伊予の経営コンサルタントのブログ -24ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊12面、「米スタバ、日本法人完全子会社化 グループ内連携強化」という記事から、スタバのビジネスについて考えてみたいと思います。

記事の内容ですが、米スターバックスがTOB(株式公開買い付け)を通じて2015年初めをメドに、日本法人であるスターバックスコーヒージャパンを完全子会社化するという動きを伝えています。日本のスタバは今期も最高益を更新する見通しで、米スタバには優秀な日本法人の成長力を取り込み、鈍化傾向にあるグループの収益力を底上げする狙いがあるとのことです。

それでは、数字で日本のスタバの経営状況を確認しましょう。直近の通期短信を、ライバルのドトールコーヒー(ドトール・日レスホールディングス)と比較してみます。まず損益計算書から。
                                                                                                                     
単位:百万円
  スターバックス ドトール
売上高 125,666 113,520
売上原価 32,972 45,925
売上総利益 92,693 67,594
販管費 81,742 59,142
営業利益 10,951 8,452
経常利益 10,996 8,830
純利益 5,998 3,876
     
売上原価率 26.2% 40.5%
売上総利益率 73.8% 59.5%
販管費率 65.0% 52.1%
営業利益率 8.7% 7.4%
経常利益率 8.8% 7.8%
純利益率 4.8% 3.4%

両社はまさにライバル、売上高規模はほぼ同じになっています。しかしそれ以外の数字には両社のビジネスの特徴を表す違いが見て取れます。スタバの低い原価率=高い粗利率は、ドトールよりも高単価の商品で勝負できる優位性を表していますし、ドトールの販管費の低さからは、粗利が稼げない分を全社的なオペレーションでカバーして利益を出す経営姿勢が感じられます。

また、販管費の中身を見てみると、人件費の占める割合はドトール約18%に対し、スタバは約28%(対売上高比)となっています。金額だけで判断はできないかもしれませんが、スタバがしっかりと従業員にも報いていることが類推できます。

次に貸借対照表を見てみましょう。
                                                                                                               
単位:百万円
  スターバックス ドトール
総資産 71,537 109,788
流動資産 31,799 43,562
固定資産 39,737 66,225
(うち有形固定資産) 16,702 36,731
流動負債 19,917 15,646
固定負債 4,843 5,939
純資産 46,777 88,202
     
流動比率 159.7% 278.4%
自己資本比率 65.4% 80.3%
ROA 15.4% 8.0%
ROE 12.8% 4.4%
有形固定資産回転率 7.52 3.09

目につくのは、スタバの総資産の少なさです。特に土地や建物などの有形固定資産はドトールの半分以下になっています。実は、貸借対照表の項目を見ると、スタバには土地という項目がありません。この辺は「持たざる経営」の意識が徹底しています。

以上を総合的に見ると、「持たざる経営に徹し」「従業員を大切にし」「付加価値の高い商品・サービスを提供する」という、現代の経営の要諦と言われる要素をすべて満たしているのがジャパニーズ・スターバックスと言えそうです。

さて、今回の米国本社の完全子会社化により、この圧倒的な強みがさらに強化されるのか、逆に損なわれるのか。興味深く見ていきたいですね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.starbucks.co.jp/assets/images/ir/images/library/tanshin-H2603-Q4.pdf
http://www.dnh.co.jp/html/ir04soneki.html
http://www.dnh.co.jp/html/ir04taisyaku.html




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊7面、「ダイエーを抜本改革 イオン、完全子会社化へ」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、イオンがこれまで連結子会社だったダイエーを完全子会社、つまりダイエーの100%株主となって抜本改革に乗り出すことになった、というものです。ダイエーの連結業績は2期連続の営業赤字となっており、イオンの再建計画は都市部のスーパー事業の再編が柱になる、と伝えています。

2000年代以降、リストラを繰り返してきたダイエーの業績が伸び悩んでいる理由は何なのでしょうか。いつものように財務諸表から考えてみましょう。直近の通期決算数値を、同業のイトーヨーカ堂と比べてみます。まずは貸借対照表から。
                                                                                                                           
単位:百万円
  ダイエー イトーヨーカ堂
総資産 324,966 807,425
流動資産 91,747 273,937
固定資産 233,218 533,487
(うち有形固定資産) 148,613 305,188
流動負債 98,180 137,173
固定負債 117,619 61,806
純資産 109,166 608,444
     
流動比率 93.4% 199.7%
自己資本比率 33.6% 75.4%
ROA -2.9% 1.6%
ROE -22.3% 0.9%
有形固定資産回転率 5.47 4.30

「ダイエーvsイトーヨーカ堂」といえば、「所有する経営」のダイエーに対し、「持たざる経営」のイトーヨーカ堂、というのがかつての構図でした。しかし、前述の2000年代以降のリストラによって所有不動産を売却した結果、経営の効率性指標である有形固定資産回転率は、むしろヨーカ堂を1.17ポイントも上回っています。

次に、損益計算書を見てみましょう。
                                                                                                                       
単位:百万円
  ダイエー イトーヨーカ堂
売上高 813,645 1,311,989
売上原価 532,792 964,980
売上総利益 280,852 347,008
販管費 288,345 335,771
営業利益 -7,493 11,236
経常利益 -9,339 13,071
純利益 -24,330 5,333
     
売上原価率 65.5% 73.6%
売上総利益率 34.5% 26.4%
販管費率 35.4% 25.6%
営業利益率 -0.9% 0.9%
経常利益率 -1.1% 1.0%
純利益率 -3.0% 0.4%

ここでも、店舗オペレーションの巧拙の指標である売上原価率はダイエーがヨーカ堂を8.1ポイント上回っています。つまり、ダイエーはそれなりに経営改善努力を行っているということです。

それでは、赤字の原因は一体なんなのでしょう? それはひとえに販管費率、すなわち固定費の高さです。ダイエーとヨーカ堂では約10ポイントの差があります。記事によれば、ダイエーは不動産売却で得た資金を有利子負債返済に充て、利子負担の軽減を図ったようです。しかし、売却した店舗を借り受けるリースバック方式で営業を継続した結果、老朽化しても高い賃料を払い続けている店舗が少ないとのことです。すなわち、所有していればとっくに耐用年数が過ぎて減価償却費を計上しなくてもよかったものが、賃料に形を変えていつまでも固定費としてのしかかってくる、ということなのです。

その点、やはりヨーカ堂はさすがです。もう一度貸借対照表をご覧ください。流動比率にかなり差がありますね。実は、ヨーカ堂の流動資産のうち約35%は「預け金」、すなわち不動産賃借時の敷金で占められています。これは、賃貸人に対し、敷金を多めに積むことで賃料交渉を有利に進めていることが考えられます。

このように見ていくと、経営再建の第一歩はやはり店舗再編になるでしょう。既存のイオンの店舗と合わせて、最適な出店構成にすること、要するに店舗の閉鎖も含めた措置は避けられないと思います。

私が学生の頃、ダイエーといえば就職の人気ランキング上位に位置する優良企業でした。残念ながら、当時の姿を取り戻すことはできないと思いますが、なんとか生き残る場所を見つけて頑張ってほしいものです。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.daiei.co.jp/corporate/pdf/release/2014/140408.pdf
http://www.itoyokado.co.jp/mngdbps/_material_/localhost/pdf/2014/balancesheet_2014_01.pdf

こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊4面、「金も人も 英国の吸引力 『外資』狙う日本にヒント」という記事から思うところを書いていきます。

記事は、「核心」というコラムで、日経新聞欧州総局編集委員の大林尚氏の署名記事です。先日のスコットランド独立の是非を問う住民投票の話題に絡めて、「英国は産業革命の発祥国だが、今や製造業はほとんどみる影がない。(中略)サービス産業化の進展は都市国家のようなロンドンの優位性を際立たせ、独立という結果が出ていたとしても、外資の流入が滞るとは考えにくい」(一部修正して抜粋)と述べています。その上で交通や不動産など、実際に外資が入っている産業の具体例を示した後、日本政府が掲げる直接投資受入れ目標の達成にはカネのことだけでなく、ヒトの受入れも含め幅広く考えることが大事だ、と主張しています。

主張自体は理解できますが、そもそも、外資受入れを増やすにあたって、サービス業に特化したイギリスは日本のお手本になるのでしょうか?

ひとつ、データを取りましたのでご紹介します。いつものThe World Factbook から、GDPの金額上位25か国のGDPに占める第二次産業の割合、第三次産業の割合および失業率の数字を拾い、相関係数を出してみました。

結果は、第二次産業の割合と失業率の相関係数がマイナス0.56、第三次産業の割合と失業率の相関係数がプラス0.44です。これは、製造業など第二次産業の割合が高い国は比較的失業率が低いのに対し、サービス業など第三次産業の割合が高い国は失業率が高くなる傾向がある、ということを示しています。じっくりとモノづくりに取り組んでいる国が、しっかりと雇用も確保できているのです。

はっきり言います。イギリスのように製造業が衰退し、交通や不動産に外資が入ってきて表面上は経済発展しても、一般の日本人には何もいいことがありません。

外資を活用するなら、世界最高のモノを作り続ける、という目的にかなう投資に特化すべきです。数値目標は結構ですが、まず金額ありきで中身も精査しないままカネだけを受け入れているとロクなことにならないでしょう。

以前も書きましたが、最近の、「額に汗して働く製造業は古い」「経済のサービス化でもっと効率よく儲けよう」という風潮はとても危険だと思います。中国や東南アジアにモノづくりでキャッチアップされ、気がついてみたら日本には世界に誇れるものは何もなくなっていた・・・という事態は避けるべきだと、強く思います。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/rankorder/2001rank.html?countryname=Turkey&countrycode=tu&regionCode=mde&rank=17#tu

※なお、相関係数計算時に、外れ値と判断した以下4か国のデータを意図的に外しました。よってサンプル数は21か国となっています。
スペイン、サウジアラビア、イラン、南アフリカ