,511
売上総利益 22,036 28,129
販管費 26,180 35,004
営業利益 -4,143 -6,875
経常利益 5,470 4,374
純利益 -5,102 5,922
     
売上原価率 71.4% 66.8%
売上総利益率 28.6% 33.2%
販管費率 34.0% 41.4%
営業利益率 -5.4% -8.1%
経常利益率 7.1% 5.2%
純利益率 -6.6% 7.0%

今回の数字は、連結決算書ではなく単体決算書、つまり「ファスナー製造業のYKK」の部分のみを抽出したものです。5年前も今も営業赤字になっていることから、厳しい経営環境に置かれているのが分かります。しかし、経常利益は両年とも黒字になっています。これは営業外利益、具体的に言えば配当金が多く入っているからです。いまや、「YKK」で検索するとトップに表示されるのはファスナーではなく、エクステリア建材等を提供するYKK AP社のホームページです。YKKは親会社として、これら多角化を担う子会社からの配当で黒字を維持しているのです。

つまり、「ファスナー製造業」としてのYKKは、すでに収益力を失っていると言えるでしょう。富士フィルムが写真フィルム事業から医療・化粧品事業に転換して成功したように、YKKもファスナー事業からAP(Architectural Products=建築資材)事業に転換して企業の存続・発展につなげているのです。

そんな中でも、ファスナー事業はこの5年で売上高の増加率約10%に対し、売上原価の増加率はわずか約3%に抑え、必死で粗利を確保している姿が読み取れます。この状況を肌で感じる経営トップとしては、「衣料品のデフレは続く」「人件費が上がる中国にはいられない」と思うのも無理からぬことでしょう。

現在のYKKの経営は、「未知の領域に入る」非耐久消費財(ファスナー)製造業の事業リスクを低下させるため、耐久消費財(建築資材)製造業に進出し、成功している、と言えそうです。

企業も人も、時代に合わせて変わらなければ生きていけないのですね、とベタな感想でまとめさせていただいて、それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/financial/securities/pdf/yuka79.pdf
http://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/financial/securities/pdf/yuka74.pdf





こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「パイオニアのAV機器事業 オンキョーに来春統合」という記事から感じたことを書いていきます。

記事の内容ですが、音響機器大手のパイオニアとオンキョーが、来年3月をめどにパイオニアのAV機器子会社とオンキョー本体を経営統合することで合意した、というものです。パイオニアは新たにオンキョーの15%株主となり、両社のブランドは維持されると報じています。

今回は、両社の直近の決算数値から、この経営統合の狙いを考えてみます。まずは損益計算書の数字を見てみましょう。

単位:百万円
  オンキョー パイオニア
売上高 36,060 498,051
売上原価 25,724 396,705
売上総利益 10,335 101,346
販管費 10,044 90,177
営業利益 291 11,169
経常利益 -451 5,111
純利益 -459 531
     
売上原価率 71.3% 79.7%
売上総利益率 28.7% 20.3%
販管費率 27.9% 18.1%
営業利益率 0.8% 2.2%
経常利益率 -1.3% 1.0%
純利益率 -1.3% 0.1%

オーディオ関係には特に興味がなくて知らなかったのですが、パイオニアの事業規模はオンキョーのざっと10倍あるのですね。数字を拾ってみて初めて知りました。

しかし、利益率の数字は両社ともあまり芳しくありません。記事によれば、今回オンキョーと統合するパイオニアの子会社は数億円の営業赤字を計上しているとのこと。子会社ですので、赤字は全額連結決算に入れる必要があり、要するにグループ経営の観点から見ると「お荷物」だったと思われます。これを切り離してオンキョーと統合させ、新たにオンキョーの15%株主になるということは、子会社から関連会社に変えることを意味します。関連会社になれば出資分のみを連結決算に反映させればよいので、赤字になった場合でも連結決算書への影響を最小限に抑えられます。

一方、オンキョーの立場に立ってみると、同社の強みはパイオニアより8.4ポイント高い売上総利益率(粗利率)の高さです。パイオニアの製品群と生産設備を取り込み、自社の効率的な生産ノウハウを融合することで収益性の改善を狙っていると思われます。

記事によれば、パイオニアは今後売上高の7割を占める車載機器分野に経営資源を集中するとのこと。これらをまとめると、今回のM&A成功のカギは、両社ともにM&Aをきっかけに自社の強みを発揮して数字に反映させられるか否か、にかかっている気がします。

考えてみれば、私も最近は音楽をiphoneやPCで聴くことが多くなりました。オーディオ専業メーカーには厳しい経営環境ですが、日本の優れたものづくりの一翼を担う存在として、これからもがんばってもらいたいものです。

今週もお付き合いいただきありがとうございました! どうぞよい3連休を!!

※本稿のデータ出所
http://www.jp.onkyo.com/ir/ir_pdf/20140626_Q4_yuho.pdf
http://pioneer.jp/corp/ir/library/securities/pdf/yuho_14_4q.pdf





こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞7面、「英与野党、独立回避へ懸命 スコットランド、投票まで1週間 権限移譲で懐柔」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、イギリス北部スコットランドの独立を問う住民投票まで1週間と迫った現地の様子を伝えるものです。世論調査では賛否が拮抗しており、当初楽観していたキャメロン首相以下主要政党党首も急遽スコットランドに入り、イギリス残留を訴えているとのことです。

歴史的な経緯や独立後の国家運営の詳細については一旦置くとして、今日は独立が決定した場合のインパクトの大きさを数字で確認してみましょう。引用するのはいつものThe World Factbook(https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/uk.html)です。

記事によれば、スコットランドが独立した場合、イギリスはGDPの約8%を失うそうです。2013年時点のイギリスのGDPは2兆3,870億㌦ですので、その8%分=1,900億㌦のGDPを持つ新国家が誕生することになります。これはランキングで世界60番目、奇しくも隣国アイルランドと同じ規模です。

さらに、スコットランドの人口は約525万人ですので、一人あたりのGDPは約3万6千㌦となります。実は、この数字は日本(約3万7千㌦)に近く、世界40位近辺にランクされる数値です。

一方、この1900億㌦を失うイギリスは経済力でフランスの後塵を拝する可能性が高くなり、GDP規模の世界10傑からも落ちる懸念があります。また、国連の常任理事国5か国の中で最も経済力の弱い国になります。

単純な数字だけですが、こうしてみると、「スコットランド、意外とイケるんじゃね?」的な感情が起こってもおかしくない気がします。もちろん、独立を目指す勢力はもっと詳細に検討した上で独立を主張しているのでしょうが、ベースには上記のような経済基盤の考え方があるのではないでしょうか。

もうひとつ、今回の動きに関して、キャメロン首相の手際の悪さは指摘せざるを得ません。私は思うのですが、イデオロギー対立が消え、政治手法も成熟化した今の世界で、若くして国のリーダーを務めるのは難しくなっているのではないでしょうか? 47歳のキャメロン首相、53歳のアメリカ・オバマ大統領の存在感が薄いのに対し、60代のドイツ・メルケル首相やロシアのプーチン大統領の手練手管は、やはり見るべきものがあります。

いずれにせよ、住民投票は18日。結果に注目したいと思います。

それでは、また!!

※本稿の参考資料
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89