今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊18面、「『ディズニー』買う理由 訪日客増、市場創造に期待」という記事から思うところを書いていきます。
記事の内容ですが、最近の株価上昇銘柄のトレンドとして、外需取り込みに成功している企業に注目する動きを取り上げています。訪日客が増加している東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド、同じく訪日客のホテル需要が膨らむ西武HD、米国事業が伸びているカルビーなどが例として取り上げられています。
一方で、海外事業に苦戦しているサッポロHDは(憐れにも?)株価が下落基調の企業としてカルビーと対比する形で取り上げられています。
それでは、この両社を比較してみましょう。直近の決算短信を比べてみます。決算期が異なるため、カルビーは第2四半期、サッポロは第3四半期の数字です。
※損益計算書
| 単位:百万円 | ||
| カルビー | サッポロ | |
| 売上高 | 106,270 | 379,380 |
| 売上原価 | 59,499 | 244,808 |
| 売上総利益 | 46,770 | 134,572 |
| 販管費 | 35,303 | 126,281 |
| 営業利益 | 11,467 | 8,291 |
| 経常利益 | 12,218 | 7,667 |
| 純利益 | 7,064 | -6,608 |
| 売上原価率 | 56.0% | 64.5% |
| 売上総利益率 | 44.0% | 35.5% |
| 販管費率 | 33.2% | 33.3% |
| 営業利益率 | 10.8% | 2.2% |
| 経常利益率 | 11.5% | 2.0% |
| 純利益率 | 6.6% | -1.7% |
※貸借対照表
| 単位:百万円 | ||
| カルビー | サッポロ | |
| 総資産 | 147,958 | 607,407 |
| 流動資産 | 83,424 | 134,975 |
| 固定資産 | 64,534 | 472,432 |
| (うち有形固定資産) | 52,897 | 354,734 |
| 流動負債 | 29,733 | 210,936 |
| 固定負債 | 8,049 | 247,216 |
| 純資産 | 110,174 | 149,254 |
| 流動比率 | 280.6% | 64.0% |
| 自己資本比率 | 74.5% | 24.6% |
| ROA | 8.3% | 1.3% |
| ROE | 6.4% | -4.4% |
ちなみに、サッポロの最終損益が赤字になっているのは、ご存知の通り「極ZERO」という銘柄の当初発売分が発泡酒と認められなかったことにより追加課税が発生したからです。
ただ、その影響を排除したとしても、カルビーが圧倒的に優れた経営をしていることは一目瞭然です。そして、記事が指摘する海外事業の影響ですが、海外売上高はカルビーが98億7,000万円、サッポロが370億円と、全体売上高に占める割合は共に10%程度となっています。
つまり、カルビーの株価が上がり、サッポロの株価が下がっている理由は、「カルビーが全体として優れた経営をしているから」であり、決して海外事業の成功だけが突出した要因ではありません。逆に言えば、サッポロの株価が伸びないのは、「(国内事業も含め)全体の事業が上手くいっていないから」であり、決して海外事業の伸び悩みだけが原因ではないのです。
日経新聞は明らかに、「企業は内需が縮む日本を飛び出して、海外に出て行こう! TPP大賛成!!」という社論を掲げています。だから、一見株価をテクニカルに分析したように見える今日のような記事の中にも、このような「こじつけ」とも思えるような言説が顔を出すのです。
このようにして、我々は知らず知らずのうちにマスコミに「洗脳」されていくのかもしれません。お互い気を付けましょうね(^^:;)
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
http://www.calbee.co.jp/ir/pdf/2014/financial_20141030.pdf
http://www.sapporoholdings.jp/ir/report/fs/pdf/H26_9_tanshin.pdf