伊予の経営コンサルタントのブログ -23ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊3面、「住商、資源戦略見直し」という記事から総合商社の経営について考えてみます。

記事の内容ですが、住友商事が2年前に投資した米国テキサス州のシェールオイル事業について、当初計画通りの採掘量を見込めず、1700億円の減損損失を計上することを伝えています。シェール関連の資源事業はリスクが高く高度な技術も必要なことから、事前の計画の甘さを指摘する声が上がっていると伝えています。

また、今回の失敗は、資源開発事業で他の総合商社に後れをとっていた住商が、焦って大型案件に飛びついたことが原因ではないか、と分析しています。

今日はこのことを決算の数字から確認してみましょう。直近の今期第1四半期の損益計算書を見てみます。比較対象として三菱商事、三井物産と比べてみます。
                                                                                                                                                     
単位:百万円
  住友商事 三菱商事 三井物産
売上高 878,700 1,894,465 1,370,526
売上原価 653,632 1,618,276 1,160,137
売上総利益 225,068 276,189 210,389
販管費 179,177 237,264 139,248
営業利益 45,891 38,925 71,141
税引前利益 69,431 147,247 173,134
純利益 53,412 117,378 133,530
       
売上原価率 74.4% 85.4% 84.6%
売上総利益率 25.6% 14.6% 15.4%
販管費率 20.4% 12.5% 10.2%
営業利益率 5.2% 2.1% 5.2%
税引前利益率 7.9% 7.8% 12.6%
純利益率 6.1% 6.2% 9.7%

注目していただきたいのは、「営業利益」と「税引前利益」の差です(注:総合商社は国際会計基準を導入しているため、発表された損益計算書には日本基準で言う「営業利益」「経常利益」の欄はありません。今回の営業利益は、売上総利益から「その他の収益・費用計」を引いたものとして算出しています)。住商に比べ、他の2社は税引前利益が大きく伸びていることがお分かりいただけると思います。

その理由は、「受取配当金」と「持分法による投資利益」が住商より大きいからです。つまり、M&Aや合弁企業への出資を通じて、投資利益を多く上げているということです。一方、住商は商社の昔ながらの収入源である口銭(手数料)で稼いでいる割合が大きいということになります。

日経の分析通り、住商は三菱商事や三井物産のように口銭ビジネス+投資収益という総合商社の新しい経営スタイル「ハイブリッド型商社」への脱皮が遅れていると言えそうです。これを挽回したいという思いと、次世代エネルギーの本命と言われるシェール革命の勢いが、投資判断を曇らせたということではないでしょうか。

時流に乗ることは確かに大事ですが、勢いがある事象ほどリスクは覆い隠されてしまうものです。我々の生活でも、ちょっと大きい買い物をするときは冷静に考えないといけませんね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.sumitomocorp.co.jp/files/topics/27962_ext_01_0.pdf
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/201408j.pdf
https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/__icsFiles/afieldfile/2014/08/06/ja_153_1q_ta.pdf







こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「年金債務7000億円一括処理 日本郵政、上場に備え」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、日本郵政グループが来年秋に予定している株式上場に向け着手した、資本と事業基盤の見直しの内容を伝えています。余剰資金のあるゆうちょ銀行から統括会社の日本郵政と日本郵便に資金を移し、債務整理や物流事業への投資で企業価値を高めようという考えのようです。

今日は、改めて日本郵政という会社の成り立ちについて考えてみましょう。いつものように決算の数字から読み解きます。比較対象として三菱UFJフィナンシャルグループ、日本生命と比べます。まず損益計算書から。
                                                                                 
単位:百万円
  日本郵政 三菱UFJ 日本生命
経常収益 15,240,126 5,176,102 6,714,089
経常費用 14,136,522 3,481,282 6,201,473
経常利益 1,103,603 1,694,820 512,616
純利益 479,071 984,845 284,416
       
経常利益率 7.2% 32.7% 7.6%
純利益率 3.1% 19.0% 4.2%

なんといっても驚くのが経常収益(一般企業の売上高)の大きさです。約15兆円という額は三菱UFJと日生を足した数字よりも大きく、さらに言えば郵便事業で競合するヤマト運輸の売上高(約1兆3千億円)を足してもまだ上回るという、まさに逸ノ城もびっくりのモンスター・カンパニーです。

ただ、利益率の数字は必ずしも芳しくありません。ちなみに、数値が三菱UFJより日生に近いのは、日本郵政の経常収益の約7割が生命保険事業、すなわちかんぽ生命からの収益で占められているからです。次に貸借対照表を見てみましょう。
                                                                                                                    
単位:百万円
  日本郵政 三菱UFJ 日本生命
総資産 292,246,440 258,131,946 56,790,719
現金等 21,994,452 23,969,883 467,727
有価証券 235,623,120 74,515,573 44,369,012
貸出金 14,096,911 101,938,907 8,528,979
有形固定資産 2,665,243 1,540,031 1,718,217
貯金(預金) 175,291,979 144,760,294 -
純資産 13,388,650 15,112,895 4,727,608
       
自己資本比率 4.6% 5.9% 8.3%
ROA 0.4% 0.7% 0.9%
ROE 3.6% 6.5% 6.0%

「有価証券」と「貸出金」の欄にご注目ください。日本郵政は圧倒的に有価証券の比率が高くなっています。これは日生の資産構成に近く、ここからも日本郵政グループが銀行よりも保険会社寄りの財務構成であることが分かります。

乱暴に言ってしまえば、日本郵政のビジネスモデルは「かんぽ生命で集めた保険料で国債を買っているだけ」ということになります。投資家が重視する資本利益率の数字で、民間2社の後塵を拝していることからもそれが分かります。

従って、今後日本郵政が投資家にとって魅力的な企業になるためには、「投資利益率を高める」ことが必要ということになります。でも、例えばリスク資産への投資割合を増やすとか、個人ローンに進出するとか、少し考えただけでも「大丈夫かなぁ・・・」と思っちゃいますよね。また政府からしてみれば重要な国債の引受先を温存したいという思惑もあるでしょうから、なかなか一筋縄ではいかないでしょう。

要するに、カネのあるところではいろいろな思惑が働くということですね。こんなややこしい会社に、「国がバックについてるんだから」という安易な理由で投資しても、あまりいいことはないような気がしますが・・・

あ、念のために言っておきますが、あくまでも投資は自己責任ですからね。本稿は私の個人的な意見にすぎませんので、その点はあしからずm(__)m

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
https://www.japanpost.jp/financial/pdf/2014.pdf
https://www.nissay.co.jp/kaisha/annai/gyoseki/pdf/h25_4_nihon_a.pdf
http://www.yamato-hd.co.jp/investors/financials/results/pdf/4q_tansin_201403.pdf
http://www.mufg.jp/ir/fs/backnumber/2014mufg/pdf/mar/consoli_summary1403.pdf




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「航空機部品 競争力アップ IHI、加工コスト8割減」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、IHIが航空機エンジン部品を低コストで加工する新技術を開発したことを伝えています。一般的な加工法に比べ、加工費を最大8割抑えられるとのこと。軽量化が進む航空機は生産コストが上昇しているため、新技術はエンジンメーカーが受注判断する上で大きなアドバンテージになりそうです。

今回は、IHIと三菱重工の決算数値を比較し、普段は縁遠い重工業産業の経営について考えてみたいと思います。以下、直近の通期決算より、まず貸借対照表の数字です。

単位:百万円
  IHI 三菱重工
総資産 1,496,361 4,886,035
流動資産 901,201 3,180,861
固定資産 595,160 1,705,174
(うち有形固定資産) 336,448 930,498
流動負債 726,249 2,285,278
固定負債 407,557 826,533
純資産 362,555 1,774,223
     
流動比率 124.1% 139.2%
自己資本比率 24.2% 36.3%
ROA 3.6% 3.7%
ROE 9.1% 9.0%
有形固定資産回転率 3.88 3.60

数字を取るまで、三菱重工の事業規模がIHIの3倍強もあるとは知りませんでした。しかし、資産効率性を示す数値(ROA、ROE、有形固定資産回転率)では、両社はいい勝負です。それだけ、IHIの方が無駄のない経営をしているということで、なんとなくイメージ通りですね。

次に損益計算書を見てみましょう。

単位:百万円
  IHI 三菱重工
売上高 1,304,038 3,349,598
売上原価 1,081,630 2,695,898
売上総利益 222,408 653,700
販管費 169,137 447,581
営業利益 53,271 206,118
経常利益 53,235 183,159
純利益 33,133 160,428
     
売上原価率 82.9% 80.5%
売上総利益率 17.1% 19.5%
販管費率 13.0% 13.4%
営業利益率 4.1% 6.2%
経常利益率 4.1% 5.5%
純利益率 2.5% 4.8%

こちらも、売上高をはじめとする実数では三菱重工がIHIの3倍前後の規模になっています。また、利益率でもわずかではありますが、どの数値も三菱重工がIHIを上回っています。

つまり、IHIの課題は経営の効率性よりも、収益性の向上にあると言えます。数字をよく見ると、販管費率はほぼ同じなので、原価率を低減させることが具体的な目標になることが分かります。

その意味で、今回の記事のように加工費を削減する技術開発を行うことは、経営目標に合致したとても合理的な行動だと評価できます。

数日前にも書いた通り、日本が今後も豊かな国であり続けるカギは製造業にあります。私もこれからは意識的に、製造業やモノづくりに関するニュースにアンテナを張っていきたいと思っています。

今週もお付き合いいただきありがとうございました。どうぞ良い週末を!

※本稿のデータ出所
http://www.ihi.co.jp/var/ezwebin_site/storage/original/application/bd7ff7f2d907c9e7b572a524cd813530.pdf
http://www.mhi.co.jp/finance/library/result/pdf/h26_05/kessan_tansin.pdf