原告の女性は、被害者の写真を見たり現場の音声を聞いたことにより、急性ストレス障害になった、ということで訴訟を提起するということになっている。
しかし、この女性は、複数の報道を見た限りでは、(なので時系列の流れが正確にはわからないが、)
12月に呼び出し状がまず届いて、「人を裁けない」と苦悩した。
3月1日に裁判員に選任が決定する。 その日の夜から心身に変調をきたす。
(河北新報 5/8「惨劇」「重圧」 裁判員制度廃止求め 経験者が国を提訴)
3月4日に現場のカラー写真をみる。 休廷中に嘔吐する。その後も食事がのどを通らず、脳裏に写真がフラッシュバックして就寝中に何度も目が覚めるといった症状が、毎日のように出た
(産経 4/18 「惨劇」「重圧」 裁判員制度廃止求め 経験者が国を提訴)
3月下旬にストレス障害と診断
という経過になっている。
ここで経過を書いて何が言いたいかというと、この女性は証拠調べで現場写真を見る前から、精神症状が発生しているということである。
殺人事件で裁判員を務めることがストレスではないというつもりはないが、女性が主張する現場写真が原因となったストレス障害の症状が、証拠調べで写真を見る前から発生していることを考えると、少なくとも症状の全ての原因が現場写真が原因である疾患と考えるのは不適切ではないかということだ。
経過をちょっと脚色してみると、
1 呼び出し状が届く、裁判員なんてなったら大変だわーと心配する。
2 実際に裁判員になる、 わー、大変大変、、、それだけで心身に変調をきたす。
こういうのって、一種の予期不安とその実現であって、事前にこれが起きたら大変そう!と思う。で、実際にその出来事が起きる、実際に体調が悪くなる、 という意味での精神的な要因もあると考えることも出来る。
もう一つ、別の解釈。女性の症状がストレス障害であったとした場合。
話がちょっと飛ぶが、
東日本大震災では、救助活動に従事した自衛隊のストレスはかなりのものであったようだ。
http://www.mod.go.jp/rdb/n-kanto/seminar/20gijiroku.pdf
ただ、国民が自衛隊に感謝するという雰囲気は、ストレスの緩和にはプラスであったようだ。
逆に、そのような災害時に救助活動に従事した人が一番精神的につらいのは市民に非難されることだそうだ。
>>>阪神大震災の時に、消防隊のみなさんが一番つらかったことは、仕事自体の辛さではなく、市民から非難されたことだと言っています。
http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/saigai/2011sanrikuoki_eq/sanji2.html
原告の女性は、訴訟の目的を裁判員制度の廃止と表明していることや、女性の訴訟提起についてのネットの反応についての自分の印象では、裁判員制度に対する意義について前向きな姿勢を感じられない。
災害救助活動のストレスについて、従事した者の心構えや周囲の対応が、そのストレスへの対応に大きな影響を与えるということがいえるのであれば、裁判員のストレスについても、選任された裁判員本人の裁判員制度の意義についての感じ方や周囲の反応が影響するということもいえるであろう、、、この女性の場合は、マイナスのほうであるが、、
原告の女性は、もともとストレス障害があるのに国への訴訟提起をするのは大きなストレスになるかと思う。
しかし、それでも訴訟を提起したのは、
「裁判員の仕事でこんなにつらい思いをするのは、私で最後にしてほしい」
という行為に意義を見出しているからであろう。