今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊12面、「米スタバ、日本法人完全子会社化 グループ内連携強化」という記事から、スタバのビジネスについて考えてみたいと思います。
記事の内容ですが、米スターバックスがTOB(株式公開買い付け)を通じて2015年初めをメドに、日本法人であるスターバックスコーヒージャパンを完全子会社化するという動きを伝えています。日本のスタバは今期も最高益を更新する見通しで、米スタバには優秀な日本法人の成長力を取り込み、鈍化傾向にあるグループの収益力を底上げする狙いがあるとのことです。
それでは、数字で日本のスタバの経営状況を確認しましょう。直近の通期短信を、ライバルのドトールコーヒー(ドトール・日レスホールディングス)と比較してみます。まず損益計算書から。
| 単位:百万円 | ||
| スターバックス | ドトール | |
| 売上高 | 125,666 | 113,520 |
| 売上原価 | 32,972 | 45,925 |
| 売上総利益 | 92,693 | 67,594 |
| 販管費 | 81,742 | 59,142 |
| 営業利益 | 10,951 | 8,452 |
| 経常利益 | 10,996 | 8,830 |
| 純利益 | 5,998 | 3,876 |
| 売上原価率 | 26.2% | 40.5% |
| 売上総利益率 | 73.8% | 59.5% |
| 販管費率 | 65.0% | 52.1% |
| 営業利益率 | 8.7% | 7.4% |
| 経常利益率 | 8.8% | 7.8% |
| 純利益率 | 4.8% | 3.4% |
両社はまさにライバル、売上高規模はほぼ同じになっています。しかしそれ以外の数字には両社のビジネスの特徴を表す違いが見て取れます。スタバの低い原価率=高い粗利率は、ドトールよりも高単価の商品で勝負できる優位性を表していますし、ドトールの販管費の低さからは、粗利が稼げない分を全社的なオペレーションでカバーして利益を出す経営姿勢が感じられます。
また、販管費の中身を見てみると、人件費の占める割合はドトール約18%に対し、スタバは約28%(対売上高比)となっています。金額だけで判断はできないかもしれませんが、スタバがしっかりと従業員にも報いていることが類推できます。
次に貸借対照表を見てみましょう。
| 単位:百万円 | ||
| スターバックス | ドトール | |
| 総資産 | 71,537 | 109,788 |
| 流動資産 | 31,799 | 43,562 |
| 固定資産 | 39,737 | 66,225 |
| (うち有形固定資産) | 16,702 | 36,731 |
| 流動負債 | 19,917 | 15,646 |
| 固定負債 | 4,843 | 5,939 |
| 純資産 | 46,777 | 88,202 |
| 流動比率 | 159.7% | 278.4% |
| 自己資本比率 | 65.4% | 80.3% |
| ROA | 15.4% | 8.0% |
| ROE | 12.8% | 4.4% |
| 有形固定資産回転率 | 7.52 | 3.09 |
目につくのは、スタバの総資産の少なさです。特に土地や建物などの有形固定資産はドトールの半分以下になっています。実は、貸借対照表の項目を見ると、スタバには土地という項目がありません。この辺は「持たざる経営」の意識が徹底しています。
以上を総合的に見ると、「持たざる経営に徹し」「従業員を大切にし」「付加価値の高い商品・サービスを提供する」という、現代の経営の要諦と言われる要素をすべて満たしているのがジャパニーズ・スターバックスと言えそうです。
さて、今回の米国本社の完全子会社化により、この圧倒的な強みがさらに強化されるのか、逆に損なわれるのか。興味深く見ていきたいですね。
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
http://www.starbucks.co.jp/assets/images/ir/images/library/tanshin-H2603-Q4.pdf
http://www.dnh.co.jp/html/ir04soneki.html
http://www.dnh.co.jp/html/ir04taisyaku.html