今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊40面、「私の履歴書 坂根正弘㉔ 逆風下で社長に」を取り上げます。
日経新聞の目玉コラムである「私の履歴書」ですが、今月はコマツ相談役の坂根正弘氏の半生です。今日は社長就任時に取り組んだリストラがテーマになっています。
記事によれば、2001年の社長就任直後に創業以来初の営業赤字を計上したコマツは、その原因を探るべくコストの分析を行います。当時も今も、製造業では「国内はコスト高、コストを下げるには海外に出ていくしかない」というのが通説ですが、このときの分析結果はむしろ逆。国内拠点のコスト競争力が高いことが判明します。
生産コストは低いのに、利益が出ない理由は何か? 答えは、このブログでも何回か取り上げた「固定費の高さ」でした。雇用確保のために多角化した事業が不採算化して固定費(売上が減少しても減らせない費用)が膨らんでしまっていたのです。
固定費の代表と言えば人件費。業績回復のため、人員整理は坂根氏の言葉を借りれば「つらい決断だったが、逃げることのできない決断」でした。その結果、コマツは競争力を取り戻し、今日の隆盛を築くに至っています。
ここで、これまでの話が決算数値にどのように反映されているのかを見てみましょう。直近の中間決算を、自動車産業の中で売上規模が比較的類似している日野自動車と比較してみます。
| 単位:百万円 | ||
| コマツ | 日野自動車 | |
| 売上高 | 942,552 | 791,567 |
| 売上原価 | 659,069 | 651,308 |
| 売上総利益 | 283,483 | 140,258 |
| 販管費 | 160,794 | 90,915 |
| 営業利益 | 125,659 | 49,343 |
| 経常利益 | 123,596 | 50,900 |
| 純利益 | 77,986 | 32,717 |
| 売上原価率 | 69.9% | 82.3% |
| 売上総利益率 | 30.1% | 17.7% |
| 販管費率 | 17.1% | 11.5% |
| 営業利益率 | 13.3% | 6.2% |
| 経常利益率 | 13.1% | 6.4% |
| 純利益率 | 8.3% | 4.1% |
確かに、コマツの原価率は日野より12.4ポイント低く、固定費が多くを占める販管費の割合を抑えられれば利益が出る体質であることが分かります。
「良い経営資源を持っているのに利益が出ない。なぜか?」を考えれば、自ずと答えは出てきた、というのがコマツのケースではないでしょうか。ここで大事なことは、利益が出ない原因を「突き止めた」ことではなく、その原因を取り除くべく「行動した」ことです。経営に限らず、問題を除去するためにやらねばならないことは、何人かで時間をかけて考えれば大抵わかります。肝心なのはそれが実際にできるかどうか。坂根氏の場合でも、批判を恐れて人員整理に着手できなければコマツの復活はなかったし、日経新聞から「私の履歴書」の執筆を頼まれることもなかったでしょう。
現状を分析し、やるべきことを明確にし、実際にやる。肝に銘じていきたいです。
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/ir/library/financial/pdf/1503q2.pdf
http://www.hino.co.jp/content/dam/hino/common/img/IR/20141030IR_1.pdf