伊予の経営コンサルタントのブログ -19ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊11面、「日本のトイレ 憧れの的 TOTO、東南アでブランド戦略」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、衛生陶器メーカー大手のTOTOが東南アジアで展開するブランド戦略を、ライバルのLIXIL(INAX)と比較して紹介するものです。海外での知名度でLIXILに先行するTOTOは、自社の高級ブランドイメージを強化するため、五つ星ホテルや空港への納入を促進し、広告も旅客機の機内誌など一部に限定しているそうです。これに対し、LIXILは買収した米アメリカンスタンダードの知名度をテコに、INAXブランドを高級ブランドとして浸透させる戦略を取っています。

今日は、いつものように直近の通期決算書から、わが国が誇る二大便器メーカー(決して他意はないのですが、なんだか滑稽なフレーズですね。。。)の経営を比較してみたいと思います。まずはB/S(貸借対照表)から。

単位:百万円
  TOTO LIXIL
総資産 476,387 1,810,097
流動資産 258,800 942,532
固定資産 217,586 867,565
(うち有形固定資産) 137,789 489,535
流動負債 152,955 719,248
固定負債 66,835 465,250
純資産 256,596 625,599
     
流動比率 169.2% 131.0%
自己資本比率 53.9% 34.6%
ROA 10.6% 4.1%
ROE 17.2% 7.2%
有形固定資産回転率 4.02 3.33
総資産回転率 1.16 0.90
財務レバレッジ 185.7% 289.3%

ご存知の通り、TOTOがほぼ衛生陶器専業メーカーであるのに対し、LIXILはINAXのほかにトステム、新日軽、東洋エクステリアという建材系メーカーが集まったグループ企業です。したがって保有資産がTOTOより大きいのは当然のこと。注目すべきは財務指標の方で、安全性や投資効率性を示す指標は軒並みTOTOがLIXILを上回っています。次にP/L(損益計算書)を見てみましょう。

単位:百万円
  TOTO LIXIL
売上高 553,448 1,628,658
売上原価 341,780 1,180,823
売上総利益 211,667 447,834
販管費 164,485 378,754
営業利益 47,181 69,079
経常利益 50,411 74,937
純利益 44,122 44,755
     
売上原価率 61.8% 72.5%
売上総利益率 38.2% 27.5%
販管費率 29.7% 23.3%
営業利益率 8.5% 4.2%
経常利益率 9.1% 4.6%
純利益率 8.0% 2.7%

こちらも、事業規模の大きいLIXILの売上高がTOTOより大きいことは当然として、収益性を示す各指標は逆にTOTOがLIXILを上回っています。明確に、「規模のLIXIL、効率のTOTO」と言えますね。

今日の記事と、上の数字を合わせて考えると、両社にとっての経営課題もまた明確になります。「ブランドイメージの維持・強化」「技術力に加えデザイン開発力の強化」「海外市場戦略の強化」といったところでしょうか。でも、よく考えてみればこれらのことって便器事業に限らず、多くの日本企業にも当てはまることではないでしょうか?

今や日本の技術力の象徴とさえ言われる高機能便器産業から、日本企業全体の課題が見える、というお話でしたm(__)m

今週もお付き合いいただきありがとうございました! どうぞ良い週末を!!

※本稿のデータ出所
http://www.toto.co.jp/company/ir/reference/results/pdf/2013/4q.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1144148




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「30年で開いた世界との距離」というコラムから、思うところを書いていきます。

内容は、日本の株価が長期低迷している原因を探ると、とどのつまりは「日本企業に稼ぐ力がない」という事実に行きつくことを指摘しています。この「稼ぐ力がない」ことを証明する数字として以前紹介したROEが取り上げられており、「日本企業の低ROEはレバレッジや資産回転率の問題ではなく、売上高利益率の低さに起因する(後略)」と述べています。

前回も説明しましたが、ROE(自己資本利益率)は、
売上高純利益率(純利益/売上高)×総資産回転率(売上高/総資産)×財務レバレッジ(総資産/自己資本)
で求めることができます。したがってROEを上げようと思ったら、上の3つの数字を上げればよいということになるのですが、今日の記事が言っていることは、「総資産回転率や財務レバレッジは考えなくていい。売上高純利益率を上げることだけ考えよう」ということです。

今日はこれを、日本を代表する自動車メーカー、トヨタと日産の財務資料から検証してみます。直近の通期決算短信から数字を拾い、上の指標を計算してみました。

  トヨタ 日産
純利益率 7.1% 3.7%
総資産回転率 0.62 0.71
財務レバレッジ 272.3% 314.7%
ROE 12.0% 8.3%

総資産回転率と財務レバレッジは日産がトヨタを上回っているにもかかわらず、ROEで後塵を拝しているのは、倍近く差を開けられた売上高純利益率の低さが原因です。これだけをサンプルにするのは乱暴かもしれませんが、一定レベルの優良企業のROEを論じる際、利益率にフォーカスするのは妥当と言えそうです。

正直、経営の効率性を論じるときに財務レバレッジのようなテクニカルな要素が入ってくるのには違和感を抱いていました。「四の五の言うな! 売上と利益が一番大事なんだよ!」と言われた方が分かりやすいし、経営者や従業員もやることが明確になるのではないでしょうか?

ご意見などいただけると幸いです。それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/2014/year_end/yousi.pdf
http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/ABSTRACT/2013/2013results_financialresult_291_j.pdf

こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊13面、「地域発世界へ 北日本精機 軸受けの小型特殊品 少量多品種、輸出比率7割」という記事から気づいたことを書きたいと思います。

記事の内容は、北海道芦別市にあるベアリング(軸受け)メーカー、北日本精機の経営を伝えるものです。同社は少量多品種生産に強みがあり、大手メーカーが手掛けないような小型特殊品で世界トップクラスのシェアを持っています。

記事の後半では、きめ細かな生産を支えている要因として、以下のような文章が出てきます。
「国内生産量は月700万個、5000種類に及ぶ。毎年、償却前利益の20~30%を生産設備への投資に充て、現場を進化させる」(原文より抜粋)

ここだけを読むと、償却前利益の20~30%の投資というのが、ずいぶん積極的な投資であるかのような印象を受けます。果たしてそうなのでしょうか? 他のベアリングメーカーの数字と比較して検討してみましょう。

償却前利益はいくつか考え方がありますが、今回は「営業利益+(キャッシュフロー計算書の)減価償却費」を使います。これを分母にして、キャッシュフロー計算書の投資キャッシュフロー項目である「有形固定資産の取得による支出」を生産設備への投資とみなし、分子に置いて投資比率を計算します。以下、国内主要ベアリングメーカー5社の数字です。

単位:百万円
  日本精工 ジェイテクト NTN 不二越 ミネベア
営業利益① 68,049 58,207 33,003 12,338 32,199
減価償却費② 35,086 53,024 39,315 10,358 23,740
EBITDA①+② 103,135 111,231 72,318 22,696 55,939
有形固定資産の取得による支出③ 42,921 87,184 33,350 10,622 18,342
投資比率(③÷(①+②)) 41.6% 78.4% 46.1% 46.8% 32.8%

当然ながら、設備投資は年度によって金額に波がありますが、上の数字から少なくとも言えることは、各社とも北日本精機と同等あるいはそれ以上の設備投資を行っているということです。したがって、「償却前利益の20~30%の投資」を行っていることが、同社の競争優位性の源泉ではないことが分かります。

記事の内容と、上の数字を合わせて考えると、北日本精機が導入している機械は大量生産用にカスタマイズした専用機ではなく、用途の広い汎用機であると思われます。専用機の場合、導入とメンテナンスにコストがかかりますが、生産時に従業員の高いスキルは必要なく、その分人件費を抑えられます。一方、汎用機は導入やメンテナンスコストが低い代わりに、使用する従業員は高い技術が必要になるため、人件費が高くなります。

ここまで考えると、「大手のように機械設備にコストをかけず、地元の人材を上手く活用する」ことが、北日本精機の競争力を支えていると考えることができます。

なんだか、北の大地で生き生きとものづくりに励む労働者の姿が目に浮かぶような気がしませんか? 一見無味乾燥な数字の羅列から、このように現場の人の姿が浮かび上がってくることは、経営分析の醍醐味のひとつですね。

それでは、また!!

※本日のデータ出所
https://www.jtekt.co.jp/ir/pdf/140425_1.pdf
https://www.jtekt.co.jp/ir/pdf/140425_1.pdf
http://www.ntn.co.jp/japan/investors/pdf/fin/h26c.pdf
http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/ir/earnings/pdf/1401-2.pdf
http://www.minebea.co.jp/investors/disclosure/earning/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/05/08/e2014_tanshin.pdf