伊予の経営コンサルタントのブログ -20ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞44面、「キティ 進化するアイドル」という文化面の記事から、キャラクタービジネスについて考えてみたいと思います。

記事の内容は、サンリオでハローキティのデザイナーを務める山口裕子氏の寄稿文です。キティちゃんのデザイナーになった経緯から、国民的キャラクターに成長し世界進出やコラボ企画といった展開に進んだことについて思いを述べるものになっています。

なんでも、11月1日はキティちゃんの誕生日で、今年でちょうど40周年とのこと。今回は長い時間をかけて浸透したキティちゃんというキャラクターが、サンリオの経営にどう貢献しているかを数字で見てみます。直近の通期短信を、同じキャラクタービジネスのバンダイナムコホールディングスと比較してみましょう。

単位:百万円
  サンリオ バンダイナムコ
売上高 77,009 507,679
売上原価 23,654 316,850
売上総利益 53,355 190,829
販管費 32,340 146,156
営業利益 21,019 44,672
経常利益 20,180 47,456
純利益 12,802 25,054
     
売上原価率 30.7% 62.4%
売上総利益率 69.3% 37.6%
販管費率 42.0% 28.8%
営業利益率 27.3% 8.8%
経常利益率 26.2% 9.3%
純利益率 16.6% 4.9%

売上規模でサンリオはバンダイナムコのざっと6分の1以下。しかしサンリオの財務指標はどれをとってもピカピカの数字で、「ザ・優良企業」という感じです。バンダイナムコも決して悪い数字ではありませんが、サンリオが凄すぎます。

特に、圧倒的な差になっているのが売上原価率の低さと、その裏返しである売上総利益率(粗利率)の高さです。ここに、同じデザインを何回も再利用でき、しかも高い付加価値をキープできるキティちゃんという稀代のキラー・コンテンツの底力が表れています。

記事の後半で山口氏はキティちゃんのことを、「たくさんのタレントが所属する芸能事務所の、稼ぎ頭のタレントのようなもの」と表現しています。補足するなら、この人気タレントは24時間働かせても文句も言わず、ギャラの交渉もしなければスキャンダルのリスクもありません。まさに最強のキャラクターと言えるでしょう。

普段から経営のことばかり考えている身としては、ヒット商品が一つあるだけでこんなに事業環境が良くなるのか、とため息が出る思いです。どうすればヒット商品を生み出せるのか・・・を考えることが、究極の経営学なのかもしれませんね。

今週もお付き合いいただきありがとうございました。朝晩寒くなってきましたが、風邪など引かず、良い週末をお過ごしください!!

※本稿のデータ出所
http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1153091&code=8136&ln=ja&disp=simple
http://www.bandainamco.co.jp/ir/result/pdf/20140508_1.pdf


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「アデランス、48%減益 3~8月最終 広告費など重荷」という記事を題材に、かつらメーカーの経営を取り上げます。

記事の内容ですが、アデランスが15日発表した今上半期の連結決算で、純利益が前年同期比48%減の13億円になったことを伝えています。広告宣伝や販促活動費を増やしたことが利益の下押し要因になったようです。

今日は、派手なTVCMなどで目にする機会が多い(特に私の年代になると、いろんな意味で気になってしまう)かつらメーカーの経営について検証してみましょう。いつものように決算書の数字(前期通期の損益計算書)を見てみます。比較対象は業界のライバル、アートネーチャーです。

単位:百万円
  アデランス アートネーチャー
売上高 67,755 40,017
売上原価 13,817 10,316
売上総利益 53,938 29,701
販管費 50,321 24,318
営業利益 3,616 5,383
経常利益 4,481 5,461
純利益 4,281 3,131
     
売上原価率 20.4% 25.8%
売上総利益率 79.6% 74.2%
販管費率 74.3% 60.8%
営業利益率 5.3% 13.5%
経常利益率 6.6% 13.6%
純利益率 6.3% 7.8%

ざっくり言ってしまえば、「規模のアデランス、効率のアートネーチャー」という感じでしょうか。売上高ではアデランスがアートネーチャーを上回っているのに対し、利益率ではアートネーチャーがアデランスの上を行っています。

両社で顕著に違いがある数字は販管費率です。アデランスはアートネーチャーより13.5ポイント高く、それだけ営業コストをかけていることになります。アデランスの営業費といえば、人気タレントを起用したTVCMが思い浮かびますが、同社の広告宣伝費が売上高に占める割合はアートネーチャーとそれほど大きな違いはありません。考えてみれば、アートネーチャーだって西田敏行や松平健といった有名芸能人を使って派手にCM打ってますものね。

実は、販管費の項目で大きな違いがあるのは人件費です。売上高に給与手当が占める割合は、アデランスが約22%であるのに対し、アートネーチャーは約10%です。有価証券報告書に載っている平均給与(年収)を見ても、アデランスの約520万円に対し、アートネーチャーは約417万円と、100万円以上の差があります。

さて、ここまでの情報から、アデランスとアートネーチャー、どっちが良い会社だと思いますか?

経営分析をしていると、「利益率の高い会社が良い会社」と短絡的に考えてしまいがちです。確かに、利益率が高ければ株主や経営者、外部のアナリストは評価するでしょう。しかし、経営の最終目的が「すべてのステークホルダーを満足させること」にあるとすれば、利益率の高さだけでは十分にカバーできないステークホルダーが一人います。そう、従業員です。たとえ利益率が高くても、それが賃金を抑えたり、労働条件を厳しくしたりと、従業員にしわ寄せする形で実現されたものであるなら、重要なステークホルダーの一人を軽視していることになります。

数字を見る限り、アデランスの社員は高い粗利率を稼ぎ、それに見合う賃金をしっかりもらい、最終利益も出して株主にも報いている、理想的な経営をしていると言えます。一時は、筆頭株主であるスティール・パートナーズとの確執ばかりがクローズアップされた同社ですが、最近は安定した経営状態になってきているようです。

なお、アートネーチャーの売上高対人件費比10%という数字も、決して悪いものではありません。あくまでアデランスとの比較対象として取り上げただけで、同社の人事政策についてネガティブな批評を加える意図は全くありませんので、ご了解ください。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://pdf.irpocket.com/C8170/YWWN/qn9y/KcTN.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2056998




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「会社研究 ソニー(上) 社外の警鐘、経営に響かず」という記事から、思うところを書きたいと思います。

内容ですが、このブログでも毎度おなじみ(?)となったソニーの業績悪化の原因を探るものです。ソニーは社外取締役が多いことと、その経歴のきらびやかさでも有名ですが、その優秀なはずの社外取締役が機能していないことをまず指摘しています。記事によれば、決して社外取締役のみなさんが仕事をしていないのではなく、ソニーの経営陣が社外の知恵を生かせていない、というのが実状のようです。

その最たるものが、エレクトロニクス部門の高コスト体質の放置です。同部門の限界利益率(売上高から原材料費などの変動費を引いて残る利益率)は他の電機大手が平均30%であるのに対し17~20%、そして人件費などの固定費(売上の増減に関係なくかかる費用)は1兆円で高止まりしています。要するに利益が出にくい財務体質なのですね。

記事には、「限界利益と固定費から、損益が均衡する売上高を試算できる」と書いてあるだけで詳しい損益分岐点売上高の出し方が載っていませんので少し補足しておきましょう。まず損益分岐点を出す計算式は、

固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高

となります。例として、売価100円、原価50円の商品を想定します。この商品を作るのに固定費(人件費や光熱費、工場の減価償却費など)が月100万円かかるとしましょう。この100万円をまかなうのは、売価100円-原価50円から得られる50円の利益です(この利益のことを限界利益と言います)。したがって、100万円÷50円=2万個。この商品が2万個売れて初めて収支トントンになることが分かります。これを売上高に直すと、2万個×100円=200万円が収支トントン、すなわち損益分岐点売上高になります。

これは、言い換えると、「固定費は、損益分岐点売上高に限界利益率を掛けたもの」ということになります。すなわち、

損益分岐点売上高×限界利益率=固定費
            ↓
固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高
が導き出される、というわけです。ちなみに上の例の数字を代入すると、

100万円÷50%(50円/100円)=200万円
となります。

当然、経営課題としては、①売上をしっかり上げながら、②損益分岐点を下げる、ことが必要になります。記事によれば、ソニーは希望退職を募るなどして②を実現しようとしているようですが、何か大事なこと忘れていませんか?

損益分岐点を下げるためには、固定費を下げることのほかに限界利益率を上げる、すなわち変動費率を下げることも大切です。変動費を下げるためには売価を上げるか、製造コストを下げるかが必要になります。この競争の厳しいご時世、売価を上げるのは至難の業。であれば、ソニーがやるべきことは購買調達や生産工程の見直しなど、地道な製造コストの見直しではないでしょうか??

これは邪推の域を出ないのですが、ソニーはその企業イメージから、あまり泥臭い仕事が得意でない印象があります。「常に最先端で、カッコよくありたい」と思うのは良いのですが、それが
泥臭い業務を忌避する風土につながっているのだとしたら、改革すべきはこのマインドであるような気がします。みなさんはどうお考えでしょうか?

ご意見などいただけると幸いです。それでは、また!!