伊予の経営コンサルタントのブログ -16ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊40面、「私の履歴書 坂根正弘㉔ 逆風下で社長に」を取り上げます。

日経新聞の目玉コラムである「私の履歴書」ですが、今月はコマツ相談役の坂根正弘氏の半生です。今日は社長就任時に取り組んだリストラがテーマになっています。

記事によれば、2001年の社長就任直後に創業以来初の営業赤字を計上したコマツは、その原因を探るべくコストの分析を行います。当時も今も、製造業では「国内はコスト高、コストを下げるには海外に出ていくしかない」というのが通説ですが、このときの分析結果はむしろ逆。国内拠点のコスト競争力が高いことが判明します。

生産コストは低いのに、利益が出ない理由は何か? 答えは、このブログでも何回か取り上げた「固定費の高さ」でした。雇用確保のために多角化した事業が不採算化して固定費(売上が減少しても減らせない費用)が膨らんでしまっていたのです。

固定費の代表と言えば人件費。業績回復のため、人員整理は坂根氏の言葉を借りれば「つらい決断だったが、逃げることのできない決断」でした。その結果、コマツは競争力を取り戻し、今日の隆盛を築くに至っています。

ここで、これまでの話が決算数値にどのように反映されているのかを見てみましょう。直近の中間決算を、自動車産業の中で売上規模が比較的類似している日野自動車と比較してみます。

単位:百万円
  コマツ 日野自動車
売上高 942,552 791,567
売上原価 659,069 651,308
売上総利益 283,483 140,258
販管費 160,794 90,915
営業利益 125,659 49,343
経常利益 123,596 50,900
純利益 77,986 32,717
     
売上原価率 69.9% 82.3%
売上総利益率 30.1% 17.7%
販管費率 17.1% 11.5%
営業利益率 13.3% 6.2%
経常利益率 13.1% 6.4%
純利益率 8.3% 4.1%

確かに、コマツの原価率は日野より12.4ポイント低く、固定費が多くを占める販管費の割合を抑えられれば利益が出る体質であることが分かります。

「良い経営資源を持っているのに利益が出ない。なぜか?」を考えれば、自ずと答えは出てきた、というのがコマツのケースではないでしょうか。ここで大事なことは、利益が出ない原因を「突き止めた」ことではなく、その原因を取り除くべく「行動した」ことです。経営に限らず、問題を除去するためにやらねばならないことは、何人かで時間をかけて考えれば大抵わかります。肝心なのはそれが実際にできるかどうか。坂根氏の場合でも、批判を恐れて人員整理に着手できなければコマツの復活はなかったし、日経新聞から「私の履歴書」の執筆を頼まれることもなかったでしょう。

現状を分析し、やるべきことを明確にし、実際にやる。肝に銘じていきたいです。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/ir/library/financial/pdf/1503q2.pdf
http://www.hino.co.jp/content/dam/hino/common/img/IR/20141030IR_1.pdf




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「酪農再興 知恵絞る乳業 原料価格、直近20年で最高に」という記事を取り上げます。

記事の内容ですが、雪印メグミルク、明治など乳業大手が相次いで販売価格を値上げしている背景として、酪農家数減少と円安による輸入飼料相場の上昇を挙げています。特に酪農家数の減少は深刻で、現在は30年前の2割強の水準に落ち込んでいるとのこと。記事では、雪印が乗り出した新たな酪農モデル作りの取り組みなども紹介しています。

この経営環境の厳しさは乳業大手の決算にどのように表れているのでしょうか。記事にも登場する雪印メグミルクの2005年度と昨年度の損益計算書を比較して検証してみましょう。
                                                                                                             
単位:百万円
  2013年度 2005年度
売上高 544,907 280,057
売上原価 414,568 214,116
売上総利益 130,338 65,941
販管費 119,096 56,736
営業利益 11,241 9,204
経常利益 9,758 9,142
純利益 2,569 7,124
     
売上原価率 76.1% 76.5%
売上総利益率 23.9% 23.5%
販管費率 21.9% 20.3%
営業利益率 2.1% 3.3%
経常利益率 1.8% 3.3%
純利益率 0.5% 2.5%

8年前と現在とで、売上規模はほぼ倍になりましたが、原価率、販管費率はあまり変わっていません。記事で指摘されている原材料費の高騰も、数字だけを見れば一見影響は軽微で、事業は順調に推移しているように見えます。

しかし、少し数字を深堀りしてみると、また違った様相が見えてきます。例えば販管費の内訳。8年前に比べ、人件費(給与)の上昇率が約66%なのに対し、販売促進費は約70%、広告宣伝費はおよそ4倍に膨れ上がっています。

また、運送保管料も8年前から約4倍に増えています。これは、価格を据え置いて内容量を減らす「実質値上げ」を行ったことで商品の消費サイクルが速まったことが要因ではないでしょうか。

これらを総合的に考えると、8年前と変わらない利益構成は、「順調な事業発展の結果」というよりは、「逆風の中、必死に経営努力して8年前の水準を維持している状態」を物語っていると言えるでしょう。

マスコミで取り上げられるのは劇的な経営改善(あるいは経営不振)ですが、見た目が昔と変わらない人が、陰の努力で若さをキープしているように、数字に変化がない企業もたゆまぬ努力でその数字を維持しているのかも知れない・・・と想像すると、ちょっと面白いと思いますよ。

今週もお付き合いいただきありがとうございました! 私は明日、地元愛媛県のみかん農家の収穫作業をお手伝いするプロジェクトに参加してきます。みなさんもどうぞ良い週末を!!

※本稿のデータ出所
https://www.meg-snow.com/ir/news/pdf/00055.pdf
https://www.meg-snow.com/ir/news/pdf/20140509-861.pdf

※「八幡浜お手伝いプロジェクト」の詳細はこちら
http://www.yawatahama-otetsudai.com/
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題にいってみましょう。本日付日経新聞朝刊5面、「景気一致指数1.5ポイント上昇 9月改定値」という記事を取り上げます。ほんのベタ記事ですが、ここから思うところを書いていきます。

記事の内容は、現状の景気動向を示す景気一致指数が9月は109.8と、前月から1.5ポイント上昇したことを伝えています。速報値からも0.1ポイント上方修正され、その要因は投資財や鉱工業生産財出荷指数の改善にあると伝えています。

景気判断する上での指標は、大きく「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3カテゴリーに分けられ、それぞれの指数は6~12の経済指標によって構成されます。現状の景気を判断するのが「一致指数」で、これは11の指標の総合値となります。

今回、経済を争点に解散総選挙が行われますので、改めて景気の現状について整理しておきたいと思います。私なりに「一致指数」の11指標の数字を拾って、概観してみました。

まず、記事に出てきた鉱工業生産財出荷指数は98.0、投資財出荷指数は105.2です(平成22年を100とした数値)。これは、工業生産および設備投資は東日本大震災前の水準に戻っている、あるいは超えていることを示します。

一方、耐久消費財出荷指数は84.2(平成22年を100とした数値)と低水準にとどまり、消費者態度指数(注:これは先行指数に含まれます)は好不況の境目とされる50を大きく下回る38.9となっています。

これらをまとめて言うと、「企業は好調。個人は低調」ということになります。円安や好調なアメリカ景気に支えられて上場企業など大企業は好決算でも、サラリーマンや中小企業など経済主体のボリュームゾーンには厳しい現状と言えるでしょう。だからこそ、安倍首相はじめ政府は「雇用、賃上げ」の必要性を強調するのですね。

しかし、ここが一番大事なのですが、今の日本人は少々賃上げされたからといってホイホイと消費を増やすのでしょうか? 私はそうは思いません。理由は3つあります。

一つ目は、バブル崩壊後の「失われた20年」の後遺症の深さです。この間、節約志向は完全に定着したのではないでしょうか。二つ目は、もともと日本人には質素・倹約を美徳とする価値観があり、消費はネガティブなイメージを持たれがちなことです。そして三つ目は、「経済を回す」という観点から消費を奨励するようなシステムが社会に備わっていないことです。例えば、アメリカでは11月の感謝祭が終わったあと、クリスマスまではショッピング・シーズンとなり、社会全体に買い物をして景気をつけよう、という機運が盛り上がります。アメリカ人がどこまで経済システムを理解して行動しているかは定かではありませんが、この消費マインドの強さが米国経済の底堅さの要因であることは間違いないでしょう。

従って、いくら政府が旗を振ったところで、個人消費が本格的に回復するのはかなり困難だと私は考えます。そこで提案ですが、総選挙で安倍自民党が経済成長を争点にするなら、思い切って「我が党は経済成長なんか目指しません。これからみんなでスマートに、優雅に衰退していきましょう!」と言い切っちゃう政党が一つぐらいあってもいいのではないでしょうか? 違いが出しにくいと言われる経済政策論争で、国民の耳目を集めること請け合い、と思いますが・・・

それでは、また!!

※本稿の参考資料
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/kobetu_gaiyou.html