今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊11面、「日本のトイレ 憧れの的 TOTO、東南アでブランド戦略」という記事から思うところを書いていきます。
記事の内容は、衛生陶器メーカー大手のTOTOが東南アジアで展開するブランド戦略を、ライバルのLIXIL(INAX)と比較して紹介するものです。海外での知名度でLIXILに先行するTOTOは、自社の高級ブランドイメージを強化するため、五つ星ホテルや空港への納入を促進し、広告も旅客機の機内誌など一部に限定しているそうです。これに対し、LIXILは買収した米アメリカンスタンダードの知名度をテコに、INAXブランドを高級ブランドとして浸透させる戦略を取っています。
今日は、いつものように直近の通期決算書から、わが国が誇る二大便器メーカー(決して他意はないのですが、なんだか滑稽なフレーズですね。。。)の経営を比較してみたいと思います。まずはB/S(貸借対照表)から。
| 単位:百万円 | ||
| TOTO | LIXIL | |
| 総資産 | 476,387 | 1,810,097 |
| 流動資産 | 258,800 | 942,532 |
| 固定資産 | 217,586 | 867,565 |
| (うち有形固定資産) | 137,789 | 489,535 |
| 流動負債 | 152,955 | 719,248 |
| 固定負債 | 66,835 | 465,250 |
| 純資産 | 256,596 | 625,599 |
| 流動比率 | 169.2% | 131.0% |
| 自己資本比率 | 53.9% | 34.6% |
| ROA | 10.6% | 4.1% |
| ROE | 17.2% | 7.2% |
| 有形固定資産回転率 | 4.02 | 3.33 |
| 総資産回転率 | 1.16 | 0.90 |
| 財務レバレッジ | 185.7% | 289.3% |
ご存知の通り、TOTOがほぼ衛生陶器専業メーカーであるのに対し、LIXILはINAXのほかにトステム、新日軽、東洋エクステリアという建材系メーカーが集まったグループ企業です。したがって保有資産がTOTOより大きいのは当然のこと。注目すべきは財務指標の方で、安全性や投資効率性を示す指標は軒並みTOTOがLIXILを上回っています。次にP/L(損益計算書)を見てみましょう。
| 単位:百万円 | ||
| TOTO | LIXIL | |
| 売上高 | 553,448 | 1,628,658 |
| 売上原価 | 341,780 | 1,180,823 |
| 売上総利益 | 211,667 | 447,834 |
| 販管費 | 164,485 | 378,754 |
| 営業利益 | 47,181 | 69,079 |
| 経常利益 | 50,411 | 74,937 |
| 純利益 | 44,122 | 44,755 |
| 売上原価率 | 61.8% | 72.5% |
| 売上総利益率 | 38.2% | 27.5% |
| 販管費率 | 29.7% | 23.3% |
| 営業利益率 | 8.5% | 4.2% |
| 経常利益率 | 9.1% | 4.6% |
| 純利益率 | 8.0% | 2.7% |
こちらも、事業規模の大きいLIXILの売上高がTOTOより大きいことは当然として、収益性を示す各指標は逆にTOTOがLIXILを上回っています。明確に、「規模のLIXIL、効率のTOTO」と言えますね。
今日の記事と、上の数字を合わせて考えると、両社にとっての経営課題もまた明確になります。「ブランドイメージの維持・強化」「技術力に加えデザイン開発力の強化」「海外市場戦略の強化」といったところでしょうか。でも、よく考えてみればこれらのことって便器事業に限らず、多くの日本企業にも当てはまることではないでしょうか?
今や日本の技術力の象徴とさえ言われる高機能便器産業から、日本企業全体の課題が見える、というお話でしたm(__)m
今週もお付き合いいただきありがとうございました! どうぞ良い週末を!!
※本稿のデータ出所
http://www.toto.co.jp/company/ir/reference/results/pdf/2013/4q.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1144148