伊予の経営コンサルタントのブログ -25ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊12面、「素材の活路 『脱・汎用品』設備を刷新」という記事に紹介されていた旭化成の経営をテーマに筆を進めます。

記事の内容ですが、製紙・鉄鋼・繊維といった素材関連業界の経営戦略について考察を加えています。素材産業が抱える共通の課題は「供給過剰の是正」で、製紙業界で2000年代に続いた再編の目的は、経営統合により過剰設備を廃棄し、供給能力を最適化することでした。今回、繊維・ケミカル業界の中で国内工場改編の取組が紹介されていたのが旭化成です。

それでは、いつものように直近の財務諸表から数字を見てみましょう。今日は貸借対照表を中心に見ていきます。比較対象として、事業ポートフォリオが比較的似ている東レと比べてみます。

単位:百万円
  旭化成 東レ
総資産 1,915,089 2,119,683
流動資産 890,401 920,365
固定資産 1,024,689 1,199,318
(うち有形固定資産) 480,535 781,235
流動負債 576,782 596,582
固定負債 412,541 578,476
純資産 925,766 944,625
     
流動比率 154.4% 154.3%
自己資本比率 48.3% 44.6%
ROA 7.5% 5.2%
ROE 10.9% 6.3%
有形固定資産回転率 3.95 2.35

今回数字を拾ってみて初めて分かったのですが、両社は売上高、総資産など、事業規模はほぼ同じなのですね。したがって各指標は似たような数字が並ぶのですが、大きく差が出ているのは、赤文字で示した資産効率性に関わる数値です。特に、今回の記事のテーマである生産設備の効率性を表す有形固定資産回転率(=売上高÷有形固定資産額)は1.6ポイントとかなりの差がついています。

有形固定資産の計上額を見ると、旭化成は東レの60%強しかありません。つまり、旭化成は東レの6割の生産設備で同じ額の売上をたたき出しているということで、それだけ効率的な経営、以前このブログでお話したことのある「筋肉質の経営」ができているということになります。

旭化成といえば、実業団柔道の強豪としても知られています。そういえば、製造業で効率経営の雄と言われるコマツも、柔道部が強いですね。社員が筋肉質なら経営も筋肉質・・・まあ、単なる偶然だとは思いますが^^:;

今週もお付き合いいただきありがとうございました。すっかり秋めいてきましたが、体調には気をつけて、良い週末を!!

※本稿のデータ出所
https://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/ir/news/pdf/201403_cnsldtd.pdf
http://www.toray.co.jp/ir/pdf/fin/fin_a085.pdf



こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「ソニー赤字拡大 初の無配」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、ソニーが今期の連結業績見通しを500億円の赤字から2300億円の赤字へと下方修正し、上場以来初の無配に転落するというものです。赤字拡大の原因は不振のスマホ事業で減損1800億円を計上するためです。

減損について簡単に説明しておきましょう。企業の貸借対照表(バランスシート)は、資産=負債+純資産という関係で成り立っています。このうちの資産は企業の収益を生み出すもとになる土地や機械のことですが、何らかの事情で期待した収益を生み出せなくなり、回復の見込みがない場合は、「もうそれだけの資産価値はない」と判断して計上している資産金額を下げなければなりません。これが減損処理です。

減損処理すると、資産=負債+純資産という関係が成り立たなくなってしまいます。そこで、損益計算書上に減損損失という特別な損失項目を計上し、純資産の一項目である利益剰余金(これまでの利益の累積額)を減らす処理をして、資産=負債+純資産というバランスを保ちます。

それにしても、ソニーの業績見通しの甘さはどうしたことでしょう。

ソニーが最初に今年度の業績見通しを発表したのは5月14日です。この時点では、「(スマホ事業を含む)エレキ事業の構造改革をやりきる」という表明はありましたが、そこに減損や部門人員の削減の話は出ていませんでした(スマホの販売計画が過大ではないか? という声はあったようですが)。

その後7月31日に発表した第1四半期の決算発表で減損の可能性に触れ、昨日正式に発表したというのが流れです。その間わずか4か月。「迅速な発表」と評価する向きもあるようですが、昨年度も3回下方修正を繰り返しており、従業員からしてみれば「またかよ」というのが正直なところではないでしょうか。

このようなジリ貧の経営を続けていたのでは、社内の士気も上がらないでしょう。最近のソニーをめぐるニュースといえば、今回のような業績不振とリストラ関連ばかり。たまに新規事業が出たかと思ったら、不動産会社を始めるという「何がしたいん??」とツッコミを入れたくなるようなニュースでした。

かつてはカッコイイ企業の代表だった僕らのSONY。そのブランドが輝きを取り戻す日は来るのか? なんか、難しい気がするなぁ・・・

それでは、また!

※本稿の参考資料
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/14q1_sony.pdf
http://www.nikkei.com/my/paper-article/?ng=DGKDZO71822040W4A520C1DTA000
http://www.nikkei.com/my/paper-article/?ng=DGKDASDC2200N_S4A520C1EA2000





こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊6面、「左派勝利、高福祉に回帰 スウェーデン政権交代 増税に産業界は懸念」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、14日に行われたスウェーデンの総選挙で中道左派の野党3党が勝利を収め、8年ぶりに中道右派からの政権交代が実現する見通しになったことを伝えています。新政権は富裕層やレストラン、銀行への課税強化を掲げていて、新保守主義的スタンスだった旧政権の政策を修正し、従来の高福祉・高負担モデルに回帰することを目指しているようです。

それでは、いつものようにThe World Factbookのデータから数字を拾ってスウェーデンの概況を見てみましょう。紹介するのはセクター別GDP構成比と、歳入額がGDPに占める割合(歳入対GDP比)です。比較対象として、同じスカンジナビア半島に位置する隣国で、福祉国家という点も共通しているノルウェーと比べてみます。

  スウェーデン ノルウェー
個人消費 48.6% 40.5%
政府支出 26.8% 21.6%
設備投資 18.3% 21.7%
輸出 45.8% 39.9%
輸入 -39.9% -27.1%
歳入対GDP比 51.4% 56.8%

両国は、典型的な福祉国家の財政状況であることが分かります。すなわち「高負担」と「貿易黒字」です。手厚い福祉を用意するためには当然お金がかかります。そのお金を、まずは国民からしっかり税金で取り、競争力のある産業を育て輸出を増やして外貨も稼ぎ、外国からあまりモノを買わないようにしてお金が国外に出ないようにする。こうして高福祉の財源を捻出しているのです。

ともに貿易黒字国のスウェーデンとノルウェーですが、その中身はずいぶん違います。スウェーデンの輸出の半分は、ボルボやサーブに代表されるエンジニアリング、つまりモノづくりで占められるのに対し、ノルウェーの政府歳入の30%は石油・天然ガスといった資源輸出によって稼ぎ出されています。

上記の数字で、輸出のプラスから輸入のマイナスを相殺した値がスウェーデン:5.9ポイント、ノルウェー:12.8ポイントと差がついている理由もそこにあります。つまり、主要輸出先である欧州の景気低迷でモノが売れないスウェーデンと、不況でも需要が安定している天然資源で商売できるノルウェーでは、スウェーデンの方が厳しい状況に置かれているのです。

したがって、新政権が高福祉モデルへの回帰を目指すには、増税だけでなく産業競争力の強化という視点も欠かせないのです。

日本の民主党政権もそうでしたが、左派政権はどうしてもこの手の経済政策に弱いイメージがあります。スウェーデンの新政権が困難を克服し、再び世界がうらやむ高福祉国家に復活できれば、その過程は日本の政策決定にも必ず参考になるはずです。注視していきたいと思います。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/sw.html
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/no.html