伊予の経営コンサルタントのブログ -12ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊3面、「マクドナルド 情報拡散に苦慮 異物混入を陳謝」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、ご存知の通り、日本全国の店舗で被害が報告されているマクドナルドの異物混入問題で、幹部が開いた謝罪会見の模様を伝えています。昨年の中国にある仕入先の使用期限切れ鶏肉使用問題から間を置かず今回の問題が噴出したことで、マクドナルドの信頼回復への道は一層険しくなった、と指摘しています。

それでは、今一度日本マクドナルド社の経営の現状を数字で確認してみましょう。直近の今期中間決算を、競合のモスバーガー(モスフードサービス)と比較してみます。

単位:百万円
  マクドナルド モス
売上高 121,000 32,421
売上原価 104,753 16,728
売上総利益 16,246 15,693
販管費 12,734 15,034
営業利益 3,512 658
経常利益 3,233 702
純利益 1,852 274
     
売上原価率 86.6% 51.6%
売上総利益率 13.4% 48.4%
販管費率 10.5% 46.4%
営業利益率 2.9% 2.0%
経常利益率 2.7% 2.2%
純利益率 1.5% 0.8%

もっとも違いが分かるのが、売上原価率とその裏返しである売上総利益率、そして販管費率です。手っ取り早く言えば、マクドナルドは「薄利多売」型、モスは「高付加価値」型、と言えます。

便宜的に、売上原価を変動費、販管費を固定費とみなして損益分岐点比率(売上高に対する損益分岐点売上高の割合。この値が低いほど余裕のある経営をしていることになります)を出すと、マクドナルドが78.5%、モスが95.8%となります。モスはマクドナルドより粗利率は高いのですが、固定費である販管費の割合が大きいため、利益が出にくい体質なのです。

今回のような問題がなければ、明らかにマクドナルドの方が効率的で賢い経営をしていることになります。しかし、今後を考えると、売上高の減少は避けられないでしょうし、安全確保のために人的リソースを増強することも検討されるでしょう。

つまり、マクドナルドの“勝利の方程式”だった「薄利多売」と「固定費の低さ」が崩れる可能性が高いわけです。今回の騒動が同社の経営に深刻な影響を与える本当の理由はここにあります。

日本で長く外食産業の雄として君臨してきたマクドナルドは、いま事業戦略の岐路に立っているのです。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.mcd-holdings.co.jp/pdf/2014/2014_half_j.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1192281


明けましておめでとうございます! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!! 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

早速今日もお題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊17面、「有利子負債2割圧縮 昭電線HD、17年3月メド」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、電線やケーブルのメーカーである昭和電線ホールディングスが、2017年3月期をメドに連結有利子負債を前期末より2割減らす方針であることを伝えています。主要取引先である電力会社の投資抑制が響いて国内電線事業の収益は悪化しており、設備投資を抑え、財務改善に注力するのが当面の経営方針になるようです。

要するに、昭和電線は「景気が悪い」会社なのです。だから借金を減らして、固定費である支払利息を少なくしよう、ということなのですね。しかし、今日は株主の視点から借金を減らすもう一つの理由を考えてみましょう。

株主が重視する経営指標は、このブログで何度も登場したROE(純資産利益率)です。これも何度もお伝えしていますが、ROEは以下の3つの指標に分解できます。

ROE=売上高純利益率(純利益/売上高)×総資産回転率(売上高/総資産)×財務レバレッジ(総資産/純資産)

昭和電線の直近の決算短信を見ると、純利益は9億5,000万円余りの赤字となっています。つまり、ROEを構成する3つの指標のうち、売上高純利益率がマイナスになっているのです。この状況では、他の2つの指標を大きくしてしまうとROEを下げてしまう結果となります。したがって、総資産回転率の分子である売上高か、財務レバレッジの分子である総資産を減らす必要が出てくるのです。

でも、いくらなんでも売上高を減らすわけにはいきませんので、勢い経営努力は総資産の圧縮、すなわち負債の削減に向かう、というわけですね。

したがって、今回の取り組みは完全に株主対策と言えるでしょう。もちろん、利払いが減れば、景気が良くなったときに人件費に回せるお金が増えることにもなりますので、従業員にとってもプラスになります。というか、不景気の時はそうでも言って社員のモチベーションを上げないとどうしようもない、ってところもありますが・・・

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.swcc.co.jp/ir/library/pdf/s_report/2609.pdf


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「成長戦略を問う 日本の価値 世界で磨け」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、「くまモン」人気をテコに海外から観光客を呼び込んだ熊本県を成功例として、今後の日本経済が目指すべき方向性を考察するものです。記事の主張を私なりに解釈すると、「モノの輸出は頭打ちなので、これからは知財とサービスで稼いでいきましょう」ということのようです。

ここで、改めて現在の日本の国際収支の状況を確認しておきましょう。

経常収支:3兆2,000億円の黒字
貿易収支:8兆7,000億円の赤字
サービス収支:3兆4,000億円の赤字
所得収支:15兆4,000億円の黒字
(財務省 「国際収支の推移」http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpnet.htm より)

要するに、モノやサービスの貿易では稼げなくなっているのに対し、海外からの利子や配当は巨額で、その結果として全体としては黒字を確保しているという状態です。また、近年のトレンドは、経常収支の黒字=縮小傾向、貿易収支の赤字=拡大傾向、サービス収支の赤字=横ばい、となっています。

これらの状況を総合的に勘案して、今日の日経の記事には「貿易収支よりもサービス収支や所得収支を重視しよう」という考え方が随所に見て取れます。例えば、

「工業製品や農産物など、モノの輸出入ばかりに目を奪われると、日本の成長に必要な経済外交の柱が見えてこない」
=製造業で稼ぐのはもう古いよ~

「秘蔵された知識資産を解き放ち日本の価値をグローバル市場で磨く考え方だ」
=額に汗して働くなんでダサいよね~ これからはアタマで稼ぐ時代だよ~

「外国から技術を取り込み、旺盛な設備投資とハードの輸出で高成長を遂げる中国(とは、)同じ次元で競っても日本に勝ち目はない」
=製造業では中国には勝てないんだから、日本は他のこと考えよー

という感じです。

この記事のトーンを見る限り、日経新聞は社論として、将来的に日本が「経常収支赤字・資本収支黒字」になることを容認しているようです。私は、この考え方はとても危険であると思っています。理由は簡単で、日本のような資源のない国で、製造業の力が衰えることは国力の衰退に直結すると考えるからです。

今日の記事がくまモンを取り上げたように、「ゆるキャラ」「おもてなし」「クールジャパン」など、いわゆるソフトパワーの重要性を説く言説は確かに耳触りはいいです。しかし、その裏返しとして「もう製造業はダメだ」「額に汗して働くなんて古い」というムードが醸成されてしまわないか、とても危惧しています。現に、建設現場の技術作業員の不足から公共工事が消化できず、経済成長の足かせになっている事態が生じています。

今こそ、政府は奇をてらわず、「これからも日本の基幹産業は製造業である」「日本は『ものづくり国家』である」と高らかに宣言するべきです。観光や知財の活用も大事ですが、これこそが王道の「成長戦略」だというのが私の意見です。

今年のブログは今日でおしまいです。春から始めて、何とか年末まで続けることができたのはお読みいただいたみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさま、良いお年を!!