伊予の経営コンサルタントのブログ -18ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「横浜・東日本銀が統合 地銀首位グループに」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、地方銀行大手の横浜銀行と東京都を主な地盤とする東日本銀行が2016年をメドに経営統合する方針を決めた、というものです。統合後の資産規模は16兆円弱となり、現在地銀首位のふくおかFGを抜き、地銀最大の金融グループが誕生する見込みです。

今日は、今回の地銀再編劇の裏にあるものをいつものように数字から読み解いていきましょう。横浜・東日本両銀行の前期、および6年前の損益計算書を比較してみます。

横浜銀行 単位:百万円
  2013年度 2007年度
経常収益 294,451 317,949
経常費用 192,250 206,139
経常利益 102,200 111,810
純利益 60,690 68,270
     
経常利益率 34.7% 35.2%
純利益率 20.6% 21.5%

東日本銀行 単位:百万円
  2013年度 2007年度
経常収益 39,994 48,724
経常費用 30,016 37,322
経常利益 9,978 11,402
純利益 5,545 6,575
     
経常利益率 24.9% 23.4%
純利益率 13.9% 13.5%

一見、両行とも堅実な経営をしているように見えますが、注目していただきたいのは経常収益のところです。横浜銀行は約7.4%、東日本銀行は約17.9%、6年前より数字を落としています。経常収益とは主に貸出金の受取利息のことで、一般の企業では「売上高」にあたります。分かりやすく言えば両行とも「販売不振」に陥っているということです。

もっとも、この状況は地銀全体に言えることです。なぜ地銀の「売上高」が上がらないかといえば、一般企業であれば新製品や新サービスの開発、販路の拡大などで売上拡大できるのですが、地方銀行ではそれができない、またはかなり困難だからです。A銀行とB銀行でお金のデザインが変わるわけではありませんし、この低金利時代に「○○銀行の新型ローンなら20%の利息を払っても借りたい!」などと言う奇特な人はいません。また、「東北のお金って活きが良さそうだから、ローン借りるなら東北の銀行だよな!」といって関西の人が東北の地銀と取引することも、まずないでしょう。

つまり、地銀の「売上高」の減少は今後も続くということです。このことを前提として、今回横浜・東日本両行はお互い体力のあるうちに経営統合し、大胆なリストラを進めやすくした、というのが本当のところではないでしょうか。

これって、人の結婚に似ているような気がしませんか? お金に困っていたり、体力的に不安があったりすると、良い条件での縁談はまとまりにくくなります。お互いしっかりした経営ができている今だからこそ、負い目もなく対等な交渉ができる・・・人も企業も一緒になるときは相手うんぬんよりまず「自分」をしっかり持つことが大事なのかもしれませんね。

それでは、また!

※本稿のデータ出所
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=9436&code=8332
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=4240&code=8332
http://www.higashi-nipponbank.co.jp/pdf/financial_results/21.3.1.pdf
http://www.higashi-nipponbank.co.jp/pdf/financial_results/20140515_release_summary.pdf

こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。昨日10月30日付日経新聞朝刊11面、「任天堂『年末商戦で成否』 営業赤字4年連続(4~9月) スマホ対策答えなく」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、任天堂が29日に今期前期の連結決算を発表し、約2億円の営業赤字であったことを伝えています。円安による為替差益で純利益ベースでは黒字を確保していますが、営業赤字は4年連続となり、同社の本業不振が深刻であることを物語っています。

今日は、任天堂の経営成績を時系列で振り返り、現代のビジネスがいかに速いスピードで移り変わっているかを考えてみたいと思います。同社の前期損益計算書を、今期と5年前で比べてみましょう。

単位:百万円
  2014年度 2009年度
売上高 171,399 548,058
売上原価 90,306 341,759
売上総利益 81,092 206,298
販管費 81,308 101,937
営業利益 -215 104,360
経常利益 22,196 110,613
純利益 14,300 69,492
     
売上原価率 52.7% 62.4%
売上総利益率 47.3% 37.6%
販管費率 47.4% 18.6%
営業利益率 -0.1% 19.0%
経常利益率 12.9% 20.2%
純利益率 8.3% 12.7%

まず、売上の落ち込みの深さがかなりのものになっていますね。今期は5年前の3分の1以下の数字です。その結果、人件費や広告費など販管費の割合が5年前から30ポイント近くハネ上がっています。販管費は売上が減っても以前と変わりなくかかる固定費の割合が大きいため、ここまで売上が下がってしまうとモロに利益の下押し要因となります。

従って、この状況を脱するには一にも二にも売上増大が大事なのですが、記事見出しにもある通り、今やゲームの主戦場となったスマホ向けに商品を投入しない(できない?)戦略を続ける以上、大幅な業況の改善は見込めないのではないでしょうか。

5年前は調子が良かった企業といえば、以前取り上げたマクドナルドもそうでしたね。「十年ひと昔」と言いますが、現代ビジネスではまさに「五年ひと昔」。仮にいま好業績だからといって、先を見据えた商品開発やサービス改善に失敗した企業はあっという間に足下をすくわれる、厳しい時代だということです。お互い肝に銘じましょう(^^:;)

今月もお付き合いいただきありがとうございました! どうぞ良い週末を!!

※本稿のデータ出所
http://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2014/141029.pdf
http://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2009/091029.pdf


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊5面、「野村、3割減益 4~9月 手数料収入落ち込む」という記事から、証券会社の経営について考えてみましょう。

記事の内容ですが、証券最大手の野村ホールディングス(野村証券)が今期の中間決算を発表し、それによると純利益が前年同期比3割減になったとのことです。詳しく見ていくと、個人部門と営業部門がそれぞれ40%以上の大幅減になったのに対し、資産運用部門は25%増になっており、運用を一任するラップ口座の伸びが寄与しているようです。

今日は普段なじみの薄い証券会社の経営をいつものように数字で読み解いていきます。野村の中間決算の数字を、ネット証券大手の松井証券のものと比べてみましょう。損益計算書と貸借対照表を続けてご覧ください。なお、野村は米国会計基準を採用しているため、日本基準の松井証券とは項目が若干違うことをお含みおきください。

※損益計算書
単位:百万円
  野村証券 松井証券
純営業収益 744,671 15,630
販管費 618,992 5,322
営業利益 10,308
税引前利益 125,679 10,021
純利益 74,388 6,469
販管費率 83.1% 34.0%
営業利益率 - 66.0%
税引前利益率 16.9% 64.1%
純利益率 10.0% 41.4%

※貸借対照表
単位:百万円
  野村証券 松井証券
総資産 43,802,094 767,157
流動資産 41,193,310 757,386
固定資産 2,608,784 9,771
(うち有形固定資産) 413,385 949
流動負債 32,165,383 677,207
固定負債 8,412,012 865
純資産 2,615,218 86,807
     
流動比率 128.1% 111.8%
自己資本比率 6.0% 11.3%
ROA 0.3% 1.3%
ROE 2.8% 7.5%
有形固定資産回転率 1.80 16.47
総資産回転率 0.02 0.02

企業規模から収益性・効率性に至るまで、とにかく何から何まで両社は全く違います。特に松井証券の圧倒的な利益率の高さが目につきますね。もうお分かりだと思いますが、ネット専業の証券会社は一般の証券会社のように支店も構えないし、高度な教育を施した社員を雇う必要もありません。「ネット環境だけは整えますから、あとは自己責任ですよ~」という経営スタイルですので、コストがかからないのですね。

これだけ各指標が大きく違っている中でも、唯一同じなのが「総資産回転率」です。両社とも0.02とかなり低い数字になっていますが、これは金融業では普通のことです。銀行もそうですが、金融業とは多くの人からお金を集めて、それをせいぜい10%以下で運用して売上高に当たる利ザヤを稼ぐ業態ですので、保有資産(ちなみに、我々が銀行や証券会社に預けるお金は、銀行や証券会社にとっては「負債」になります)に比べて売上高は小さくなります。

以上をまとめると、野村と松井は「金融業」という大きなくくりでは同業と言えますが、それ以外の部分ではとても同じ証券業界の会社とは思えない財務構成です。「一般証券会社」「ネット専業証券会社」は、違う業態として明確に分けて考えた方が良さそうですね。

同じような例としては旅行業界が挙げられるかもしれません。JTBや近ツー、HISのように店舗を構える旅行代理店と、じゃらんみたいなネット予約サイトでは、同じ旅行サービスを売る会社でも財務体質はかなり違いそうですね。機会があればまた分析してみたいと思います。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/summary/financial/data/2015_2q_usgaap.pdf
http://www.matsui.co.jp/ir/pdf/2015_2.pdf