伊予の経営コンサルタントのブログ -14ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

早速今日もお題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊23面、「Money&Investment 一筋縄でない高ROE株」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、株式市場でROE(自己資本利益率)に注目する動きが出ていることを伝えています。政府の成長戦略の中に「グローバル水準のROE達成」が目標として盛り込まれ、今後ますますROE向上を意識する企業の増加が予想されることが背景にあるようです。

記事には、高ROEの持続が期待できる企業として、カカクコムとエムスリーが取り上げられています。カカクコムはおなじみ「価格.com」を運営する会社で、エムスリー(注:ポストイットで有名な3Mじゃありませんよ)は医療関係者専用の情報サイトを提供している会社です。ともにいわゆる「IT企業」ですね。

確かに、IT系企業は少ない資本で効率的に稼いでいるイメージがあります。それでは、ITを駆使している企業のROEは必ず高くなるのでしょうか? IT企業の代表とも言える楽天と両社の直近中間決算の財務諸表から検証してみましょう。なお、楽天は国際会計基準を採用しているため、一部の数値が空欄になっています。

●損益計算書
                                                                                                                                                      
単位:百万円
  カカクコム エムスリー 楽天
売上高 16,517 24,630 276,602
売上原価 1,801 9,826  
売上総利益 14,715 14,803  
販管費 7,490 7,581  
営業利益 7,224 7,518 44,776
経常利益 7,242 7,559 43,742
純利益 4,570 4,817 23,346
       
売上原価率 10.9% 39.9%  
売上総利益率 89.1% 60.1%  
販管費率 45.3% 30.8%  
営業利益率 43.7% 30.5% 16.2%
経常利益率 43.8% 30.7% 15.8%
純利益率 27.7% 19.6% 8.4%

●貸借対照表
                                                                                                                                                                     
単位:百万円
  カカクコム エムスリー 楽天
総資産 27,524 52,487 3,219,426
流動資産 24,967 28,044  
固定資産 2,557 24,443  
(うち有形固定資産) 903 776 32,346
流動負債 4,774 11,146  
固定負債 147 1,072  
純資産 22,602 40,269 321,185
       
流動比率 523.0% 251.6% #DIV/0!
自己資本比率 82.1% 76.7% 10.0%
ROA 26.3% 14.4% 1.4%
ROE 20.2% 12.0% 7.3%
有形固定資産回転率 18.29 31.74 8.55
総資産回転率 0.60 0.47 0.09
財務レバレッジ 121.8% 130.3% 1002.4%

以前にも書きましたが、ROEは、
売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
で表されます。3社の数字を比べてみると、楽天の総資産回転率が突出して低く、これがROEが高まらない原因の一つであることが分かります。

楽天の総資産回転率がこんなに低い理由は何なのでしょうか? 同社の貸借対照表を見ると、負債の部の「銀行事業の預金」「証券事業の金融負債」にそれぞれ1兆円前後の金額が計上されています。ここから、楽天は金融事業に参入したため総資産が膨れ上がったことが分かります。

金融事業は、集めたお金を数パーセントで運用して利ザヤ(売上)を稼ぐ業態ですので、資産回転率は一般的な事業に比べかなり低くなります。楽天の総資産回転率が低い→その結果ROEが高まらない原因は、同社が金融事業に参入したから、と言えます。

従って、記事も指摘している通り、ROEが高いからといってそれだけを理由に投資するのは思慮が足りません。指標というものは何でもそうですが、自分なりの基準を設けて使いこなすことが大切です。そう、あくまで投資は自己責任ですからね・・・

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://pdf.irpocket.com/C2371/XN1V/Idzq/Avst.pdf
http://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/
http://corporate.m3.com/ir/20141127.03/01_14024871_%E3%82%A8%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E6%A7%98_%E7%AC%AC%EF%BC%92%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊17面「タカタ問題で注目 製品に欠陥、米で問われる責任は」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、いまだ日米でリコール収束の兆しが見えないタカタのエアバック欠陥問題について、今後米国で予想される賠償問題等についてQ&Aで説明しています。これによると、賠償額が巨額になる恐れがあるため企業は和解を求める傾向が強く、2012年のトヨタのケースでは消費者の経済的損失に11億㌦、司法省に12億㌦の制裁金を支払うことで和解したことが紹介されています。

今日は、いつものように決算の数字を見ながら、このリコール問題が起こった原因を探ってみます。直近の四半期決算を、競合のダイセル、同じ自動車部品メーカーのデンソーと比べてみましょう。
                                                                                                                                                     
単位:百万円
  タカタ ダイセル デンソー
売上高 302,021 218,689 1,409,146
売上原価 253,374 162,159 1,247,565
売上総利益 48,646 56,529 161,581
販管費 33,921 31,144 129,722
営業利益 14,725 25,384 31,859
経常利益 18,177 26,468 39,347
純利益 -35,244 16,959 23,283
       
売上原価率 83.9% 74.2% 88.5%
売上総利益率 16.1% 25.8% 11.5%
販管費率 11.2% 14.2% 9.2%
営業利益率 4.9% 11.6% 2.3%
経常利益率 6.0% 12.1% 2.8%
純利益率 -11.7% 7.8% 1.7%

3社の事業構造に違いがありますので単純比較はできませんが、損益計算書上では目立った違いはありません。ちなみに、タカタの純利益が大幅な赤字になっているのは今回のリコール費用を「製品保証引当金」という名目で特別損失に計上したからです。それでは貸借対照表を見てみましょう。
                                                                                                                                                              
単位:百万円
  タカタ ダイセル デンソー
総資産 461,348 537,355 3,426,601
流動資産 316,596 278,649 1,986,880
固定資産 144,752 258,706 1,439,721
(うち有形固定資産) 101,124 157,671 790,085
流動負債 221,580 124,082 786,649
固定負債 95,635 90,810 669,107
純資産 144,132 322,462 1,970,845
       
流動比率 142.9% 224.6% 252.6%
自己資本比率 31.2% 60.0% 57.5%
ROA 3.9% 4.9% 1.1%
ROE -24.5% 5.3% 1.2%
有形固定資産回転率 2.99 1.39 1.78
総資産回転率 0.65 0.41 0.41
財務レバレッジ 320.1% 166.6% 173.9%

タカタは、他の2社に比べて見劣りする数値が多いことに気づかれましたか? 特に流動比率、自己資本比率、財務レバレッジという企業の安全性指標で見劣りが目立ちます。一方で、有形固定資産回転率、総資産回転率はタカタの方が上です。これらをどのように考えればよいのでしょうか?

資産回転率が高いということは、少ない資産で多くの売上を上げているということです。これ自体は喜ばしいことですが、問題はなぜ資産が少ないのか? ということです。安全性指標の数字が芳しくないということは、設備投資に回せるお金が少なく、その結果効率や性能の劣る設備を使い続けているということは考えられないでしょうか?

タカタの流動負債の内容を見ると、今回のリコール問題が噴出する前の今年3月の時点でも、製品保証引当金を460億円余りも計上しています。売上規模で約4.6倍のデンソーでも550億円、ダイセルは計上ゼロですので、いかにタカタのリコールへの備えが突出しているかが分かります。

以上を総合すると、
タカタは以前からリコールに備えてお金をプールしていた→だから設備投資に回せる資金が少なかった→だから現場の生産設備の更新が遅れた→だから製品の欠陥につながった・・・というストーリーが導き出せます。

もちろん、これは財務諸表を見て私が類推した個人的意見です。今回の欠陥問題については、社内に第三者委員会を立ち上げて原因究明するようですので、その報告を待ちたいと思います。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.takata.com/ir/pdf/material02/141113_ja.pdf
http://www.daicel.com/ir/pdf/tanshin/ren149_2q.pdf
http://www.denso.co.jp/ja/investors/liblary/settlement/2012/files/achievement-2012_1029.pdf


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日のお題ですが、昨日乳幼児用品大手のピジョンを取り上げた際、「値引は麻薬」というお話をしました。その補足説明をしたいと思います。

昨日のブログで、「値引率を超える販売増加率がなければ元の売上は達成できない」と書きました。よくある勘違いで、「値段を10%下げたんなら、販売数は10%上がればトントンになるんだろ?」と思っている人がいます。一見正しそうですが、これが間違っていることを簡単な例で確認してみましょう。

例えば、単価1,000円、目標販売数100個の商品があったとします。目標売上高は、1000円×100個=10万円ですね。

この商品の単価を900円、つまり10%値引きしたとします。これで目標売上高10万円を達成しようと思ったら、10万円÷900円≒112個、つまり当初目標より12%の販売数増が必要になります。

この場合、値引率と販売増加率の乖離は2%ですが、以下のように値引率が大きくなればなるほど、必要な販売増加率との乖離は広がっていきます。

●20%値引の場合
10万円÷800円=125個  必要販売増加率25% 乖離5%
●30%値引の場合
10万円÷700円≒143個  必要販売増加率43% 乖離13%

商品が売れなくなったとき、値引をすれば一時的に販売数が回復することはあるでしょう。しかし問題は、「どの程度」回復するかです。値引率と同程度の販売回復では目標の売上高を達成できず、結果として経営がジリ貧になってしまいます。このように、一時は良くても、長期的には経営を蝕む可能性があるため、「値引は麻薬」と呼ばれるのです。

値引をする際は、「この値引によってどれくらい販売数が増えるのか」という視点を必ず持って決断することが大事なのですね。

それでは、また!!